(平成24年6月号) 第90号
6月は「水無月」ですが、その由来には諸説ありますが、「梅雨で天の水が無くなる月」との説もあります。
今月号は、家主様の一番の悩みである「家賃滞納対策」と「滞納が発生した場合の対応」について記載
します。
【家賃の滞納状況】
近年は、長期にわたる不景気、利己主義の蔓延等々の要因による家賃滞納が増加傾向にあります。
先日、「消費者金融会社が若者を中心に貸し倒れが急増して経営環境が厳しさを増している」との新聞記事がでておりました。
総務省の調査によると、09年に30歳未満の貯蓄額は04年の前回調査に比べ10.8%減少、失業率は高止まりしている(日経新聞より)とのことである。
その様な状況から消費者金融の貸し倒増加同様に、家賃の滞納も増加していると思われます。ヨーロッパの債務問題から世界的に先進国は難問を抱え続けており、国内では長期化するデフレ不況、円高、決められない政治等々と今後もこの不況傾向は変わらず、引き続き滞納の増加は続くものと思われます。
【滞納対策】
滞納対策としては、契約前に行う対策と契約後に行う対策があります。
*契約前に行う対策として
入居申込書が入った段階で確り入居者を選ぶ事が重要です。昨今は入居希望者が少なくなり、申し込みが入るとどの様な入居者でも審査をOKしがちですが滞納の事も頭の片隅に置きながら入居審査をする事も必要です。
◎審査で重視する事は
収入面、勤務先、勤続年数、転居理由、保証人の保証能力です。
◎確認の為の資料は
契約者 ⇒住民票、印鑑証明、所得証明、身分証明、契約者と家族全員の写真
保証人 ⇒住民票、印鑑証明、所得証明です。
◎要注意のケース
契約者 ⇒収入が少ない、勤務先の信用度が低い、勤続年数が浅い、住居を転々としている、転居理由があいまいである
保証人 ⇒親族ではなく知人、友人、職場の上司、前夫、遠くに住まう保証人は要注意です。
面談した時の第一印象或いは申込書を見て「なんとなく引っかかる」点があれば滞納が発生する確率は少なくありません。
保証人は契約者を思う気持ちの強い親族を原則としなければ、家賃の保証人は銀行借入等の保証人と比べ保証を拒否された場合、金額が小額であり徹底した回収をするにはコストを考慮すると難い面があります。
*契約後に行う対策(家賃が発生した時の対策)
滞納が起きた場合に最も重要な事は、素早く対応することであります。
家主様からよく「10カ月以上滞納しているのですが?」と相談されることがありますが、3か月以上滞納した場合は回収の方法は限られてきますし、回収率は極端に下がってきます。
家賃の支払いは翌月分家賃を末日までに支払う事になっております。
従って滞納は支払月の末日を超えた、1日に第1回目の請求をする必要があります。それでも入金が無い場合は保証人に連絡をする、又本人には何度も支払いを督促する事が必要です。
昨今固定電話を持たず携帯電話が唯一の連絡手段となっているケースが多く電話が繋がらない場合が多くあります。 滞納する人物は大半が知っている番号以外の電話は出る事は有りませんが、「留守電に入れる」「督促状を出す」「保証人に連絡する」「内容証明郵便を出す」等あらゆる手段で何度も督促をする事です。
滞納をする入居者の多くは他にも払っていない債務があります、うるさく何度も督促をされるところから支払いをします。
何も言わない先はいつまで経っても支払ってくれません。
滞納対策は最初の対応次第です。以降も優先的に支払わなければうるさいと思わせる事です。
滞納金を請求することを違法行為であると言う人がいますが、法律にふれる行為はやってはいけませんが債権を回収する行為は決して悪い事でありません当然の行為です。
*保証人から滞納家賃を回収する
一般的に本人からどうしても支払ってもらえない場合に、順序として次に保証人からと思われております。又本人が滞納しても連絡が付かない為に保証人に連絡をしたところ、本人から連絡があり「なぜ私に連絡なしに保証人に先に言うのか」とお叱りを受けるケースもありますが、単なる保証人であればその通り「優先順位」があります。しかし連帯保証人はどちらから請求しても問題はありせん。
(現在の賃貸借契約は連帯保証人になっておりますが一度見直して下さい)
逆に、3カ月以上滞納してから連絡をしても「今さらまとめて払ってくれと言われても迷惑である」と保証人から言われるケースもあります。
滞納した場合は即刻保証人に請求しましょう。
保証人は、自分が支払う事になるのが困るので、必ず本人に払うよう言って くれます。 保証人は心強い味方になってくれると思います。
【保証人にかわる保証会社を利用する】
現在保証会社は、強制的な回収、強制退去の方法が社会問題になり、国交省は許認可登録制にする方向にあり、保証会社の数が減少傾向にあります。
大手保証会社は「全保連」「日本セーフティー」「日本賃貸保証」等がありますが不動産管理会社との提携が多く、家主様と直接提携して保証をしてくれるのは「全保連」です。
保証会社の保証を付けておくと滞納の心配はなくなりますし保証料は入居者負担となります。
【自らでは回収が不可能となった場合は】
法的処置を講じる必要があります、弁護士に依頼し訴訟に持ち込む事になります。一般的には3カ月を滞納した段階で、内容証明郵便で賃貸借契約の解除手続きを行います。
解除手続きが済めば、訴訟手続きになりますが判決を受けるまでに6カ月程度必要です。 それでも退去しない場合は、強制執行となります。
「無い袖は振れない」裁判で判決を受けても、滞納家賃は取れない場合が多く訴訟費用を含めると100万円以上の費用が必要となります。
滞納が発生すると高くつきます、滞納者には早く出てもらうのが最善の策です。最近は弁護士でも30万円~40万円で全てをしてもらえる事務所も有る様です。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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