父の日、母の日、こどもの日と家族を思う季節です。
黒田日銀総裁が大幅な金融緩和を発表され、急激に株価が上昇し過熱感すら出てきておりますが、果たして大幅金融緩和によるこの「ジャブジャブのお金が」何処にゆくのか、その行方が今後の鍵となりそうです。
金融機関に向けられた資金が、日本の国債・外債等に向けられるのは確かですが、その資金が設備投資等の融資に向かい実需が増えるかを注視する必要があるようです。
5月1日の日経新聞に「中小への新規融資促す、金融庁金融機関検査で新方針」との記事が掲載されております。
私も銀行員時代に強く感じておりましたのは、特に金融機関の場合は監督官庁が「箸の上げ下ろしまで関与し、銀行は監督官庁の方ばかり見ていた」ように感じておりました。
今回の記事のように、検査、監督方針を前倒しで変更すると言うものであり、検査基準の緩和は銀行の融資を活発にするインパクトは大きいものと思われます。
今月号では、入居者及び入居希望者が賃貸住宅に関してどの様に考えておられるのか、又家主様はどの様に考えておられるのをまとめてみたいと思います。
【学生のニーズ】
学生が部屋探しに当たり重視した項目順位は、①家賃、②通学時間、③間取りの広さ、④沿線エリア、⑤設備、⑥環境、⑦階数・・・・・・・
☆やはり家賃を重視するとの回答が一番であるが安い物件を望んでいるのではありません、自分の希望条件とする物件が家賃相場であるとの意味合いです。
☆学生は通勤時間を重視している様で、通学が徒歩圏、自転車、バイク通学範囲内の物件を探している学生が多いと思われます。
☆間取りはやはり広い部屋を望んでおり、今後もそのニーズに合わせ益々賃貸物件の部屋が広くなる傾向にあります。
「設備のニーズ」
設備面は第5順位でありあまり設備を重視している様では有りませんが、以下学生が設備に対する期待をしている順位です。
① セパ、②防音、③2口コンロ、④収納スペース、⑤フローリング、⑥駐車場がある、⑦洗面化粧台、⑧耐震構造、⑨モニターインターホン、⑩ベランダ・・・・・・
☆学生はセパ(風呂トイレが別々)を望んでいるのが明らかであります。
☆注目点は、騒音問題は敬遠されて入退去が激しい部屋となるようです。
☆なぜか2口コンロに人気があり、特に女性にその傾向が強いのが特徴です。
☆収納スペースは当然ながら必要不可欠であり、広めが好まれております。
【社会人ニーズ】
社会人が部屋探しに当たり重視した項目の順位は、①家賃、②間取りの広さ、③通勤時間、④沿線エリア、⑤設備、⑥周辺環境、⑦部屋の内装、⑧階数、⑨通風日当たり・・・・・
☆やはり家賃がトップとなっております。
☆間取りの広さ、設備、部屋の内装、日当たり等を重視するのは、学生と比較し部屋にいる時間が長く、住生活を重視しているのが要因のようです。
☆階数等、セキュリティ面を重視するのは圧倒的に女性のニーズが高いのが特徴です。
「設備面のニーズ」
学生と同じく設備面を重視していません。その順位は下記の通りです。
①セパ、②収納スペース、③フローリング、④2口コンロ、⑤防音、⑥洗面化粧台、⑦モニターインターホン、⑧バルコニー、⑨追い炊き風呂・・・・・
☆ファミリー物件であり、やはり住生活を重視した項目が上位に有るようです。
【学生・社会人を問わず入居者の改装物件に対するニーズ】
築年数の古い物件に対する効果的な改装とは?
