(19年8月号) 第33号
8月は「お盆」の行事があります、正しくは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」のことで、サンスクリット語の「ウラバンナ」を音訳したもので「地獄や餓鬼道に落ちて逆さづりにされ苦しんでいる」という意味です。その為に供養を営むのがお盆です。
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が交付され、平成12年3月1日従来の契約に「定期借家契約」が加わりました。
今回は定期借家契約の活用について考えてみたいと思います。
1) 定期借家契約とは
一言でいえば、更新のない賃貸借契約の事です。従来の契約では正当事由がなければ更新を拒めない契約の事で、殆どの場合は立ち退きをせまれないのが旧借家契約です。戦後立場の弱い入居者を守る為に創設された法律が今も継続されております。その為に良質な賃貸住宅が供給されない理由の一つと言われております。その旧来型の借家契約を新たに期限がくれば契約が終了する借家契約が創設されました、それが定期借家契約です。
分かりやすく下記に主に違う点を表にしてみました。
(但し、床面積200㎡未満の居住用建物の場合で作成)
定期借家契約 | 従来の借家契約 | |
---|---|---|
契約方法 | 書面による契約。契約書とは別に「更新がない」通知書を交付 | 書面でも口頭でも可能 |
更新の有無 | 期間満了により終了 | 正当事由がない限り更新 |
賃貸借期間の上限 | 無制限 | 平成12年3月以前の契約は20年、以後の契約は無制限 |
期間1年未満の契約の効力 | 1年未満の契約も有効 | 期限の無い契約となる |
建物賃料の増減特約の効力 | 特約の定めに従う | 特約に関係なく、賃料の増減を請求できる |
定期借家契約は契約期限の1年から6ヶ月前までの期間に書面で契約が終了する旨の通知をする必要がある。
2) 定期借家契約のデメリット
1) 借りる人にとって魅力がない為、入居を避ける傾向にある
2) 制度が複雑で、正確に理解するのが難しい
3) 契約の手続きが煩雑で、使い勝手が悪い
4) 契約期間内に家賃の値上げができない
5) 更新が無い為、賃料等の条件を緩和しなければならない
3) 定期借家契約のメリットとその活用方法
上記の様なデメリットもありますが、逆にメリットもあります、それは期間を限定して貸す場合、例えば「転勤留守宅を貸す」「将来家主が住む予定がある」「建替え、改装予定がある」等は有効に活用出来ると思われます。
しかし、もう少し積極的な考え方をすれば「審査の際、収入に不安のある入居者」「保証人がない」「法人と長期契約をする場合」「留学生、高齢者と契約する場合」等に活用することが出来ます。一度ご検討されてみては如何でしょうか。
今後は
全国宅地建物取引業協会等の団体が、もう少し使い勝手のよい法律に変更をしていただけるよう政府、関係機関等に要請中ですので、今後デメリットも少しずつ解消されるのではないでしょうか。
本契約等に関しご質問があれば何なりとお申し出下さい。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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