(平成22年4月号) 第64号
桜が満開の京都です、休日の観光地は車の渋滞で大変です。多くの観光客が来られており関連産業は多忙を極めているようです。
「温故知新」、今回は住宅の歴史を知り、問題点を捉え、今後の住宅を考えて行きましょう。
【住まいの歴史】
住まいとは何かとの問いに対し、生活をしてゆくための空間であると答える方が多いと思います。
その生活空間の歴史はどのようなものであったのでしょうか?
日本人は元々農耕民族であり、古くから多くの人が農村で暮らしてきました。
例外なく、私も丹波篠山で育ち、先祖代々、田や畑を耕し農業を行ってきた家で生活をしてきました。
農村家族の多くは3世代が住まいし、牛・鶏・ヤギなどと共に暮らし、昔ながらの掟を守り、近所付き合いを行い、生活をして来ました。
又その住居では、冠婚葬祭をも家の中で行っており、その様な住居は必ず他人を招き入れる空間が存在しておりました。
日本の歴史を見ても書院造りのように「接客の為の格式空間」があり、歴史的にも客間が存在していた事は事実です。
その住宅は戦後の高度成長期に大きく変貌することになります、農村から都市への人口移動が加速し、大量の住宅を必要としました。
味噌有の絶対的な住宅不足の中、公営住宅が建てられ2DKタイプの規格住宅が大量に供給された結果、民間マンションもそれに従い同様の物件が供給された。煮炊きする「火」あるいは、食の基本である「水」は井戸から水道に変わり、屋外に有ったものが室内に取り込まれてきて住宅の合理化が急激に図られてきた。
【合理化による住宅の変貌】
逆に、その合理化に取り残されてきたものがあり、それは人を招き入れる接客空間が無くなったことであります。
現在の住宅は「客間」が無くなりLDKと変貌した、現在の玄関周りは、接客空間としてはいかにも貧しいように思われます。親族や友人が訪ねてきても泊める部屋がないのが実態です。
日本の住宅はウサギ小屋と海外から揶揄されており、動物の住処に例えられる程の貧弱さであるとの印象を受けているようである。
なるほど動物は他の動物を招き入れる事はないが、人間がその機能をもとめることを贅沢と言えるのでしょうか?
【動物との生活】
一方、昔は動物と一緒に暮らしてきた歴史があり、近年ではペットと同居することが多くなってきましたが、賃貸住宅での動物との同居は基本的に認められていないのが現状です。
このことは、住宅の大量供給をしてきた時代の供給側のご都合主義である。
【人間同士の繋がりの稀薄さ】
農耕民族である日本では、農村社会では村人たちとのかかわりをもち、必ず集団で暮らしてきており、その集団の掟に支配されながら生活をしてきた。
しかし、現在の都市部では、他人とかかわりを持たずに生きてゆく事ができる。
愈々高齢化社会を迎えるに当たりその事が顕在化し社会問題化してきている。
家族が、或いは地域社会が高齢者のお世話をする方法はないものか?
【問題の解決が顧客志向重視の取り組みである】
今後はこのような問題点を解決し、人間の生活を豊かにする事を考えてゆく必要があります。
企業側(貸主側)の倫理で商品(賃貸住宅)つくりをするのではなく、あくまで顧客側(入居者側)の求めるものを供給して行けない企業は淘汰されるものと思っております。
今後は、顧客志向を重視した企業が生き残れるものと思っております。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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