(平成24年5月号) 第89号
新緑もますます深くなってきました。野山にでかけるのもいい季節です。何処かにお出かけになりましたでしょうか?
不動産を所有されるオーナー様にとって、今後取るべき対策は?
【不動産の今後は】
今までは、放っておいても土地の値段は上がり続けてきました。しかしバブル崩壊後土地価格はピーク時から1/3まで落ち込んでいるのが実態です。今後も少子化による人口減少から地価が下がり続けることは明らかであります。
少子高齢化が土地需要に与える影響は、現在の宅地の需要の2/3まで落ち込むとの予測もあります。
オーナー様にとって資産価値の目減りを防ぐための対策は必要不可欠の課題であると思われます。
【大増税時代がやってくる】
日本の国債残高(借金)は1000兆円に到達するところまで来ました。又毎年国が支出する一般会計予算の半分以上(23年度93兆円の半分以上)が国債で賄われており毎年その金額が増加して行く事になります。
この様な中で、支出の削減は遅々として進まず、消費税増税とする増税の話ばかりが先行しております。特に富裕層を対象とした所得税、相続税の税率見直し、基礎控除の見直し等々を行い、財政赤字の改善を図るとともに、格差の広がる低所得者に再配分する意向が示されております。
政府は、不況下で税収が落ち込むなか、もはや余力のある富裕層をターゲットにする以外残された道はないとの方針であるようです。
前述の地価の下落に直面するオーナー様にとってこの大増税はダブルパンチと言って過言ではない状況です。
何も手を打たなければ大切な資産が目減りして行く事となります。自分の資産は自分で守ることが必要であると思います。
【資産を守るためには】
対策1(何もしない)
土地活用を進められ、収益物件を建築したが逆に資産価値を減らしてしまった事もあります。「金利上昇リスク」「空室リスク」「固定費リスク」「修繕費リスク」等々多くのリスクがあり、土地活用イコール資産価値増加とは言えない事もあり、何もしないことも選択肢の一つであります。
対策2(土地活用をする)
土地活用を検討する場合、数々のリスクを調査、分析、検討を行いますが、一番の課題は「継続して期待した収益が確保できるか」が最大の判断基準となります。その為には今後の時代の流れを的確に掴んだ活用にすべきである。
(今後の成長分野:環境・エネルギー・医療・福祉・健康等)
対策3(資産の組み換えをする)
土地価格も二極化が進んでおります、都心の地価はあまり下がっていないのですが、郊外に行くと大きく下落しております。
今後もこの傾向は続くものと思われます。
従って、土地を持ち続ける事により資産が目減りして行くケースも考えられます。
売却して現金化する、借入金の返済に充当する、資産を優良物件に組み替える等の対策を講じる事も必要なケースもあります。
デフレ時代は物価が下がり現金の価値が高くなる事であります、逆に借入金は実質的に増えているのです。
又、今後地価も二極化して行きます、郊外の不動産を売却し市内中心部の不動産に組み替える方法もあります。
「事業用資産の買替え特例」を利用すれば、譲渡所得税の80%が繰り延べされます。即ち不動産を買替えしても譲渡所得税の支払いは1/5となります。
中心部の地価、家賃は下がりにくく資産防衛策には打ってつけの対策であると思われます。
【結論として】
金融資産においては、投信の元本割れ、株式市場はピークの38,900円から現在は9,000円前後で推移、米国債、日本国債も発行しすぎの感があります、リーマンショック、或いは最近ではJPモルガンの巨額損失がありましたがプロの投資家が大きな損を出す時代であります。
デリバティブ(金融派生商品)とは元々リスクヘッジの為に作られた金融商品であるにも拘わらずそれが投資対象になり大きなリスクが顕在化しております。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)・TRS(トータル・リターン・スワップ)等々、何がその中に含まれていているのかもプロが見ても分からない金融商品が氾濫しております。
AIJによる年金運用金の消失問題がありましたが、あれだけの高い利回りの出る運用は有るはずがない時代ですが、その嘘が明らかとなりました。
先進国の経済が停滞する中、当然ながら上手くいっている運用は大変少ないのが現状です。
穀物、資源等は後進国の需要増から全体的に値上がりをしておりますが先行きは不透明であります。
不動産におきましては前述の通りです。
地主様にとりまして、バブル崩壊以降20年以上に亘る地価の下落は大変に頭の痛い問題です。
どの様にすれば自分の資産を守れるのか大変厳しい現状に直面しております。
昔から資産の運用は分散をする「資産の三分法」があります。即ち「現金」「株」「土地」の異なる性質を持つ財産に分けて投資をすると言われております。
出来る限り安全な投資方法は、「ポートフォリオ理論」の通り出来る限り分散を図る事です。
同じ性質の資産であっても分散を図ることは原則です。
この不透明な時代を生き抜くためにも、経営者としての自覚が必要となってくるものと思われます。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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