(19年12月号) 第37号
いよいよ師走今年も後僅かとなりました、証券界では「掉尾の一振り」と言いますが、我々も本年最後の月を「有終之美」で飾り、よき年となりますよう頑張りましょう。
10月号・11月号で、①賢い管理媒介不動産業者の選び方、②契約率が飛躍的に向上する内見テクニックを掲載いたしました。
今月号ではシリーズ最終章(第三弾)「③収益率を重視した建物建築・建物管理術」について記載いたします。
【収益率を重視した建物建築・建物管理術】
1) 空室をなくし、稼働率を上げるのは如何すれば良いの?
入居率100%はあり得ません、しかし1日たりとも空室があれば当然その分収入が減ってくるのは明白です、賃貸経営は「機会損失」との戦いであると言っても過言ではありません。如何に空室を少なくするかの方法を列挙いたします。
「空室を防ぐにはどのような方法があるの ?」
空室を防ぐ方法は「単純明快」退去を無くすことであります。しかし永遠に入居して頂くことは不可能であります。退去の理由で「遠くに転勤する」「大学を卒業し遠くに就職する」等々のように止むを得ない理由により退去する場合は仕方がないのですが、「マンションの管理が悪い」等の理由で退去されるのはこちら側の対応次第で防ぐことができます。
その対策は、入居者を「お客様」として大事に扱い、入居者満足度を高める事に尽きます。賃貸経営はサービス業であり入居者に出来る限りのサービスを尽くす必要がありますが、以下にその具体策を列挙いたします。
☆ 常にマンションの掃除をし、奇麗にしておく。
☆ 機会を見つけ、よく入居者との対話を図る。
☆ 長期入居者への特別サービスとして、設備の取替え、クロスの張替え、ルームクリーニング、誕生日祝いの贈呈等々のサービスをする。
☆ 「24時間」家主との連絡が取れる体制を作り、クレーム等の対応は素早く行うことが重要です。
「その他の対応」
☆ 入居者の退出は出来る限り早く確認することが、次の募集に早く入れ空室期間を最小限に納めることができます。特に繁忙期(転勤、入学時期1月~3月)は入退出が多く、繁忙時の3ヶ月前までに空室を確認(解約通知通常1ヶ月前)しておくことが必要です、電話、お手紙等で確認を取るのも一考かと思われます。
☆ 現在の入居者に次の入居者を紹介して頂く方法があります、入居者の友達等が同じ部屋に入居する場合敷金を全額返金する或いは謝礼金を払う等の特典付で紹介入居者に入居して頂く、このことは業者の仲介手数料も不要となります。
☆ 入居予約制の導入を行い、その物件の入居希望者は入居待ちして頂き空きが出れば順番に入居して頂く、その場合空室が無く見て頂く部屋が無い為室内の詳細な写真等を準備する必要があります。
☆ 自身のマンションのホームページを作成する。インターネットでの問い合わせが70%を超えてくる時代であります、又、現在は比較的低価でホ-
ムページを作成することができます。
2)その他の方法で収益を上げる方法はあるの ?
マンションの収入は、入居者からの家賃のみであると思われている方は是非お読み下さい。
家賃以外に収益を上げる方法はないのか、ご自分の物件をもう一度見直してください、何処かにあるかも知れません?
下記に列挙いたします、ご確認下さい。
1) 駐車スペースがあれば、有料駐輪場、有料駐車場にする。或いはコインパーキングに借上げてもらう方法。
2) 小スペースにラック式の駐輪場を設置し、ステッカーを配布入居者のみの有料駐輪場とする方法。
3) 通行料の多い道路に面していれば、飲料等の自販機を設置する。
4) デッドスペースが有れば、有料トランクルームとする。
5) コインランドリーを設置する。
6) 壁面、屋上等に有料広告用看板の設置募集を行う。
以上が一例ですが、考え方によっては他にも数々の方法があると思われます。
3)賃貸経営者として如何すればいいの ?
家主様は賃貸事業の経営者です、利益を上げ、キャッシュフロー重視の経営を行う必要があります。
そのことは、自ら経営者として事業の全てを管理、運営する必要があります。大変に失礼な言い方かもしれませんが、それを業者に丸投げし自らは業者の言いなりになるのは経営ではありません。管理委託契約は丸投げ契約ではありません、飽くまで管理、運営方針を行うのはご自身です。ましてや家賃保証契約などは丸投げ経営と同じです。業者に委託するのは業務のアウトソーシングであるとご理解下さい。
今後は自ら、賃貸経営に関する勉強を怠り無く行い賃貸経営のプロとして経営にあったって頂く事が重要かと思います。
「良い管理業者の選び方」
その一)飽くまで経営のパートナーであり、賃貸経営の知識を豊富に有し誠実に助言を行い、家主様の意向に沿った運営、管理を行う業者を選ぶ。
その二)賃貸は稼働率が命、入居者を早く斡旋してくれる業者を選ぶ。
その三)入居者満足を実行し、滞納時・退去時・クレーム対応・建物管理の良 い業者を選ぶ。
その四)家主様の手足となり、素直に素早く動いてくれる業者を選びましょう。
逆に、調子の良い業者で、「裏づけのない勘頼りのアドバイスをする」「家主の意向を無視し、一切口を挟ませない」「対応が遅く、対応が悪い」「入居者を決める戦略が無い」等々の業者は避けましょう。
良い業者とパートナーを組むことは大変に重要です。
4)終わりに
賃貸経営の最重要課題は、「利回り」です、昔「物」が不足していた頃は大量生産大量販売で物が売れました、一定の法則で物を作り一定の方法で販売すれば売れた時代でした。しかし現在は物が溢れ、顧客志向は急変し多様化し、大変難しい時代にあります。現在の考え方は物を作る(売る)側の倫理ではなく顧客のニーズを重視しなければなりません。
物を作る場合、生産コストに利益を乗せた金額が売価であるとの認識は作る(売る)側の倫理であり、顧客がこの商品を幾らであれば買うのかと言うことからコストを考えることが必要な時代です。
従って、賃貸経営も、先ず入居者ニーズから、家賃を設定し、建物コスト、設備コスト、管理費コストを長期的視点に立ち考える必要があります。
飽くまで賃貸の経営です、物件の価値も収益還元法・DCF法での算出になっており、利回りを上げることが物件の価値を左右します。
一度ご自身の物件を見直されては如何でしょうか。
これで3回に渡り、掲載してまいりましたシリーズ賃貸経営を終了いたします。如何でしたか、今後も皆様方と一緒に賃貸経営について勉強をして行きたいと思います。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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