全国で空き家が820万戸となり、賃貸経営に厳しい時代が到来します。対策を急ぐ必要が有ります。
我々が考えなければならない今後について
国内の空き家数が「820万戸」になったと新聞・テレビで報道されております。5年前に750万戸であったのが70万戸増加した事になります。
一方住宅総数も6063万戸となり、305万戸増加しております。
即ち、人口が減少して行く中、住宅は増加し続けており、その事により空き家が増加しているのです。
その要因は、
① 今後の相続税増税による相続税対策で、賃貸住宅の建設が急増しているのが一つの要因である。
② 都心の地価が下がり分譲マンション建築が続き、ユーザーにとって都心回帰が容易になり、高層マンション供給が続いた。
③ 国民が中古住宅の瑕疵について高い関心があり、相変わらず新築志向が続いており新築住宅の建築が続いている。
その他の要因もありますが、主には上記の要因で住宅総数が増加致しております。
その事は、今後の予測として
① 空き家対策を行う自治体が増加し、国も対策に乗り出している。
② 賃貸住宅の空き部屋が増加しその対策が求められる。
③ 都心回帰・人口減少から、地域の過疎化が急速に進む。
④ 新築志向から、欧米型の中古住宅を長持ちさせる方向に転換する。
⑤ 空き家、空き部屋を活用する新たな市場が創設される。
⑥ 中古住宅の流通促進とリフォーム市場が拡大される。
等の現象が予測されます。
私も、現在京都市の空き家対策のお手伝いをさせて頂いておりますが、京都市においても空き家の問題は大きな課題の様です。
【賃貸住宅問題】
さて、我々の身近な問題として、賃貸住宅の空き室問題を本題として以下に記載致します。
人口減少にも関わらず、相続税対策による新築賃貸住宅着工戸数の増加は続いております。その事は空き部屋が増加することとなり、特に古い賃貸住宅の空室が増加するものと思われます。
過去の賃貸住宅経営は片手間にやっていても賃借人が入ると言う恵まれた時代でしたが、その様な市場環境はもう終わりました。
今後の賃貸経営は、この環境の変化を前提にした上で見直しを行い、確りとした対策を講じて行く必要があります。
私が経営に当たり何度も読み返す「正義の経営」と言う著書が有りますが、その中にこのような事が書かれております。
【今後人口は減少し、マーケットは縮小する中、生き残れるのは付加価値が高いものを扱うことである。
狭く・深く・高く売ろう、人口が減少している以上売り上げが上向く事はない、根本的な発想を変えなければならない。
その為の有効な手段は、ターゲットを「狭くする」事である。 客層を絞る、即ち品揃えを絞り、狭い客層に売る事である。
品揃えを絞ることにより、深く知ることができ、商品の値引きをする必要がなく高く売ることが出来る。
人口が減少する時代には、文化や芸術が発達し、付加価値の高いものが生産販売される様になるのである。
変化の時代である、変化には大変な勇気がいります、過去の成功体験は大きな障害の一つです。】
賃貸経営にとって「ターゲットを狭くする」こと、即ち賃借人をファミリー層、女性層、高齢者、外国人、ペット愛好者などターゲットを明確にする事である。
【ターゲットを絞った賃貸住宅の具体例として】
① ネコちゃん、ワンちゃんとの共生賃貸住宅
現在日本のペット数は2100万頭で人口の20%を占めている大きな市場ですが、賃貸住宅でペットが飼える部屋は少ないのが実態です。
今後は少しずつ供給が進んで来るものと思われますが、まだまだ需給のミスマッチが大きな市場です。
② 高齢者賃貸住宅
高齢者住宅市場は今後急激に増加する市場です。ご承知の通り日本は高齢化が進んでおり社会問題化しております。
国の政策は、高齢者は自宅で介護・医療を受けられる政策を打ち出しており、施設ではなく賃貸住宅(サービス付き高齢者賃貸住宅)の建設を奨励しており、民間の間で建築が進んでおります。
③ 外国人
今後の日本の人口、労働力構成を考えると、外国人の受け入れは必須となります。その為には住む為の住宅が必要となるのは必然であり、外国人の住宅需要は拡大するものと思われます。
④ 楽器演奏者
楽器演奏者人口は、全国で数百万人いると思われますが、本格的な防音マンションの数は、数千室しかなく、需給ギャップが大きい市場です。
⑤ 外国人観光客
国策として、外国人観光客の受け入れを1,000万人から2,000万人に倍増させようとしております。当然ながら京都市は景観法等を強化し観光都市を目指しており、観光客は大きく増加をするものと思われます。
京都市においても、受け入れる為の宿泊施設の増加を切望しており大型ホテルの進出も目白押しですが、それでも足りないのが実態です。
その為に、国は旅館業法を緩和して、特区(東京圏、大阪圏)での賃貸住宅の空き部屋を利用した宿泊施設の増加を推進しております。
上記により、マンスリーマンションから家具付き賃貸、宿泊施設へと変化して行くように思われます。
すでに、エイブルが特区を利用した旅館業法緩和地域で3000室を立ち上げるとの新聞記事もでておりました。
米国発「宿泊革命」をリードする「エアービーアンドビー」が個人の空き部屋をインターネットで仲介するビジネスを展開しており、既存のホテルビジネスを揺さぶっており、その会社が日本進出をはかるとの事です。
上記以外にも、多くのターゲットを絞った賃貸物件が考えられますので、今後の課題として捉える必要があります。
今後まさに変化の時代に突入します、常にアンテナを張って情報をキャッチし素早く変化に対応出来る準備をしておく必要が有る様です。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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