とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年5月号)   第77号


「夏も近づく八十八夜♪♪・・・」、5月は1年を通し大変過ごしやすい季節です。釣り、ゴルフ、テニス、ハイキング等アクティブに過ごしましょう。

今月号のテーマは、賃貸経営を継続して行くのに最低限必要な、入居者募集についてのテクニックをお伝え致します。

【賃貸住宅の近未来】
皆様方ご承知の通り、近年は入居者優位の時代となっており、賃貸経営は年々厳しくなっております。
短期的にはデフレによる経済の停滞、長期的には人口の減少によるところが大きな要因となっております。
不動産業は当然ながら商品が不動産であり、ストック資産と言う特徴から、市場を海外に求める事が出来ません。従って今後の人口動態の変化等からさらなる構造不況が顕在化し、この固定された市場での椅子とり合戦が激化するものと思われます。
又入居者優位の時代は「振り子は極点で必ず逆方向に振り戻す」の原則通り極点に達するまでは入居者優位の方向は変わらないと思っております。
現在の曖昧な賃貸条件である、更新料、礼金、鍵交換料、更新手数料、契約事務手数料等の費用は全て家賃に集約され、入居時には敷金、家賃のみで入居できる時期が近いと思われます。

【入居者募集】
その様な状況下での、入居者募集も厳しい状況となっております。
賃貸業者にとって年々広告宣伝費が高くなり、逆に反響が減少し費用対効果が悪くなる一方であります。業者にとっては広告を打つ場合反響の出る物件に絞り込む傾向が強まっているのが現状です。
売買業者の場合もチラシ等は、自社預り物件は別として他の業者の預かった売り物件は、相場より高いもの、物件の質の悪いもの等は極力広告を打ちません。
賃貸の入居募集も、集客力のある業者であろうと、集客テクニックの上手な業者であろうとも、相場より高い物件は成約に至りません。むしろ営業社員としては、手間と時間を掛けるだけであり取り扱おうとしないのが実態です。
営業社員としては出来れば一回の案内で決まるのが良いのは決まっております。
従って、貸主側としてはユーザーを意識した質の高い、相場家賃以下の物件を提供すれば、賃貸業者はよろこんでその賃貸物件の広告を打ち、優先して案内をしてくれると思います。むしろ各業者が取り合いをする事になると思います。
賃貸業者に頼らない募集、賃貸業者が募集をさせて下さいと頼みに来る物件に仕上げる事が出来れば、勝手に物件情報が飛び交う状態になります。

【客待ちの出る物件にするには】
物件の価値は、その物件建物の質を上げるか、質を求めないのであれば思い切って家賃を下げるかの、二者択一であると再三この紙面で申し上げております。

① その1として、家賃を思い切って下げて行く方法は?
物件の質と、賃貸条件が相場と合致或いは相場以下とした場合に、初めて優良物件となり、客待ちが出来る物件となるのです。
建物が古い物件、駅から遠い物件で全く見向きもされなかった賃貸物件も、それなりの条件にすれば、優良物件と化します。
良くオーナー様から「現在入居されているネットを見た入居者様から、現行家賃より安くなっているので値下げして欲しいと言われるので、値下げして募集はしない」との言葉をよく聞きますが、下げて欲しいと言われても満額回答する必要はありません、幾らか下げてあげれば入居者は気が収まるものです。
又、相場より高い物件に永く住まれる事はありません、何れ他に良い物件があれば突然に出て行かれるのが落でしょう。
又、現在は相場より少しでも高ければ見向きもされない状態です。その原因はインターネットの普及により、容易に類似の賃貸物件の比較が出来るようになったのがその要因です。
ネットの時代、秘密行為は厳禁です。全てをオープンにし、ユーザーにとって良い事をするのがこれからの成功の秘訣ではないでしょうか。
入居中の借主家賃を下げ渋り、部屋が3室も4室も空いたままにしておくのも如何かと思います。月額5万円の家賃であれば、15万円~20万円も収入が減り年間に換算すれば180万円~240万円の収入が減っており、5年もすれば900万円~1200万円入るべき家賃が入っていない事になります。5年は直ぐに経ちます、早期に対応すべきであると思いますが如何でしょうか。

