(平成20年12月号) 第48号
光陰矢のごとし、早くも師走となり本年も最後の月となりました。
本年中のご愛顧を感謝申し上げますとともに、来年も尚一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申しあげます。
今月号では、賃貸経営にあたり良いパートナーを探し、
上手く付きあう方法を考えましょう。
【パートナーとは】
家主様にとって有益なパートナーとは、賃貸経営に係わる仕事仲間であり、具体的には、不動産業者・銀行・改装業者・弁護士・税理士・司法書士・管理会社等です。既にお付き合いのある家主様が殆どであると思いますが、そのパートナー探しは家主様にとって重要なお仕事の一つであります。そこで今回家主様にとって有益なパートナーとはどのような業者かを考えてみましょう。
サブリース、家賃保証等でご自分の賃貸物件を業者に丸投げしている場合は、あまり賃貸経営について考える必要がなく、賃貸経営についての知識・経験等が不足している家主様が多い様です。
「法の無知は罰す」と申しますが、法を知らなかったので法を犯した罰を許してもらえることにはなりませんとの意味です。
家主様が賃貸経営についての知識がないため経営に失敗したので誰かに弁償してもらえると言うことにはなりません。自分の経営は自らの責任において行うべきものです、しかしながら経営全てに万能な経営者はおられません、自分の弱点を補ってくれるのが有益なパートナーであると思います。
何かあった時に適切なアドバイスをしてもらえ、時には厳しいことも率直にアドバイスしてくれるパートナーが必要です。
中には業者側の倫理で「ごり押し」に物事を進めるところもありますが、飽くまで知識やノウハウを持っている業者が選択肢を示し、家主様に選択してもらうのが本来の姿であります。
特に管理会社は、賃貸経営において接点が多く、長い付き合いとなりますので、信頼できる管理会社と良い関係を築く事が重要です。
【不動産・管理会社の実態】
私が銀行勤務よりこの業界に身を移し10年になりますが、この業界の特徴は、組織的に会社を運営しているのではなく、一人一人の営業社員が営む個人商店の結集が一つの不動産会社を組織していると言った方が正確なのかも知れません。従って、情報収集、戦略、戦術全てが個人の能力に委ねられ、会社全体の理念等が希薄な業界であると感じております。
従って、営業社員は成果給部分が多く、個々の成績を優先した取り組みになりがちです、具体的には決まりやすいお部屋情報、或いは仲介手数料、広告料の多くもらえる物件等は個人のものとし机の引出しにしまいこんで、自分の顧客に優先的に紹介する。
案内の場合は「当て馬物件を2物件見せて、本命物件を最後に見せる」等のテクニックを駆使する。
自社で預かった物件を他社がお客様を斡旋した場合、自社は家主様より広告料のみの収入(分かれ)となり入居者よりの手数料は他社が受け取ることになります、そのため優良物件は両手数料狙い(広告料+斡旋手数料)で物件情報を自社で抱えてしまい他社に流さない傾向にあります。
日本の大手業者(E社)は、組織として自社物件は他社には一切流さない営業をされております、大手業者であり斡旋力はありますが他社に流せばもう少し早く決まる可能性があるのにと思うこともあります。
最近は借主様よりの仲介手数料が半分になり力関係で弱い立場になった家主様に広告料を上積みした要求をする事もあります、又入居者に礼金を上積みして家主様より広告料名目で礼金に上積みした金額を要求するところもあります。
近年は、日本全体で空住居が660万戸になったと言われております、年々入居者の立場が強くなってきており、家主様の収入が減少傾向にあることは事実です。その家主様よりの収益源を主として営業している、不動産業者・管理会社の収益も連動して減少しているのが実態です、そのような情勢下では上記の自社優先の利益確保行動は現実として起こりうる傾向であるように思われます。
お断りしておきますが、全ての業者がこのような事を行っているのではありません、自社の経営理念に基づき一生懸命、真面目に営業を続けておられる業者も沢山御座いますので念の為付け加えておきます。
【業者の実態を考慮した満室経営を目指そう】
家主様の最大の課題は、稼働率を上げることに尽きますが、お金も掛けない、手も掛けないでは入居者も決まりません。
新築当初は何もせずに満室が続いていたが、そのまま満室がズーと続くことなどありえません、いずれ経年劣化と空室リスクとの戦いとなり、高利回りを維持できなくなり苦慮することになると思われます。
不動産業者に言いなりになるのは如何かと思いますが、リフォームを施し建物の維持管理をすることも必要です。
又、家主様にとって入居斡旋が最重要課題であり不動産業者を旨く使うことが必要です、その為には不動産業者に優良物件(物件の質に対し家賃が安価である場合)と思わせ、業者に積極的に紹介してもらえる体制つくりが重要であります。以下に具体策を列挙致します。
①大家はサービス業であることを自覚し入居者は神様であると思うこと。
②物件の定期的な清掃と隅々まで行き届いた心配りで物件を奇麗にする。
③近隣家賃の相場をつかみ、適切な条件設定を行う(自身の物件を過信しない)。
④物件情報を広く行き渡らせるには、信頼のおける不動産業者に専任で預ける。
(不動産業の担当者は個人商店と思え、魅力ある物件情報は抱えてしまう)
⑤案内用の鍵は必ず現地に置いておく。
(業者は手間の掛からない物件を優先する)
⑥広告料を出し惜しんだため長く空いたままになるより、広告料を出す。
(業者は広告料が2ヶ月出る物件があれば多少遠くても優先して案内をする)
⑦両手数料狙いの業者には物件を預けない。
(物件情報を他者に出しているか、レインズ「業者間情報サイト」に登録しているかを業者に確認する)
要は、入居者が魅力を感じる物件か如何かを不動産業者はよく知っております、家主様は如何に自分の物件を魅力ある物件に仕上げるかを第一に考えるべきだと思います。
新築時代の栄光を引きずり、自己物件は何処よりも良いと思いこんで、何時までも強気でいるため空室が増えていませんか?
物件の年数が経つに従い、間取りが今風でなく何処か古臭い、家賃は昔のままであるような物件ではありませんか?
不動産業者がお客様を案内してもなかなか決まらない状態ではないですか?
家主様が広告料を出し渋るのは不動産業者が敬遠します、欲を出しすぎ、ケチってばかりして業者が相手にしなくなっていませんか?
新築物件であっても空室に悩まされる時代です、中古であればなおさらの事、何もせず、何も出さず、満室経営ができるほど甘くはありません、部屋は何時までたっても空室のままになっては元も子もありません。
なにも不動産業者に迎合する必要ありませんが、不動産業者の実態は記述した通りです、不動産業者の実態を知り、逆に不動産業者を旨く使うのも一考です。
儲けることばかりが優先している、法令順守せよとお叱りを受けるかも知れませんが、実態は記述の通りでそのまま包み隠さず記載いたしました。
大変家主様に失礼な事ばかりを記載いたしましたがご勘弁下さい。
日本国において「衣」「食」に比べ住環境はまだまだ劣っているのが実態です、住宅は人々の憩いの場であり、子育てをする場であり、明日へのエネルギーを蓄積する場であります。その住環境を充実する重要な使命を負っているのが我々であります、「住」の重要性を知り、住環境を向上させる使命達成のためお互い頑張りましょう。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
今後とも宜しくお願いを申し上げます。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
Copyright(C) tomato house co.,ltd. All Right Reserved.