ご承知の通り、日本の人口は今後10年間で700万人減ります。一方65歳以上の高齢者人口は3,500万人を突破し全人口の30%近くになる予想です。
2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本の人口の1/3が65歳以上、1/5が75歳以上となる予測となっております。
又、独居世帯(大半が高齢者)が全世帯の1/3になる事も2025年問題の大きな特徴です。
上記の通り、高齢者は今後益々増加し、人口の1/3が65歳以上の高齢者となり、世帯数の1/3が1人世帯となる事になるのです。
今後高齢者の増加に伴い、高齢者住宅の需要は増加すると思われますが、高齢者の求める物件はその属性による事になります。属性による高齢者住宅は、傾向として下記の通りです。
●富裕層・・有料老人ホーム(高額入居費・高額賃料要)
●中間層・・サービス付き高齢者賃貸住宅・軽費老人ホーム・グループホーム
等(月額15万円程度の費用が必要である)
●低所得者貧困層・・老人保健施設・特別養護老人ホーム(低額で入居可能)
以上は介護付きでの入居が主であり、アクティブシニアは持ち家、或いは一般の賃貸住宅に住まいされることになります。
国は、今後高齢者、低所得者等を対象とした住宅確保要配慮者専用住宅を、補助金を活用し民間から大量に供給しようとしております。しかし、耐震の問題或いは改修工事内容の制約等々条件が厳しく、現実としては供給が思惑通りに進むのか疑問が残ります。
現状は高齢化社会の進展には追い付かない状況にあることは事実ですが、民間での積極的な供給が必要不可欠な時期が迫りつつあると思われます。
家主様の7割が高齢者の入居受け入れに拒否感をもっておられ、高齢者の入居できるお部屋が少ないのが現状です。
家主様の考えられるリスクとして、「部屋での孤独死」「家賃の滞納」「近隣・他室への協調性」「習慣が異なる」等の不安があります。
一方、高齢者が終の住みかを求めるニーズは、「住み慣れた地域に住み続けたい」「医療・介護・経済的な安心が欲しい」「プライバシーに配慮して欲しい」「24時間365日の安心が欲しい」「必要な時に食事を提供して欲しい」等々であります。これからの高齢者は「プライバシーに配慮しつつ、安心も保証して欲しい」と言う、相反する要望を求めておられます。
高齢者の本音は「介護付きの老人ホームには入りたくない45%」の統計の通り、監視される事を求めないのが本音ではないでしょうか。
いわゆる普通の賃貸住宅で、家の中に管理人が無断で入ってくる、居室で何をしているのかをのぞかれるのを嫌がるが、安心は提供して欲しいとの欲求です。
第二段階の欲求として、旅行やレジャー・趣味・映画・演劇・コンサート・美術鑑賞等、楽しい事にお金を使いたい要望も、特に団塊の世代には高いものがあります。
高齢者の住宅の構造や設備の面で「現在住んでいる住宅で困っていること」と言う調査では、約6割の人が「何も問題はない」と回答されております。
あえて高齢者用の住宅に改装する必要はないのかも知れません。
以上の家主様の思いと、高齢入居者の希望とを旨くマッチングさせる手立てが有れば、今後増加して行く高齢者を入居させられる部屋を提供する事により家主様の賃貸住宅が安定した経営に繋がって行くのではないでしょうか。
入居者のターゲットは「若者」から「高齢者」にかわって行くことになります。
次に、家主様のリスクを解消し、高齢入居者のニーズを取り入れた賃貸住宅にして行くためにはどうすればよいのかを以下に記して行きます。
弊社も2011年から高齢者賃貸住宅の研究開発を進め取扱いを開始しておりますが、紆余曲折を経て現在に至っております。
警備保障の緊急出動サービスが付加されたものはトイレ・出入り口・居室等々にセンサーを取り付けて1日~3日間センサーに反応がない場合或いは緊急通報ボタンを押せば警備保障会社が部屋に駆けつけるサービスです。
弊社での経験から、本サービスは月額4000円程度の費用が掛かり家賃と別に費用を払って入居される方が少ないのが実態です。
単なるセンサーのみを取り付け、反応がない場合には親族の携帯にメールが送られるサービスです。料金は1,500~2,000円程度の月額料金で利用できます。
単なる電話による安否確認を行い、電話に反応がない場合には親族の携帯にメールが届くサービスです。利用料金は1,500円程度で利用できます。
弊社では長い経験から、賃貸住宅に入居される高齢者様は、家賃に上乗せして多額の月額料金を支払えない事が分かり、現在では多くのサービスの中から月額1,500円+消費税で電話による安否確認を行い、最悪部屋での孤独死等があった場合には、葬儀費用、部屋の原状回復費用等限度額100万円の保険付きのサービスを取り入れております。
又、緊急の場合には親族が部屋を確認できることが重要であり、弊社では親族が10キロ圏内にお住まいの方のみご入居頂いております。
家主様の要望通り、完璧に孤独死を避けるためには緊急駆けつけサービスの付いたものが理想ではありますが、あまり月額料金が高くなると入居者が敬遠され部屋付けが厳しくなるのが実態です。
家賃の滞納を防止する策として、保証会社の利用をする事が有効であります。
保証会社も多くの保証会社があり夫々特徴があります。高齢者に強い保証会社を利用するのが良いでしょう。
保証会社の審査を利用する事により過去に事故があった入居者を排除できることにも利用できます。
万一滞納があった場合でも保証会社が立て替えて払ってくれ、滞納金の回収は保証会社が責任を持ってくれますので心配がいりません。又、保証会社によっては、残置物の撤去や滞納者の追い出しまでやってくれますので家主様にとっては安心です。
但し、保証会社は一定の期間内に事故報告をしなければ保証が免責になります。滞納の度に事故報告を行わなければならない煩わしさがありますが、それを解消するには家賃の集金代行を保証会社に代わってやって頂くと報告義務がありません。滞納金があっても満額家賃を振り込んでくれますので安心です。
しかし、家主様と保証会社の契約では集金代行が出来ませんので、出来れば我々の様な管理会社にお願いするのも一考かと思います。
入居者に介護が必要となった場合の対処法、高齢者の入居中のトラブル対応方法、入居者のニーズを捉えた部屋造り、その他入居者ニーズを捉える賃貸管理等々記載したい事は多々ありますが、紙面の関係で省略させて頂きます。申し訳ありませんがご了承ください。ご興味のある方は私までお電話を頂ければ、私利私欲なく家主様の立場に立ってお答えさせて頂きます。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引士・不動産コンサルタントマイスター
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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