(平成21年5月号) 第53号
五月の「さつき」とは、田植えをする月「早苗月」が短くなったものです。 鮮やかな新緑が目に飛び込んで心も穏やかになる季節となりました
サブプライムローン問題に端を発した金融不況のなか、一部の富裕層が収益物件を買い始めております。今月号では収益物件の特集を掲載いたします、ご自分の収益マンションの価値判断も合わせお読み下さい。
【収益マンションの売買現況】
サブプライムローン問題に端を発した金融危機は当面続くものと思われますが、中国景気が持ち直し、中国向けの輸出が増加しており一部製造業の生産が活発化しております。しかし本格的な景気回復は金融機関の体力回復が完了し、積極的な貸出に転ずる時期となり、来年一杯は辛抱しなければならない状況ではないでしょうか。
一方不動産に目を転じると、昨年春頃まで上昇してきた地価が減少に転じミニバブルが崩壊し、現在ではかなりの価格調整を余儀なくされてきております。
原因は金融機関の貸し渋りが原因で、特に不動産業への融資は全くなされず、不動産投資ファンドにもお金が回らない状態が続いており、不動産業者、投資ファンド会社は資金繰りのために手持ち不動産を売却しなければならない状態に追い込まれております。
そんな中、収益物件においては一部の富裕層が収益物件を買い始めております。その要因は、不動産に下げ止まり感があること、ファンド等から収益物件の投げ売りが出ていること、貸出先に窮した金融機関が富裕層に対し積極姿勢に出ていることがあげられます。
特に需要の高い物件は、5千万円~2億円までの物件であり、その層の物件を求める方は全体の半分程度を占めており、当該物件の品薄感が出ております。
しかし、投資ファンドが抱える3億円を超える物件の需要は少なく、逆に価格交渉をしやすい状況と思われます。
今後も、金利安、デフレの状況下、地価の底打ち感が顕著になれば尚買い意欲が活発になるかも知れません。
【収益物件価格の目安】
現在売買が成立している収益物件の価格は、収益還元法での価格設定が行われております。収益還元法と言ってもDCF法のような複雑な計算方法での価格査定を行いますが、今回は目安として単純収益(表面利回り)に対する収益率での価格査定をお示し致します。
表面利回りとは⇒(家賃+共益費/年)÷物件価格=収益率で求めております。
(尚、礼金収入、更新料収入を含めて計算している場合もありますので注意が必要です)
(A)鉄骨造り・築10年以内⇒ 9%~11%
(B)鉄筋造り・築10年以内⇒ 8%~10%
(C)鉄骨造り・築20年以内⇒10%~13%
(D)鉄筋造り・築20年以内⇒ 9%~12%
(E)鉄骨造り・築20年超 ⇒11%~15%
(F)鉄筋造り・築20年超 ⇒10%~15%
以上が飽くまで目安となります。
入居率・貸室(間取り・設備・部屋広さ等)・立地・環境・建物状態・管理状態・敷地形状等により違いがあります。
ご自分の賃貸マンションを一度確認して見て下さい。
例)築20年以内、鉄筋造り、年収1000万円⇒(D該当)1億1千万円~8千3百万円程度となります。
【収益物件購入の場合は】
逆に、新に購入する場合のチェック項目は下記の通りです。
1) 高い入居率が維持できるか。
2) JR、私鉄の駅より近いか。
3) 買物便、公共施設便、医療施設便、環境等の良否
4) 設備面充実度、セキュリティ・間取り、部屋面積、等の良否
5) 建物躯体、外装、内装、防水、受水層、配管・配線・EV等の状況
6) 建物管理の状況
7) 土地の形状・面積、駐車場、接道、前面道路、等の状況
8) 建築確認済証があるか、違法建築部分はないか
9) 銀行融資は付きやすいか、長期の融資が可能か
以上・その他の点をチェックされ、金額の目安を設定し、金額交渉、条件交渉に入って下さい。
一番重要な点は、購入後も高い入居率が維持できるかどうかであります。
購入したが、入居者がいないでは収益物件として何の価値もありません。
又、入居率が高いのを信用せず、レントオール(収益一覧)を取り寄せ真偽を確認する必要もあります。
その為には、信頼の置ける不動産業者に相談されるのが良いと思われます。
【最後に】
現在家主様のお持ちの物件を価値のある物にする為には、購入される側の立場で一度ご自分の賃貸マンションをチェックして見てはいかがですか。
又、立地等の動かせない条件以外は、日頃から気をつけてリフォームするなり、補修する等、価値のある物件になるように小まめに手を入れることが重要かと思われます。
家主様は賃貸業の経営者であります、ご自分の物件に熱意を持って魂を入れて下さい、必ずや満室経営が出来るものと確信いたします。
又、信頼の置ける賃貸住宅管理業者を選任され、今後の厳しさを増すであろう賃貸業の将来で、勝ち組として成功されますことをお祈り申しあげます。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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