(平成23年7月号) 第79号
梅雨が明けました、途端に厳しい暑さが続いております。夜も寝苦しく、寝不足にならないよう気を付けましょう。
今月号では、今後新たに賃貸経営を考えておられる方の為に、賃貸市場の現状と、新たな賃貸市場のご紹介をさせて頂きます。
【賃貸市場の需給関係は今後どうなるの?】
【所得要因】
現在のデフレ基調は当面続くものとおもっております。物価は下がり続け、企業業績は悪化し所得が伸びない状態で、デフレスパイラルに落ち込み脱出出来ないのが現状です。
一方、政府は所得控除を廃止、給付付税額控除制度を新設し、歳入庁を創設、社会保障番号制を導入、所得の再分配と併せ社会保険料の相殺制度を検討中である。
又、近い将来には消費税の引き上げもなされるものと思われます。
電気料等ライフラインのコストも環境問題、エネルギー問題等の要因で上昇する事はほぼ確実であります。
この様に、収入は減るが生活する上でのコストは上昇し、可処分所得あるいは実質所得は減少する一方です。
【人口問題】
商品の値段は需給関係で決まるのが経済常識ですが、賃貸市場での需給関係は賃貸派人口と、賃貸住宅戸数の増減であります。
賃貸派は若年層が主流であり、少子化の関係で賃貸派は減少して行くものと思われます。
【過剰供給問題】
一方、供給側は投資ファンドによる供給はリーマンショック以来減少しておりますが、賃貸住宅建築会社が地主様に一生懸命に営業をかけ、未だに多くの物件が市場に供給されているのが実態です。
既に800万戸以上の空家があるにもかかわらず供給は止まりません。
現在日本全国の賃貸物件空室率は平均で13%となっております。逆に言いますと87%の入居率であり、本当の意味での危機感は無いのが現状です。
【今後の需給関係】
以上の状況から、所得の減少、賃貸入居希望者の減少、賃貸住宅新築が続き、需要層の減少と、供給過剰から、益々賃貸市場は厳しくなるものと思われ、本当の意味での危機感を持つようなるのではないでしょうか。
【賃貸マンションの現状は如何なっているの?】
【投資ファンド物件は、今どうなっているのか?】
一昔前までは、市場を謳歌した繁栄の日々を送っていた投資ファンドも、投資家を重視し居住性を無視した事で行きづまりが表面化してきました。投資家の手前上収益確保が条件である物件であり、あまりにも高い賃料を下げる事が出来ず苦慮されていましたが、力及ばす値下げをするファンドが出て来ました。
その結果、近隣の物件にも値下げが及んできております。
ファンドは比較的新しい物件が多いのですが、何の特徴もない物件が多く入居率の低下が表面化したものと思われます。
【サブリース・家賃保証で建築した物件の現状は?】
サブリースとは、主には賃貸マンションを建築した業者が家主様から家賃相場の80%~90%で一括借り上げを行い、入居者に転貸しをするものです。
その目的は自社で建物の建築をして頂く為の手段です。
一見、家主様に取って安心なリスクのない、手間のかからない最善の方法であると思われている方が多いのが実態ですが、上記で述べて参りました通り、今後もますます賃貸市場は厳しくなります。その中で30年間空室リスクを当方で引き受けますと言われる事が信じられません。
このような物件は極一般的な物件が多く、近い将来に「家賃の値下げ、契約の見直し」等の状態になる事が考えられます。
【差別化した賃貸物件とは?】
一昔前に賃貸物件の差別化を図る為に、デザイナーズマンション等を建築され差別化を図られているマンションがありますが、見かけは良いのですが、どうも住み心地は良くない物件を見かけます。
外観は非常に綺麗、最新の設備を完備している等、本来の人間が生活をして行くのに本質的に必要でない部分を強化し、入居者を引きつけようとする差別化は本質的な差別化ではないと思います。
【徹底した市場調査による賃貸マンションは?】
対象物件の地域が顧客の求める設備、機能、間取り、外観、等のニーズを徹底調査し、それに基づく賃貸物件を建築する。
一見最善の策であるように思われますが、その事は過去の延長線上での考えであり、改装等に用いる策であります。新たな市場(賃貸物件)とは別のものであると思いますが如何でしょうか?
【未来の賃貸市場とは】
それでは今後賃貸物件を建築するのは「どの様な賃貸物件を建てたら良いのか教えろ」との声が聞こえてきそうです。
多様化する、入居者ニーズに対応するには「適格な回答」は無いと思っております。
ただ言える事は、流行の格好のよい賃貸物件ではなく、人間が暮らす為の本質を捉えた物件でなくてはなりません。
ある書籍に、「これからは心の時代である、心の満足や自己実現の欲求に根ざした商品を供給する事が、人口減少社会の中で生き残る唯一の道だ、不変の価値とは新しさや綺麗さではなく、入居者の人生と共存することが不変の価値である」と書かれております。
一時的な流行を追うのではなく、住生活の本質を今一度考える必要があります。
現在日本中の賃貸物件数は2,200万戸の賃貸住宅が存在し、多くの物件が世界中からウサギ小屋と揶揄されております。
その中で異彩を放つ賃貸物件(豊かな住生活基盤)を建築する事が重要で、それがご自身の延いては社会の大きな財産であり、社会貢献であると思います。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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