(平成23年6月号) 第78号
いよいよ近畿地方も梅雨入り、雨の日が多く蒸し暑い日が続きます。体調管理には気をつけましょう。
今月号では、賃貸住宅関連で、最新の情報をお届け致します。
【更新料問題】最高裁判決は7月15日
賃貸契約における更新料が、消費者契約法10条(信義則に反して消費者利益を一方的に侵害する契約条項は無効であると定めた条項)に当たるのかを審議している最高裁裁判で、6月10日に原告と被告双方の意見を聞く弁論が開かれた。高裁では無効であるとの判断が2件、有効であるとの判断が1件と判断が割れており、最高裁が統一判断を下す。
判決は3件とも7月15日に言い渡される。
私見
今回の更新料裁判の最高裁は、口頭弁論を開いたことで更新料が有効との判決が下りる可能性が少し高くなったのではないかと思われます。
しかし、更新料無効の判決となれば大変な混乱が起きるものと思われます。
特に貸主にとっては収入が減るだけではなく、遡っての返還請求が起きれば大変な出費となります。
現在の賃貸業界に起きている現象は、需給バランスが逆転し家賃の値下げ合戦が続いております。
特にインターネットサイトの物件情報を見ると家賃の安いものから並べられ、部屋を探す者にとっては安いものから見て行く為に、益々値下げに拍車が掛かっているのが現状です。
そこに、更新料が無くなり、敷礼無しが増加し、原状回復費用は貰えなくなれば貸主の収益は減少する一方であります。
賃貸収支の限界を超えると、その結果は明らかで、建物の改装費が捻出できず賃貸物件の質が落ちて行く事になります。その事は入居者にとって質の悪い物件に住まなければならない事になり、延いては皆が苦しむ事になります。
現に、デフレ経済においてコストカットを続けることは重要でありますが、限度を超えると「最近では生肉問題・食品偽装事件の様な」現象が続発する事になりかねません。
デフレの怖さを認識し、政府も早くデフレ脱出政策を取る必要が有る様に思います。又市場が伸びない成熟期において、我々が国内で生き残るためには価格競争は絶対に避けなければならない戦略であります。
その為には、どの様な戦略が必要なのか今一度考える必要があると思われます。
【住宅改修費、秋に新ポイント制】 住宅改修費の5%
現在実施されております「住宅エコポイント」は5カ月短縮され、7月に打ち切られる事になりました。
しかし、国交省は秋に、住宅改修費の5%を商品券などと交換できる新制度を導入する検討に入った。国交省は今回の2次補正予算に盛り込む考えであるとのことです。
私見
現在の制度は、省エネ改修に限定されておりますが、新制度は一般的な改修も適用されるとの事です。
2008年以降、新築住宅着工戸数は減少を続けておりますが、リフォーム市場は逆に市場拡大が続いており、数年前に5兆円規模であった市場が昨年には7.2兆円規模まで拡大しており2020年には12兆円になるとの予測です。
又中古住宅流通の市場規模も倍増予測となっております。
この現象は日本が成熟社会に突入し、新築偏重の住宅政策の終焉と、循環型への住宅産業の構造転換であると思います。新築から既存建物を活かして行く、ストック重視型に変化しているものと思われ、今後も益々この傾向は強まる事になり、リフォーム市場の拡大が予測されます。
【サービス付き高齢者住宅制度が創設されました】
4月27日に衆議院本会議で「高齢者住まい法」が可決されました。
今回の改正で「サービス付き高齢者住宅制度」が創設され、高齢者を入居対象として、生活支援サービスを提供する住宅と位置付け、登録制度が導入されます。従って、今までの高円賃、高専賃の登録制度が廃止され、高優賃の供給計画制度も廃止となります。
国交省と厚労省が其々行ってきた高齢者住宅制度は統合され両省共管の制度となりました。
私見
国は日本での高齢者住宅の割合を欧米並みの5%程度まで引き上げるとの方針であるが、実現するには年間6万戸程度の供給が必要となり、今後は予算、税制、融資の見直しが必要になってくるものと思われます。
当初の高齢者住宅は、高額な一時金を払わなければ入居できない、お金持ちを対象に建設されました。一方特養のような国の補助金で建築、運営されているものは多くの入居待ちが出来ているのが現状です。
現在に至っては、有料老人ホーム或いは賃貸型の高優賃、高専賃が主流となり建築されております。しかしその全ては、食事を付けて15万円~20万円程度の毎月の入居費が必要であり、公務員、大手の企業を退職し年金が20万円以上貰える人たちが対象であります。
今後は、入居費が10万円以下で入居出来る「サービス付き高齢者住宅」の供給が必要であると考えます。
しかしながら、新築でこの金額設定は困難であると思われます。そこで前述のストックを活かせば可能であると個人的には考えております。
民間の知恵を結集し、お金の無い国の補助金に頼ることなく高齢者住宅の普及に寄与できるのであればなお喜ばしい事で有ると考えます。
皆様方の、既存マンションを活かせるチャンスかもしれません。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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