(平成22年9月号) 第69号
「暑さ寒さも彼岸まで」、ながい猛暑も終わり過ごしやすくなりました。
夏の疲れが出ません様にお過ごし下さい。
本屋さんへ行きますと、アパート・マンション経営の書籍が大変多く出版され売られております。私は仕事柄その多くを読んでおりますが、その内容について私なりの見解を記載し、今回のテーマとさせて頂きます。
【私の読んだアパート・マンション経営に関する書籍】
下記に記載させて頂くのは、専門家の書いた著書ではなく最近に出版された、家主様の書かれた著書のみを列挙したします。
1)空室ゼロのアパート・マンション経営 加藤 芳征 著
2)空室が満室に変わる究極の方法 浦田 健 著
3)不動産は工夫しだいでゼッタイ儲かる 中村 一晴 著
4)金持ち大家さんになる裏マニュアル 浦田 健 著
5)アパート一棟買いなさい 石原 博光 著
6)激安不動産を入手シテ豊かに暮らす方法 加藤 ひろゆき 著
7)ワルが教える不動産投資マニュアル 風間 俊二 著
8)アパート経営の方程式 大谷 義武 著
9)カリスマ大家が実践する満室経営 浅輪 裕彦 著
10)借金なしではじめる激安アパート経営 加藤 ひろゆき 著
11)オンリーワン物件の作り方 木内 淑規 著
12)アパート事業による資産形成入門 大谷 義武 著
13)満室経営バイブ 今田 信宏 著
14)ボロ物件をお宝に変える不動産投資術 鈴木 ゆり子著
15)勝ち組大家さんのアパマン経営マニュアル 工藤 一善 著
以上最近は、家主様の出版される著書が多く売られております。
読まれている方もおられると思いますが、私が読んだ感想を以下に記載させて頂きます。
【それぞれの著書の内容の矛盾点】
それぞれの著書を読んで、
「例1」冒頭「不動産屋に空室が埋まらない理由を聞くと、直ぐに値段を下げろ、そうでなければ改装する以外にないしか言わない」と書かれております、読み続けて行くと、「改装をする事の重要性、値決めは良く不動産屋と相談して相場より高くない値段設定が大切」と記されており結局は冒頭否定した事しか書かれていない著書があります。
「例2」客付けのノウハウが書かれておりますが、仲介業者から見ると相違点が多く主観的に捉えられているのか、聊か疑問点があります。
「例3」客付け業務は多くの不動産屋にお願いに回る事と書かれており、一見正しく思われますが、それもインターネットでの集客の時代である今日では矛盾した考えであると思います。
「例4」管理会社は独立した管理業務のみを行っている業者に管理委託すべきである、なぜなら管理(貸す側)と仲介(借りる側)は利益相反である、と書かれており、管理物件の入居者を早く追い出せば、仲介部門で仲介の仕事が出来るので利益につながる等々と書かれております。時代錯誤も甚だしい思いです。管理業務のみの業者は、逆に媒介のノウハウがない点、ユーザに直接かかわっていない為にユーザのニーズが掴めていない点で、逆に不利であると思われます。
家主様の思いは、空室を無くし稼働率をあげる事であり、管理専門業者、管理、仲介併用業者にかかわらず、満室にしてくれる管理会社が必要であり、稼働率の上げられない業者は長続きしないと思われます。
以上はほんの一部の内容を列挙致しましたが、我々から見て多くの矛盾点がありますので、あまり著書を鵜呑みにせず、参考になる点だけ記憶に残されては如何でしょうか。
【それぞれの著書の内容で参考になる点】
客付け時に努力する点で、見せ方の工夫等は大変に参考になります。又満室時にも、掃除の徹底、建物の小まめな修理、更新料を無くする等々の入居者の満足度をあげる工夫のノウハウは参考になる点です。
【各著書を読んだ感想】
大変に気になる点は、最近の傾向として「拝金主義的」な著書が多いように思います、多くの著書がアパート、マンション経営は儲かる「楽をして儲かる事業である」事を強調して書かれております。
又、キャピタルゲイン(売却益)狙いの著書が多く、安く買って高く売ると言った当たり前の事が書かれており、現実は当たり前の事がプロでも出来ないのが現実です。
著者の中には、「鬼のような差値で叩き買い」との表現があります、そのようにして本当に物件を安く買っておられるのかも知れませんが、投資とは得をするものがあれば当然その分誰かが損をしているのであり、それは自己中心的な考えであると思います。それが投資であると言ってしまえばその通りですが、私は人から後ろ指を指される様な「アクドイ」商売は慎むべきであり、事情が有り苦しんでおられる人から叩き買いをするのは如何なものか聊か疑問を感じます。物の値決めとは自分の行った仕事の対価として一般的に許される最高値以下であるべきです。そうでなければ、商売は長続きしないと思います。
一方で、各著書の中には賃貸経営で学ぶべき点も少なからずあるのも事実です。特に、「浦田 健 様」の著書は論理的であり大変に参考になる著書です、是非一度読んで見て下さい。
【最後に】
賃貸経営は、部屋を貸す商売であり、昔は借りる人が多くおられた為に貸す側が強く、条件面で有利に貸すことが出来ましたが、5~6年前より借りる人が少なくなり、今後益々借りる人が少なくなる傾向にあります。
そこで、今後は賃貸経営の舵取りが大変に難しい時代に突入して行きます。
賃貸経営は単純に考えれば、部屋を借りてくれる人がいればいいのであって、如何に借りてくれる人を見つけるかであります。
その事は、言い換えれば、良いロケーションで、部屋が綺麗で、それに見合った家賃であれば借りて頂けるのです。
1) 良いロケーション ⇒ その物件の立地であり、それは不変のものであり努力では解決できません。
2) 部屋が綺麗 ⇒ 顧客ニーズに合った部屋かどうかであり、間取り、防音、防犯、設備、建物外観等の要素です。
3) 部屋に見合った家賃⇒上記2点を踏まえて、客観的に近隣で同質の物件を科学的に分析しその部屋の質に見合った家賃設定をしているかどうかです。
上記の3店を押さえておけば借りる方は必ずおられるはずです。
後は、入居中の入居者を大切にし、入居者の満足度を引き上げる事で、自然と稼働率は上がってくるものです。
最後は、家主様の熱意では無いでしょうか。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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