10月10日に「賃貸住宅フェアー」に行って来ました。今回はそのご報告を致します。
お陰様で「耳より情報」も100回目を迎えることができました。平成16年12月に第一号を発行してから早いもので9年が経ちました。
今後も引き続き皆様方の参考になる情報をお届け致します。
【公示地価が発表されました】
3月19日に公示地価が発表されました「2014年」の公示地価を見ますと、都市圏(東京・神奈川、千葉、埼玉)、名古屋・宮城・沖縄が住宅地、商業地ともに上昇しております。
大阪・京都は商業地が上昇し、福島は住宅地が上昇しております。
要訳すると、3大都市圏(東京、大阪・名古屋)、震災関連(宮城、福島)、沖縄人気(沖縄)が上昇したと言ったところです。
不動産業に係わる業者は、昨年1月頃よりアベノミクスによる不動産の活発な動きを感じていました。公示地価は昨年度の結果が公表されたものであり、現時点での現況が反映されているものではありません。
【3大都市圏での地価上昇の要因と今後の動向】
3大都市圏での地価上昇の要因は、バブル崩壊以降都市部の地価が1/10以上(場所によりますが)下落し、その事が分譲マンションを建築しても十分に採算がとれて、販売価格を押し下げる事となりました。
その結果、所得が減少しているにも拘わらず住宅購入者の購入意欲をかきたて、都市部の高層マンション供給が活発となり、場所によっては即日完売の様相となり、高層マンション供給が増加した。その為にデベロッパーは売れ行きの良い都心部の高層マンション用地取得に積極的に動いたため、時価上昇の大きな要因となりました。
又、円安要因から日本の不動産(REIT、現物含め)に投資する海外資金が流入したことも一つの要因であります。
最近弊社でも投資マンションを中国人に売買仲介をさせて頂きましたが、中国の不動産開発会社(浙江興潤置業投資)が経営破綻をするも中国政府は関与せず、その為中国大手銀行は不動産向け融資を絞り始めた。中国では個人の投資熱は相変わらず活発であり、当局の目の届かない「影の銀行」の行方を懸念し、海外の不動産に向かう投資が増加しているものと思われます。
世界の富裕層は預金・保険等に預けたり、ファンドに投資したりしているが、その不要不急の資金総額は、8000兆円とも言われております。その巨額なボーダレス・ホームレスマネーの一部が日本に向かった場合、先ず地方の物件に投資するはずもなく、やはり都心に向かってくることは明らかでありその場合の予測はつかない。
因みに、昨年度に東京証券取引所において株式投資された内訳は、海外投資家が15兆円の買い越し、日本の法人が5兆円の売り越し、個人が9兆円の売り越しであった。
日本の株式市場は海外投資家の意思により大きく影響を受けているのは確かである。個人の投資資金が買い越しに転じる頃には、海外投資家が売って来るのはいつものパターン。日本の経済、企業業績よりも膨大な資金の動きによって相場が左右される時代となっていることを確認しておく必要があります。
不動産地価動向に戻りますが、地方圏では下落率は減少したものの下落は続いており、地価の二極化は益々加速するものと思われます。
よくよく考えてみますと、人口が減少して行くのに、日本全体の不動産価格が上昇するとは考えにくい。都心部の地価下落から高層マンションの建築ラッシュで周辺部から都心部に人口が流れたに過ぎず、日本全体の不動産が活況であるとは言い難い現象である。
但し、個人がインターネットで商品を購入する事が急激に拡大しており、物流拠点・物流倉庫等が不足しており、個別の要因で特定の場所の地価が上昇すると言った事は起こり得ると思われます。
今後は、経済状況・金利・給与水準・地価の動向によってこの状況が続くのかどうかが決まるのではないでしょうか。
地価は、地方圏の下落傾向が続くが、都市圏の地価は今後の景気動向・海外投資家動向によって決まって来ると思われます。
【最新の賃貸業界の動向】
近年の全国賃貸物件稼働率86.9%ですが、年々下落が続いております。
御承知の通りその大きな要因は人口減少と供給過多です。
住宅統計調査(総務省)では5年毎に調査が行われておりますが、昭和23年に調査が行われた際は総住宅数が1391万戸でしたが、平成20年には5759万戸と4.1倍に増加しております。
空き家は昭和38年以降一貫して増加しており、平成10年に初めて10%(11.5%)を超え、平成20年には13.1%(754万戸)に達しております。
平成25年の調査結果は未だ出ておりませんが、増加していることは間違いが有りません。
今後も、賃貸層の人口減少、相続税負担増に伴う賃貸住宅の建築増等を鑑みて、空室は従来に増して急速に増加するものと思われます。
弊社の店舗は丹波橋にありますが、当該商圏でも年間10棟から15棟の賃貸マンションが建築され続けております。
お部屋探しをされる方は減少しており、新たに建築される部屋は200室、300室/年間と増えており、急速に空室が増加しております。
建築する側としては「丹波橋周辺については立地がよい」のでとの理由ですが、入居者は限られており「限られたパイの食い合い」現象で、競争力のない物件は今後急速に空き部屋が増加すると思われます。
【今後の対応策】
時代の変化は目に見えて急速に変わるものではありませんが、知らぬ間に変わっていたと感じることが多いものです。
賃貸動向も同じで、昨年満室だった物件が今年は半分になったと言った極端な変化はありませんが、徐々に変化しているのが実情です。
賃貸経営は長期にわたるものです、長期的にみて競争力のある物件にすること一点に集中する事であると考えますが如何でしょうか。又、賃貸経営は事業であることをわきまえる必要があります、従来の賃貸経営は相続対策の為だけであっても賃貸物件を建築すれば入居者がありました。
今は、待っていては入居者が他の物件に取られてしまいます。賃貸は事業として「貸してあげる経営」から、「借りて頂く経営」に転換しなければなりません。常に入居者目線で考え経営する必要があり、貸主側目線での経営は市場から淘汰されることになることを肝に銘じる必要あがります。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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