(19年10月号) 第35号
いよいよ秋らしい季節となり、京都では紅葉の美しい時期が近づいて参りました。 一人でも多くの観光客が京都を訪れてくれることを願っております。
今回号より、シリーズで「空室を出さないための方法」を記載したいと思っております。①賢い管理媒介不動産業者の選び方 ②契約率が飛躍的に向上する内見テクニック ③収益率を重視した建物建築・建物管理術 の3シリーズで記載してみたいと思います。
1)今月号では、「賢い管理媒介不動産業者の選び方」です。
私は、銀行に27年間勤めてまいりましたが残念なことにその銀行が破綻し、平成11年に始めてこの不動産業界に入りました。不動産業界も歴史があり良いところが多いのですが、多少の不可解な点が目に付き、疑問に思っておりました事がありました。
今回のテーマである「賢い不動産業者の選び方」では、客観的にみた疑問点、不動産業者から見た裏事情等を大胆に記載いたします。
2)賃貸媒介不動産業者の裏事情
大手業者だから客付け力があるわけではない、所詮1店舗に来店されるお客様は限られている。家主様の中には多くの不動産業者の窓口にお願いしたので早く部屋付けが期待できると思われている。実際は窓口に行った家主様の物件は一般媒介物件となり自社のお客様以外に紹介しない。該当物件の様な物件をお探しの見込み客が1カ店平均1人であった場合、斡旋をお願いした不動産業者が10店であれば「1人×10店=10人」となり、その内案内に至るのは数人である。数人あれば良いじゃないかと思われますが、内見者に対する決定率は平均20%~30%程度ですので4~5人案内してやっと決まる状況です。
物件によっては10人案内しても決まらない物件もありますが、逆に1人目の案内で決まる場合もあります。
(決定率を上げる方法は次号の内見テクニックでお伝えいたします。)
2)何故一般媒介契約は業者が嫌がるの、物件情報を自社以外に出さないの?
一般媒介契約での物件情報を、自社のネットワークに乗せるには費用がかかります、ネットワークに乗せた物件情報は他の業者も見ています、悪徳業者はそれを見て直接家主様とコンタクトを取り「お客様がおられますので斡旋させて下さいと言って」斡旋を行う、費用をかけてPRした業者は物件を横取りされてしまい利益につながりません。
次に、物件情報を自社以外に出したがらない理由は、「両手数が欲しいから」です。本来「宅地建物取引業法」で媒介にかかる手数料の上限が決められております。それは家賃の1ヶ月分+消費税が限度となっておりますが、実際は広告料名目で家主側から1ヶ月・入居者側から1ヶ月合計2ヶ月を貰っているのが実情です。
最近は業者によっては入居者からを0.5ヶ月にし、その不足分を家主側より1.5ヶ月貰っている業者もあります。
情報を他の業者に提供すると、手数料が「分かれ」になり、家主側よりのみの手数料(広告料)となり1ヶ月分の収益で終わってしまいます、従って自社のお客様にのみ斡旋を行い2ヵ月分の収益にしたいと思うのが業者側の言い分です。
3)物件は不動産業者ではなく、不動産業者の営業担当者が斡旋する?
賃貸の営業担当者は、歩合給制です、業者によっては様々な制度を導入し、お札(歩合金)を見せて営業社員のオシリを叩いておられます。
賃貸業者の殆どが歩合給制を導入しており、業者によっては1取引あたり7万円以下に歩合は計算基本数字に加算しない、或いは月間売上70万円以下の社員は歩合給が付かない、等々数々の制度を設けておられます。
不動産業者の店舗では、1店舗1000室以上(シーズになれば倍以上)の空室情報を持っており、その中で斡旋しやすい物件に目を付け、挙って競い合います。営業社員がどの部屋を斡旋するかはその社員次第となります、売上の上げやすい物件に目が行くのは(良い悪いは別にして)当然かもしれません。
家主様はその実態を知り、逆に活用されるのも方法かと思われます。
尚、弊社は歩合給制を採用しておりません、何故かと言えば確かに歩合は営業社員を叱咤激励するには適しておりますが弊害があります、それは「社員が育たない」「何をしても成績を上げたい為、強引な営業をする」等があり、長い目で見れば良くないのではないかと考えております。
3)家主側は如何すれば良いの?
「管理」
賃貸管理については、業者に全てを任せてしまうのではなく、あくまで家主様はマンション経営の経営者であり、管理業者には管理業務をアウトソーシングし、あくまで経営のパートナーであるとの認識がベストであると思われます。
根拠のない「勘ピユウター」によるアドバイスをする業者、家主の意見を聞かず自分たちのやり方で行う業者、管理物件を他者に公開しない業者、管理報告に間違いがある業者、依頼しても対応の遅い業者等は、管理を任さないのが良いと思われます。
「仲介」
媒介業者の選定は、大手業者に任せておけば安心は幻想である、又、多くの業者に声をかけない、一つの信頼できる業者に任せることが重要である。
前述の様に、多くの業者に声をかけても10人の見込み先であれば、一つの業者から何千、何万人の目に触れる物件情報にした方が確率が上るのは明白です。
信頼できる斡旋業者選びとは
① 斡旋物件情報を自社で独占しないで、他社に積極的に公開しているか?
② 自社のホームページは当然、アクセスの強い「ホームズ」「アドパーク」「フォレント」「アットホーム」等のサイトに物件を配信しているか?
③ 不動産業者間情報サイト、「近畿レインズ」に登録、物件配信しているか?
④ 自社の情報誌、店頭図面等に載せているか?
⑤ 毎週金曜日に、当該物件近隣賃貸業者に物件情報をFAX送信しているか?
⑥ 目に付きやすい物件詳細図面を作成してくれているか?
⑦ 空室情報が作成されており、定期的に賃貸業者にFAX送信しているか?
⑧ お客様とは勿論、他の業者にも気持ちの良い応対がなされているか?
以上の様な点をチェックしてみましょう、該当項目が多い業者があなたのパートナーとなれる業者でしょう。真面目に、誠心誠意家主様のために一生懸命対応してくれる業者を選びましょう。
賃貸業者のお客様は3種類であると認識しております、①入居者 ②家主
③他の賃貸業者であります。
他の業者は大切なお客様であると思っております、他の業者をないがしろにし、敵対視した扱いは、自社の大切な「お預り斡旋物件」をご紹介してくれる業者を排除しているようなものであり、長期的に見れば良いことではないように思います。
大岡越前守のお裁きで三方一両損がありますが、「三方一両徳」の精神で、利益を分かち合える器の大きな業者をお選び下さい。
次号では、「契約率が飛躍的に向上するテクニック」をお伝えいたします。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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