とまとハウスの「耳より情報」
(平成28年8月号) 第113号
先日弊社が売買仲介をした中古住宅物件は、売主が宅建業者であり業法上2年間の瑕疵担保責任がある。今回買主側から中古住宅瑕疵担保保険に加入して欲しいとの要望があったが、売主は保険に加入する義務はない。保険に加入する場合には第三者による建物瑕疵の調査が行われる事になる。その為に万一瑕疵が見つかった場合には、売主側の修繕義務が発生する事になり売主側としては難色を示すことになる。仲介業者としてはお互いの言い分を聞く事は、お互いの利益相反となり対応に苦慮する事になる。この様に、中古物件の瑕疵の問題が日本人が新築物件を重視する事になり中古住宅の流通を阻害している。現在国の政策としてホームインスペクション(住宅診断)を法制化し、ユーザーが安心して既存(中古)住宅を買う事が出来るよう対策を進めている。中古住宅の流通量を欧米に近づけ、ストック重視の政策を取れる事になれば、スクラップ&ビルド(住宅の使い捨て)を繰り返し、環境等々に大きな影響を及ぼしてきた問題を解決する事ができる事になる。日本の住宅政策は経済対策の重要な役割を担ってきたが、その分水嶺が近づいているように思える。
総務省の統計調査によると、65歳以上の高齢者が9年後の2025年には総人口の30.3%となり、3.3人に一人は高齢者となる予想である。
その状況下、住宅を借りられない高齢者が増加しているのは事実の様である。
弊社でも、以前のように学生の部屋探しが減り、「身寄りの無い高齢者」「生活保護者」等、住宅に困窮した人々の部屋探しが増加してきた。
20年前は学生生活に向けて部屋を探す親子の来店が多かったのだが、近年は物件探しの主役が交代した様だ。
その様な人たちに部屋を探すのですが、何分オーナー様の返事は厳しく「高齢者はなるべく断って欲しい」との意向である。
おのずと木造アパートに入居されるケースが増加し木賃アパートの人気は急上昇しているのが実情である。
政府においても、色々と施策は打っており、公団を高齢者賃貸住宅に改造・転用する等々の取り組みを強化している。
今後、我々は、身寄りがなく保証人のいない高齢者、生活保護者、外国人、等々の住宅難民をうまく自身の賃貸物件に受入し、今後の厳しさの増す賃貸経営を乗り切る施策も必要ではないかと考えます。
現在社会で問題になっている事を解決する事(ソーシャルビジネス)を推進するためにスキルやリソースを持ちより、今までに考えられなかった領域で発想しイノベーションを起こせるかが鍵となる。
当社は他社に先駆けて、2011年より高齢者住宅の取組を行って来ました。
しかし、取組に伴う難題にも直面し、紆余曲折しながら奮闘中です。
富裕層は高額な有料老人ホームに入居できますし、中流階級の高齢者についてもサービス付き高齢者賃貸住宅が次々と建築されており住宅に困る事はない。
問題は、高齢の低所得者住居の問題である。低所得者は持ち家比率も低く、賃貸住宅に入居されている高齢者が多い。
低所得者(要介護者)が入居できる特別養護老人ホームは入居待ちが52万人に達しており、今後も国の財政難から大幅な増設は難しいものと思われます。
それでは、今後そのような高齢者はどうすれば良いのでしょうか?
国は、在宅での医療、介護を推進しており、在宅医療・介護を一体的に取り組める体制構築(地域包括ケアシステム)の推進を行っておりますが、受け入れの為の住居の整備は進んでいないのが実態である。
低所得者の住まいの実情は、賃貸住宅に多く住まわれており、入居期間は長く、住まわれている住宅は老朽化が進んでいる。立ち退き等が発生した場合には、新たに受け入れてくれる住宅が見つからない事が考えられる。
この様な、住宅困窮者を救える方法は無いものかと考えました。
そこで、今後空室が増加する古い賃貸住宅とマッチングさせる事は、受け入れる家主様が十分に理解される事が必要であると考え、受け入れた場合のリスクを減らすことから始めました。家主様側からすれば、リスクの高い高齢者を受け入れするのは躊躇されるケースが多いのは事実です。そのリスクとは ①賃貸物件内での死亡 ②火の取扱い不始末による火災 ③認知症による各種トラブル ④所得減少による滞納、等々のリスクが発生すると考えられる。
当社ではリスクを無くすために、アルソックとの提携にて毎日の安否確認をする、万一の場合に備え、保証会社による家賃保証を付ける、残置物の撤去保険を掛ける、借家人賠償保険に加入する、医療・介護業者との提携をする、部屋の設備をガスから電化にかえる、等々の対策を講じて、家主様の考えられるリスクを解消し、高齢者の賃貸住宅受け入れ推進を行っております。
しかし、リスクを減らすためのコストと家賃が入居者の考える相場に押さえられるのか? 入居者の求める家賃と部屋の広さとのバランスが取れるのか?等、今後の課題は多い。
今後増加する、高齢者、外国人或いは、多様化する入居者(ペット飼育者、楽器演奏者、各種趣味を持つ者等)を、どの様に賃貸住宅に受け入れて行くのか、或いは現行の空室を他の用途に利用できないか等々を研究して行く事が、今後予測される空室増加を押さえ、空き家の活性化に繋がると思われます。
宿泊施設(民泊・簡易宿舎・マンスリーマンション・シェアーハウス・ゲストハウス等々)或いは倉庫・趣味の部屋・SOHOへの活用はできないものか、難しい課題を解決する事が地域貢献であると思っております。
今後拡大する、空き家問題をどの様に解決するのか、官民一体で取組む必要に迫られている。
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