(平成24年10・11月号) 第93号
紅葉の本番も間近となりました。如何お過ごしですか?
今月号では、高齢者住宅需要について考えてみましょう。
【高齢者社会の到来】
高齢者の人口は、2050年には全人口の40%に達する見通しです。
75歳以上の人口は2025年には2,167万人に達し全人口の18%となります。
高齢者にもよりますが、75歳までの高齢者はアクティブシニアが多く、75歳を超えると徐々に介護の必要な高齢者が増加してきます。
以上の通り、今後も引き続き高齢者人口は増加して行きますので、高齢者をターゲットにした取り組みが今後の課題であると思われます。
今後増加する高齢者の特徴として「団塊の世代」が高齢者となり従来の高齢者の様に、お金を使わない高齢者の姿ではなくお金を使う高齢者像であります。
昨今では百貨店、スーパー、コンビニ等の小売各社は高齢者向け商品の取り揃えに躍起となっており、その他の業界においても今後増加する高齢者を対象とした取り組みが急速に進められております。
【高齢者住宅事情】
昨年「高齢者住まい法」の改正から1年が経過し、「サ、高齢者住宅」の建設計画は全国で目白押しとなっております。
医療法人が中心となっておりますが、「ヤマダ電機」「南海電鉄」「東急電鉄」等が高齢者住宅に参入すると発表されており、異業種からの参入も進んできており今後の高齢者住宅建築はさらに拍車が掛かるものと思われます。
しかし「サ・高齢者住宅」は、はたして高齢者住宅供給の救世主となるのでしょうか?
「サ、高齢者住宅」の建築に国の補助金が受けられますが、それは建築後の運営費の補助があるわけではなく、あくまで入口部分の支援制度であり、供給を急ぐあまりに近い将来陳腐化し別の用途に転用できない不良ストックになりかねません。
現に計画段階での運用は、介護が必要な高齢者が入居される計画であったが、入居されたのはアクティブシニアで有った為に介護関連収入が予定に満たず赤字に陥るケースも出てきております。
高齢者と言っても、経済的に安定して「老後を楽しみたい」と思われているアクティブシニアの方がおられれば、それとは逆に生活保護を受けられている方もおられ、高齢者ほど資産格差が有る層はありません。
又大変元気な高齢者がおられれば、介護を受けられている高齢者もおられ高齢者を一絡げとすることは出来ません。
どの様な高齢者をターゲットにするのかを明確にして対応することが重要であると思われます。
下記の図をご覧ください。
資産背景は別としまして、単なる高齢者の所得の実態を見てみますと、200万円以下の所得層が40%以上を占めております。
「サ、高齢者住宅」の月額賃料は15万円/「食事付」前後となっており、40%以下の高齢者については入居が難しい状況です。
生活保護世帯の急増、特養等の施設への入所待ちが14万人等々の現象を見ても、政府はその対策に苦慮しており、今後性急な対策が必要であるとおもわれます。
【低所得者の入居支援】
高齢者の住まいは基本的にはご家族との同居でありましが、近年の核家族化、住宅の狭さ等により同居出来ない事情が多く、高齢者の単身、夫婦世帯が増加する予測となっており、2020年の全世帯に占める高齢者世帯の割合は25%近くになるとの予測です。
高所得者の入居先は「サ・高齢者住宅」「有料老人ホーム」、等選択肢は多いのですが、低所得者の選択肢は施設系以外殆どないのが実態です。
生活保護を受けておられる方は、住宅手当が支給される為に現在では一般賃貸住宅に受け入れを承諾される家主様が増えております。
問題は、生活保護を受けるわけでもなく、一定以上の所得が有るわけでもない中間層(別表:世帯所得別比率分布の所得200万円以下の層)に大変厳しい住宅事情となっているのが実情です。
弊社ではその層をターゲットとして、高齢者住宅の取り組みを行っております。
【弊社の高齢者住宅取組について】
弊社は昨年7月より高齢者住宅の取り組みを強力に推進いたしております。
弊社の高齢者のターゲットは上記のとおりですが、その様な高齢者の方にご入居頂くには家賃の設定が5万円程度を上限とする必要があります。
高齢者を受け入れる為には家主様の承諾が必要となりますが、滞納・孤独死等の高齢者独特のリスクを解消しなければ家主様の承諾が得られません。
その為に「毎日の安否確認」「緊急通報サービス」「保険」等の加入を条件としてリスクヘッジを図っております。
滞納リスクにつきましても弊社で入居期間中のみ借上げる(サブリース)等の対応も行っております。
入居者探しも、新聞、公団住宅へのチラシ、介護、医療業者等への訪問・ダイレクトメール、郵便局へのチラシ設置、高齢者の多く来店される接骨院等へのチラシ設置、パンフレット配布等を推進中であります。
現在試行錯誤しながら、新たな分野でのノウハウの蓄積を行っているところです。
地域の高齢者福祉に携わられております方々の協力の頂きながら地域貢献を出来ればと思っております。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
Copyright(C) tomato house co.,ltd. All Right Reserved.