(平成21年6月号) 第54号
去る、5月30日に「とまとハウス家主セミナー」を呉竹文化センターにおいて開催致しました。多数のご出席を頂きました事を感謝申しあげます。今後も皆様方のご興味のあるテーマでのセミナーを予定いたしております。今回の「耳より情報」は、弊社代表者が行いましたセミナーのテーマ【今後の賃貸経営(今求められる賃貸経営の在り方)】について、お話をさせて頂きましたセミナーの内容を掲載させて頂きます。皆様方のご参考になれば幸いで御座います。
今後の賃貸情勢はどうなるのか?
【国内情勢の動向は】
皆様方ご承知のとおり、日本国内の今後の動向は、「少子高齢化」が進み、それに伴い労働者人口も減少いたします。従って今後の企業経営は、市場が縮小し従来型の経営は行き詰まることとなります。各企業の対策は、①市場を海外に求めて行く(特に中国)②国内でのシエアー拡大競争が激化しM&Aが活発化する ③新しい市場を創設する。流れです。 【賃貸業界では】 日本の人口は2006年より減少に転じており、世帯数も2017年より減少となる予測となっており、需要の減少は否めない状況です。一方、新築賃貸住宅は40万戸以上が毎年建築され続けており、現状では供給の減少は見られないのが実情であります。日本全国の空家が平成15年に300万戸であったのが、現在では600万戸に達すると言われております。なんと5年で倍増しているのが実態です。従って、需給バランスは崩れ続けると予想され、今後の賃貸経営は大変に厳しくなるものと思われます。
新築住宅着工戸数年度別推移 新築住宅着工戸数 内新築賃貸住宅着工戸数 戸数 昨年対比 戸数 増減平成16年 1,193,038 1.7%増 467,348 1.9%増平成17年 1,249,366 4.7%増 517,999 10.8%増平成18年 1,285,246 2.9%増 537,943 3.9%増平成19年 1,035,598 19.4%減 430,867 19.9%減平成20年 1,039,180 0.3%増 444,747 3.2%増 空家 平成15年 300万戸 現在 約600万戸
【今後起こると予測される問題点】
1) 需給関係の悪化から、収益が減少する。上記の通り、需給関係の悪化から家主様側の収益は減少するものと思われます。その現象としては、家賃の値下り、礼金、更新料は無くなる傾向であり、原状回復費用においては敷引問題等で入居者側から貰えず収入は減少致します。一方、経費面においては、広告料2ヶ月の物件が少しずつ増加しており、投資ファンド物件においては家賃の引き下げが出来ない為にAD5ヶ月と言ったところも出てきております。又入居者確保優先からフリーレント1ヶ月・2ヶ月の物件も増加傾向であり、それに伴う家主様側の経費負担も増加傾向にあります。
2) 入居管理の複雑化需給関係の逆転現象から、入居者とのトラブルが増加すると予測されます。弊社の管理物件でもチョットした苦情が増加傾向にあり苦慮することが多くなっております。苦情はあって当然ですがクレーマーは困ります。消費者契約法の創設を境に急増しておりますが、今後消費者庁創設の法案も参議院を通過し、益々消費者側に立った行政が行われるものと思われます。例えば、滞納者に対して、滞納請求する場合、職場はダメ、22時以降の自宅への請求はダメ、威圧するような言葉使いはダメ、等々、益々消費者保護傾向は拍車がかかるものと思われます。今後は高齢化から1人或いは2人暮らしの高齢者が増加する傾向にある、外国人の入居増、ペットと暮らす入居者増、等々、が今後ますます増加し、入居管理が複雑化する流れは加速されるものと思われます。
3)建物の老朽化建物は建てた瞬間から老朽化が始まります。今後は老朽化した賃貸住宅が益々増加するものと予測され、その対策が急がれます。 今後どうすれば良いのでしょうか?
