新年あけましておめでとうございます。
本年も何卒宜しくお願い申しあげます。
今月号では、「空室解消策」について考えてみましょう。
【値下げ合戦】
ご承知の通り、賃貸住宅市場は年々厳しくなってきております。
地方都市は勿論のこと、都市圏でも空室率が2ケタになっている物件が続出しております。
値下げをすればかなりの反響があり短期で成約に至ります。しかし競合他社もそれよりも値下げをしてくるので、さらに値下げをしなければ成約に至らない。
値下げ合戦の繰り返しが行われております。
1月8日の日経新聞朝刊に「経営の視点」の記事が掲載されておりました。
「安ければ何でもいいという市場から撤退しろ。」パナソニックの津賀社長は腹をくくった。安値競争に陥ったテレビ事業で「負け組」になった反省が背景にある。「お客様は神様」を金科玉条に、あまねく広く売ろうと商品モデルを増やし値段を下げ、そのあげく大赤字だ。量で稼ぐ路線は今や、韓国や中国などの企業に完全にお株を奪われた。円が多少安くなってもどうにもならないだろう・・・利益の上がる事業構造に変わらなければ、無くなるものも出でくるだろう。・・・経営力が厳しく試される時代になった。
自民党政権にかわり、現在金融・経済対策が打ち出されており、デフレ脱却に向けた取り組みが行われております。株価等は先行きを見越し上昇傾向にありますが、我々にとって景気が良くなったと実感出来るのは少し時間が掛かるものと思われます。
賃貸業界におきましても値下げ合戦を繰り返すのに終止符を打つ時期に来ております。
【大所高所からの対策】
賃貸物件も「物件力を高める」事による値下げ合戦に終止符を打つ事が重要であると考えます。
顧客ニーズが多様化する時代、ターゲット「誰にどの様な物を提供するのか」を明確にした供給をすることが必要であります。
安ければ良いと言った物件ではなく、付加価値の高い物件をつくる事が必要であります。
特に賃貸物件は、「売れば終わり」の商品ではありません、一度世に出せば30年・40年と長期にわたりその時代に合った商品でなくてはならないことが、「現在の顧客ニーズに合った商品を開発して行く」と言った他の商品とは大きく違うところです。
昭和30年代公団住宅「2DK・55型」から始まった、画一的(同じタイプ)な大量供給の住居から、現在では多岐にわたるタイプの住居が、其々のライフスタイルに合った住居として開発されてきております。
高い家賃であっても物件力によっては必ずニーズはあるものです。逆に高級賃貸住宅は供給が極端に少なくかなり高い賃料設定でも成約に至ります。
その様な物件の収益力は強くかなり高い収益が見込める事になるのです。
誰に何を売るのかを明確にし、長期的な観点から物件力を高めて行きましょう。
【具体的な対策】
具体的な空室対策として、値下げをする対策ではなく「物件力を高める」対策が必要であると前記いたしましたが、物件力を高める為には、「リフォームやリノベーション」「仲介業者との関係強化」「長期入居を実現するテナント・リテンション」等様々な手段を講じる事であります。
現在国交省においてもストックの活用を提言しており、既存物件の活用をすすめております。
今「耳より情報」をお読み頂いております家主様の多くは、築後20年・30年を経過している賃貸マンションをご所有の方が多いと思います。
入居募集をしている古いマンションに入居希望者を内覧の為にご案内した際に必ず、狭い、古い、汚い、と言われます。
物件力を高める対策として、最初にやるべきことは「現在の顧客ニーズに合ったリフォーム・リノベーション」であると考えます
現在新築されております、1LDKの40㎡~50㎡の物件は満室状態が続いており、今後数年で単身世帯が40%を超えてくる状況であり、人口減少の中でも増加する世帯であり、現行顧客ニーズに合った物件であるのは間違いが有りません。
しかし、関西圏貸家の新築着工戸数昨年対比で平成24年9月・10月は30%増と、相続税対策等での新築が続いており供給過剰となり需給関係が反転した場合は空室が出てくる事も考えられます。
知恵を絞り競合他物件と違う付加価値を付けた、「物件力を高める」対策を図る必要があります。
【物件力を高めるには】
物件力を高める為の方法には、色々な方策がありますが、ここでは「物件力を高める為のリノベーションについて考えましょう。
リノベーションと言っても余り費用を掛けない方法と、多額の費用でリノベを行う方法がありますが、収益の事(費用対効果)を考えれば、家賃の3年程度で回収出来る投資金額に止めるべきであると思います。
消費税の引き上げ時期が近づいており、近い将来にと考えておられるのであればこの時期に考えてみるのも必要かも知れません。
又、最新の設備を導入するのも必要ですが、リノベーションの最大の効果は間取り変更にあります、時流に合った間取りとするべきであると思います。
賃貸ニーズは、賃貸仲介業者が一番よく知っておりますので、実施される前に3社程度の賃貸仲介業者を訪問し、最新の顧客ニーズを聞きとるのも重要であります。
多額の投資をするのであり、長期的な観点から時代の趨勢を読み取り、付加価値のある、他社との差別化が出来る物件にすることが重要であります。
孫子の兵法に「敵を知り己を知らば百戦危うからず」と言う格言があります。
敵を知ることとは、地域情勢、競合物件、入居者ニーズを徹底的に調査することであります。
現在ご所有の賃貸物件を将来どうするのかを明確にし、早い対応が必要であると思いますが如何でしょうか?
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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