現在世界中にあるお金の合計額は(金融商品・貨幣・金・等々)、約1,600兆ドル(日本円で17京6000兆円)と言われております。
その中で最大の規模を占めるのがデリバティブ(1200兆ドル)で最少がビットコイン(50億ドル)であります。
デリバティブとは、日本語で金融派生商品と言って、金融商品には株式、債券、預貯金、ローン、外国為替などがありますが、これらの金融商品のリスクを覚悟して高い収益性を追求する手法として考案された金融商品です。
その種類は「先物(株価指数先物・為替予約・商品先物等)」「オプション(株価・金利・通貨)」「スワップ(金利・通貨)」の3種類があります。
一般的な金融商品の売買には多額のお金が必要ですが、デリバティブは少額のお金で多額の金融商品を売買したのと同じ効果を得ることが出来ます。
即ちレバレッジ(てこ)の効果(小さな力で大きなものを動かす)を最大限活用出来ます。
デリバティブは高度な金融工学を駆使し、複雑な商品が次々とつくりだされた為に、何か一つの出来事が引き金で大きな被害が生じる事が起こります。
それが、2008年9月にサブプライム住宅ローン危機に端を発した世界的金融危機のリーマンショックです。
現在では、世界の上場企業において利益を稼ぎ続けて手元資金が膨らみ続けている状況でありますが、拡張し続ける資金は経済の成長が鈍化するなか、巨大な手元資金を活用する有望な投資先が見つからずにいるのが実態です。
余剰資金である、個人・企業の手元資金を吸いあげているのは政府であり、政府は財政支出を拡大し債務を膨らませております。
一方余剰資金の一部は、世界中の金融市場や不動産市場に資金は流れており、いずれは着地点を探さなければならない時期が来るものと思われます。
「踊らされる投資家」
現在出版されている本屋さんに並ぶ書籍は「3年で年収1億円」「資産10億円をつくる不動産投資」「自己資金ゼロからキャッシュフロー1000万円」などの表紙の書籍が店頭に並んでおります。
ある新聞に数年先には「自己破産する家主が増加する」「銀行・業者にカモにされた医者や外資系サラリーマン」と言った内容の記事が掲載されるようになりました。
不動産会社主催の不動産投資セミナーはあちらこちらで開催され満員御礼、又融資先のない銀行は挙ってローンの審査を緩め、自己資金なしで全額融資、低金利での不動産投資ローンを行っている。
投資家は金融機関が貸してくれたから良い物件であると思い込んでいる。
私見ですが、都心では4%程度、地方都市では7%から8%程度での投資物件売買がなされておりますが、長期に亘る賃貸経営を考えれば、利回り13%なければ賃貸経営は成り立ちません。
ましてや今後、人口が減少し稼働率は下がって行く予測であり、益々賃貸経営が厳しくなって行きます。
従って現在の収益では賃貸経営はいずれ行き詰る事となります。
プロの投資ファンドは一番経費の少ない、稼動率の高い期間5年程度を保有し高いインカムゲイン(高い収支)と高いキヤピタルゲイン(譲渡所得)を実現します。それが投資のプロです。
今弊社にも、売り収益物件を探されている投資家の問い合わせが入りますが、今は買い時ではなく売り時ですと申し上げております。
幾ら探しても、古い物件は別として13%台の売り物件は皆無に等しい状況です。
その様な物件があれば市場に出る前に不動産業者が購入しいるものと思われます。
「築古アパート・マンションの行方」
築古の物件(20年~25年超)は今後、入居率は減少してくるし、修繕費用は増えてくるのでダブルでキヤッシュフローは悪化します。
20代・30代の入居者層は5年以内に急激に減少します。
今は何でもないと思っていても目に見えて空き室が増加して行く覚悟が必要であり、自分の物件はどうもないと思われておられてもその減少は必然に起こることになります。
ここ3年程度で新築物件が急増しております。古い物件は当然に入居者が集まらない事になります。
特に資金的にも余裕があり、マナーの良い良質な入居者は新しい物件に入居する事になり、古いマンション・アパートの賃貸経営は益々厳しく、難しい舵取りを迫られることになります。
その為に、その対策は出来るだけ早い段階で講じる必要があります。
我々もオーナー様と一緒にその対策を考える必要に迫られております。
「今後の築古物件の賃貸経営」
新築が急増し、人口が減少して行く中、築古物件の入居率アップの対策は避けて通れません。
古くなった物件の修繕費は当然増加して行きますのでそれを節減させる術はありません。それを惜しめば入居率が下がり益々負のスパイラルに突入します。
築古物件の賃貸経営の秘訣は入居率(稼働率)を上げる事に尽きると思います。
その対策は
物件の価値を上げる方法を考える。
◎出来る限り、建物、部屋の改装を行い建物の価値を上げて行く事
◎お金を掛けるだけではなく出来る限り古くても清潔感があり、お金を掛けず見栄えの良い部屋に仕上げる。
2) 入居者ターゲットを絞る
◎新築物件に入居できない入居者を入居させる
◎オーナー様の嫌がられる、外国人、高齢者、ペット飼育等々の入居者を受け入れる。
この方法は、かなり入居中の管理ノウハウが必要となりますが、うまくいけばかなりの高稼働率が期待できると思われます。
特殊物件に仕上げて行く
◎お金を掛けない方法として、貸倉庫にする方法があります。この方法は、リスクヘッジの為の保証会社とのタイアップが重要なカギとなります。又居住権がなく建て替えまでの運用としても面白いと思われます。
◎特に防犯意識の高まりから、防犯を重視した賃貸物件にする方法。
◎入居時初期費用ゼロ物件での募集方法
「その他の出口戦略」
賃貸経営を止めて他の活用方法を考える方法もあります。
例えば、取り壊して事業用の定期借地での賃貸、テナントビルにする、戸建賃貸にする、コインランドリーにする、トランクルームにする、シェアーハウスにする、民泊にする、ゲストハウスにする、簡易宿泊所にする、等々色々と考えられます。又、思い切って売却する方法も選択肢の一つです。
【最後に】
我々地元に根を張った業者は、地元を捨てて他の地域で営業活動を行うことは出来ません。全国組織の不動産業者は1店舗を閉めることは大きな問題ではないと思われます。
長くお付き合いをしているオーナーさまの大切な物件の管理委託を受けており、賃貸経営が続く限り永遠にお付き合いをして行かなければなりません。
地元でなければ出来ない新たな取り組みを、オーナー様と一緒に考案し、又時代に合った取り組みを考え出し、ご提案して行くことが使命と思い最善を尽くしてまいります。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
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