【一般的な今後の対応策】
1) 建物を常に新築時に近づけるよう心掛ける。常に、小まめな改装、設備の入れ替え、等の対応をする。時には思い切って、リノベーション、建替え等の対応を行う。最終的には売却も一考
2) 入居管理の強化顧客満足度を高くし、サービスの向上を図れば長く住んで頂けます、長く住んで頂ければ高稼働率が維持できます。 3) 賃貸条件の緩和建物に、管理にお金を掛けないのであれば家賃を下げる・敷礼なしにする・広告料を増やす・フリーレントを取り入れる・入居審査を緩和する等、の対応以外のこされておりません。
【弊社の考える対応策】
賃貸建物は建ててからが長く、20年30年と高稼働率を維持しなければならないのが実情です。又今後は7対3の割合で管理面が重視されるようになります。「単に部屋を造り借りて下さい」ではなく、その部屋にどの様に付加価値を付け、多様化する入居者ニーズに対応出来るかが鍵であります。貸す方法を考え、方法の商品開発を進める事が今後賃貸物件の高稼働率を維持できる重要なファクターであると思います。
1) 大きな市場を避けて、ニッチな市場に特化して行く多様化するニーズに対応することにより、ニッチな市場に特化することとなります、市場は小さいが確実に顧客が獲得できるメリットがあります。例えば、ペット同居型・高齢者専用・外国人専用・ガレージハウス・楽器演奏可能住宅・家具付住宅・マンスリー、ウイークリー、ワンイヤーマンション等オンリーワン商品の開発こそが高稼働率を維持できる戦略であると考えます。
2) 家賃価格帯で競合の少ない価格帯を選択するこれも、ニッチな市場への特化であり、物件の高級化、或いは逆に低所得者向け住宅の供給も一つの方法であると考えます。ファミリー物件では、6万円~10万円の範囲・ワンルームであれば3万円~6万円程度の家賃価格帯が競合の激しい価格帯であり、インターネット時代ではその価格帯は家賃が1千円違えばアクセスが激減するのが実態です。しかし、その価格帯を外すと急激に物件数が少なくなりアクセス数が急激に増加する。又高額物件と言われる家賃15万円を超えてくると、家賃が2万円・3万円高くても需要は強い為、収益率は非常に高くなり、稼働率も高くなるのが実態です。今後は、多様化するニーズを捉え、小さな(ニッチ)市場に特化し、又価格帯においても小さな市場に特化した、商品開発を進めることが、収益率・稼働率を向上させることとなるでしょう。
【経営者としての自覚が必要である】
釈迦に説法であると思いますが、家主様は過去のような「貸してやる」と言った態度の対応では通じなくなる時代が到来しております。又、管理会社にサブリース・家賃保証等で業務を丸投げするのは、自ら経営を放棄したに等しいと思います。飽くまで、家主様は賃貸事業の経営者であると弁え、経営者として学び、経営者として熱意をもって賃貸経営に取り組んで頂きたいと強く思います。飽くまで管理会社は家主様のパートナーであると心得、経営判断は自ら行うのが経営者であると思います。尚、管理会社(パートナー)の選択は大変重要であると思われ、現在では宅地建物取引業法等のように管理業が法制化されておらず、管理会社により管理業務がまちまちで、何もしないのに管理料として取得している業者もあり、逆に一層懸命になって管理業務を行っている業者もあります。今後益々複雑化する管理業務の良きパートナーを選ぶことは大変に重要であると思います。最後に家主様の持つべき注意点を列挙し参考にして頂ければ幸いです。
1) 管理業は経営であり、経営者たれ
2) 賃貸業はサービス業であると心得よ
3) 入居者は大切なお客様として大事にせよ(退去者がいなければ満室経営が出来る)
4) 常に建物の維持管理に努めよ
5) よい管理会社と良好な関係を築け
大変に失礼な事ばかり申しあげました事をお許し下さい。今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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