(平成20年5月号) 第42号
新緑の時期、周囲の山々を眺めていると心が和む季節、天気が良くなるとどこかに出かけてみたくなります。
いかがお過ごしでしょうか?
今月号では、先日「最新の不動産市況と今後の地価動向」と題したセミナーに参加いたしました、そのご報告を致します。
本セミナーは、不動産市況の有名なアナリスト「幸田 昌則」氏の講演を聞き私なりに解釈し「耳より情報」発送者のみにお伝えするものです。
1) 現在の不動産市況
昨年の、夏を境に不動産市況の潮目は完全に変わったようである。その要因は
①住宅の大量供給が行われた
☆ 低金利の長期化から、賃貸物件での運用を目的に賃貸住宅が大量に建築された。
☆ 分譲マンション、建売住宅の建築が大量に行われ販売され続けている。
☆ 投資ファンドによる賃貸不動産への投資が、賃貸住宅供給に拍車をかけた。
上記理由により住宅在庫が急増しているのが第一理由です。
②価格が上りすぎ買えなくなった
土地価格が上昇したうえに、建築費の高騰が住宅販売価格を押し上げ、本来年収の4~5倍の価格が購入限度であるが、最近は首都圏でのマンション平均価格が70㎡で1億円となり、年収の10倍をはるかに超えている状況である。その要因が土地価格を押し下げ、現在では、都心商業地で半値程度まで下落しております。但し一等地の地価は下っておりません、又中古市場は価格面から好況が続いております。
③耐震問題で建築確認申請に手間取り、新築にかげりが出ております。 規制の強化は不動産価格を押し下げる要因であります。
④融資規制の強化
サブプライム問題に端を発し、金融監督庁の融資規制が強化され、不動産業に対する融資はかなり厳しい状況です。特に融資を受けて在庫を抱えており体力の無い業者は厳しい時期に入っております。又不動産物件融資(投資等)も厳しいものがあり、契約したが決済ができない事案が増加しております。
現在の不動産業者向け融資残高は、バブル期以上の融資残高なっており金融監督庁も危惧をしいるのが本音でしょう。
以上4つの要因により、不動産市況は昨年夏以降潮目が変わり、急激に冷え込んでいるのが現状です。
2) これからの不動産市況
「幸田さん」は、不動産の価格は需要と供給できまることは明白であり、他の商品と違い単純に価格決定されるため、需給関係を確り見ておれば見誤ることはない、但し金融が価格を歪める場合があり注意が必要である。と言われておりました。私もその通りであると思っております。然るに今後の需給関係がどうなるのかを予測して見ましょう。
【需要】
融資規制⇒不動産購入手段減少⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
価格上昇⇒不動産購入意欲の減退⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
規制の強化⇒不動産コスト増要因⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
低金利継続⇒不動産保有コスト減⇒購入意欲増⇒需要の増加⇒不動産市況好況
個人実所得の減少⇒不動産購入意欲の減退⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
経済の成熟化⇒企業業績横ばい⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
人口の減少⇒不動産購入人口の減少⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
グローバル化⇒人口、事業所の海外流失⇒需要の減退⇒不動産市況悪化
労働人口の減少⇒外国人労働者流入⇒需要の増加⇒不動産市況好況
【供給】
不動産業に対する融資規制⇒供給の減少⇒長期的には不動産価格上昇要因
不動産規制の強化⇒供給の減少⇒長期的には不動産価格上昇要因
ファンドの沈静化⇒供給の減少⇒供給の減少⇒長期的には不動産価格上昇要因
売り物件の急増⇒供給の減少⇒長期的には不動産価格上昇要因
新築在庫の増加⇒供給の減少⇒長期的には不動産価格上昇要因
その他要因をあげればきりがありませんが、需給関係で今後不動産市況の好況要因は少なく、現在は調整局面にあるものと思われます。但し調整期間は定かではありませんが、長期的に(調整完了後には)は多少市況が良くなることはありますが、大きく不動産価格が上昇することは無いでしょう。
現在の販売中住宅在庫数の推移は、バブル期を上回っており調整にかなりの期間を要すると思われます。
3) 最後に
住宅業界の現状は、急激な金融の引き締めから資金調達難が見受けられます。特に、分譲マンション業者、建売業者は売れない状態が続き在庫が急増、厳しい状況にあります。新規の融資か受けられず分譲用地で買った土地を資金繰りのため投売りしている業者も増加しております。
又、借入による不動産の投資をしていた不動産業者も相当厳しい状態です。
体力のない業者は存続が難しくなっており厳しい状況は当面続くでしょう。
建築費の高騰は、以前に買っていた土地収益を吐き出しても、販売できる価格設定が出来ず、建てるのを残念しているのが現状です。
ワンルーム等の投資用マンションは低金利が続いておりサラリーマン層中心にまだ活発なようですが、融資が厳しく少し陰りが出ております。
収益マンションは、ファンドが全く買わない状態で逆にファンド期限が近づき売却に走り出したファンドもあります。個人は購入意欲が強い状況ですが不動産に対する融資規制が厳しく購入できない場合も見受けられます。
今後は、現金で買える資力のある人は、不動産購入の最大のチャンスが到来し
たようですが、不動産の質が強く求められる時代に入り、厳選した物件を探すのが必要かと思われます。
4) 弊社の役割
土地活用、資産活用等のコンサルタントの広告をよく見かけます、特に土地所有者をターゲットに土地活用を持ちかけ、コンサルタント料とそれに付随する土地売買手数料、建物建築請負、等々の収益が発生することから多くの業者が参入しております。皆様方の中にはご利用されている方もおられると思います。
ご自分の資産を見直し、有効に活用するのが必要であるのは事実です。
しかし、コンサルタントの提案する土地活用と言っても収益物件に仕上げるのが大半です。仕上げた収益物件の長期にわたる運用まで面倒を見てくれません。
弊社には、仕上げた収益物件の稼働率をどのように上げ、長期的に収益性の高い物件に仕上げるかが問われていると思っております。
付加価値を付ける為の手法が問われております、今後も引き続き研究、開発に努め皆様方のお役に立てる、運用のパートナーとして、お付き合い頂ければ幸いで御座います。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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