入居者の入居意欲が高まる改装とはどの様な改装をして欲しいのかを聞いた回答が下記の通りの順位となっております。
①風呂の交換、②トイレの交換、③キッチンの交換、④耐震・耐熱性の強化、⑤外壁・屋根・外装、⑥上下水道の交換、⑦間取り変更・・・・・
☆日本人は美観にこだわりをもっており、特に水周りは重視している様です。
☆特に古い物件は、地震が頻発する昨今、耐震を気にする傾向が強い様です。
☆設備面で風呂の交換が最上位にありますが、最近の若者は風呂に入らずシャワーを利用する入居者が増加しており、単身用の部屋で有れば風呂を交換せずシャワールームで済ませる方法も良いかも知れません。
☆新婚さんの場合は、80%が賃貸入居希望され、その内2LDKの間取りを42%が希望、収入の20%を家賃支出しておられます。
☆新婚夫婦の通勤は二人の通勤が便利な場所を選ばれており、場所を重視した部屋探をしているのが実態です。
☆問合せの15%がペット可物件を求めておりペットを飼われている入居者が増加しております。
【入居者ニーズのまとめ】
全体的に、家賃を重視した部屋探しをされているのは明らかであり、賃貸条件の設定は大変に重要であり慎重に行う必要があると思われます。
高い賃料設定は長く空室になる要因となりますので注意が必要です。
その次に、立地と環境面を重視されており特に通勤通学、買物、周辺の環境等ですが、立地等は不動のものであり現状での対策を考えざるを得ない状況です。
その次に、間取り、設備面を重視されており、その次に採光、通風、階層等も考慮されております。
以上を考慮し、優先順位を付けた効果的な対策が重要で有るようです。
一方、貸主側である家主様の考えはどの様に思われているのでしょうか?
【オーナー様の考え】
ますます厳しくなる賃貸経営で家主様の考えている対策とは?
①家賃を下げる、②リフォームをする、③賃貸経営をやめる、④積極的な仲介をしてくれる会社を探す、⑤管理をしっかりやってくれる管理会社を探す、⑥物件力向上の提案をしてくれる会社を探す、⑦入居審査を緩和する・・・・
☆究極の2択は「家賃を下げる」か「物件力を上げる」かの選択でありますが、そのために親身になってくれる、仲介会社又は管理会社を探そうと思われているのが、多くの家主様の考えの様です。
【貸主側の対策として】
多くのオーナー様が考えておられる通り、「家賃を下げるか」、「古くなった部屋を新築に近づける」かの究極の選択をする事であると思います。
その他の考え方として、上記に示されている通り、賃貸仲介業者への客付け対策、良い管理会社を探す、入居審査を緩和する、賃貸業を止める、等々の考えがありますが何れも家主様の期待される対策にはならないと思います。
これをやれば全く問題がないと思われる対策はありませんが、家主様自ら賃貸経営に関心を持たれ細かな対策を数多く積み重ねる事以外にないと思います。
家賃を下げることも対策の一つではありますが、ある一定以下の家賃になると入居者層の質が低下し滞納等のトラブルも増加致します。
出来れば後者を選択するのが良いのは分かっているが、資金的な問題、本当に入居者があるのか、長期に亘り稼働率は維持できるのか等々の心配があり、なかなか実施に踏切れないのが現状ではないでしょうか。
しかし、賃貸業をやめる決心をしたのであれば仕方がないのですが、賃貸業を継続して行くのであれば、今後の賃貸業の行方、改装を施した場合の収支、改装の仕方、誰をターゲットにするのか、当該地域の需給関係調査、今後の需給見通し等を調査し実施することが肝要です。
「改装、リニューアル方法として」
1) お化粧直しをする改装、
クロスをカラーコーデネイトし、床をデザイン性の高いものにする。
水周りをコーティングしたり壁にシールを張る改装以外に、「取っ手」だけを新しくする等のお金のかからない方法で実施するのも方法かも知れません。但し、表面的な改装であり入居者が退去される度に実施する事になります。
2) 部屋自体を全面的に改装する方法として、間取りを変更し、水周りを取りかえ部屋を現代風にアレンジする全面改装を実施する事により長期的に入居者を確保出来るものと思われます。
しかし改装には多額の資金が必要ですが、費用対効果を考え入居者ニーズの高いものから行い、全ての入居者に好まれる改装ではなく、あらゆる調査を行った上でターゲットを明確にした改装を実施することが必要であると思いますが如何でしょうか?
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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