② 建物の質を上げて行く方法は?
色々な業者が有り、色々な方法があります、建物にお金を掛け過ぎるのは如何かと思いますが、最小限の建物の維持管理、改装は必要であると思います。
一度この機会に検討されては如何でしょうか?
色々な技術を持った業者も多々あります、是非研究をなさって見ては如何ですか。

【結論として】
建物を顧客ニーズに合った賃貸物件にする為に、建物の維持管理費、改装費用、リノベーション費用を惜しまず。
募集条件を相場以下とすれば、必ず優良物件となり、賃貸業者から客付け依頼が多く入る様になると思います。
そのバロメータとして、空室の問い合わせが賃貸業者から多く入るようになり、案内が多く有るようであれば間違いなく優良物件です。
対応を怠った物件は、賃貸業者の営業社員の頭から外され、空室確認もなくなり、当然案内も皆無となります。
是非日々の対応を怠りなく実施される事をお願いします。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

  (平成23年4月号) 第76号

3月11日に発生致しました東日本地震により、甚大な被害に遭われました方々に心よりお見舞いを申し上げます。又、被災地の皆様方が一日も早く復興されます事を、心からお祈り申し上げております。

【私たちに出来る事】
私たち同じ日本人として出来る事は、一丸となってこの困難を克服する事であります。しかし関西に居る私たちが出来る事は、被災地に出向き復興の手助けをする事ではないと思います。被災地に出かける事は、むしろ混乱を招く事になるかも知れません。今私たちの出来る事は、被災者が今すぐに必要となる身近な生活費ではないでしょうか?その為に義援金でご支援をする。或いは買い溜めをしない、被災地の為にお祈りをする以外にありません。私も、早々に日本赤十字社に僅かではありますが募金をさせて頂きました。私は金額の多寡ではないと思っております。今自分で出来る限りの金額で良いと思っております。又節電は必要ですが関西で節電しても、東日本との周波数の違いから東日本の電力を補う事は出来ません。私たち西日本に住む者は、むしろ普段通りの生活を送る事が必要です。むやみに慎むことは逆に経済活動を滞らせ、日本全体の景気が悪くなり復興を遅らせる事になりかねません。私たちは、一日も早く被災地の方々が復興されることをお祈りし、私たちの出来る範囲でのご支援をさせて頂くことではないでしょうか。

【更新料裁判の行方】
先月号で更新料裁判は6月10日に口頭弁論が行われる事をお伝え致しました。最高裁判所から弁論指定がなされると、過去の事例からして弁論期日後1~3カ月後に判決がなされている様ですので、判決は7月~9月の予想であると家主側弁護士の記事が出ておりました。又、弁論が開かれると言う事は通例高等裁判所の原判決が変更される時であるとの事です。従って現在最高裁で争われている裁判は3件で、原判決は貸主敗訴が2件、借主敗訴が1件でありどちらの事案が変更になるかは不明ですが、いずれにしても9月までには判決が下りるものと思われます。消費者契約法10条に違反するとの判決が下りた場合、家主、管理会社に対し消費者契約法が施行された平成12年5月12日に遡り更新料の返還請求がおこされ、大変な混乱がおこるものと思われます。我々業界に携わる者にとって、大変に注目される裁判です。 

【相続税法の改正について】 (資産家を狙う相続税大増税とは)
平成22年12月16日に平成23年度の税制改正大綱が発表されました。相続税の改正は4月1日よりの施行予定でしたが、この度の大震災の影響もあり、喫緊の課題でない本改正は施行時期が遅れる事になりました。しかし、いずれ近い将来に成立し施行されることになる公算が高いと思われます。大綱の内容は、国の財政危機を反映し増税色の強い内容となっており、個人資産家にとっては大変に厳しい改正となっております。又、今回の改正は、大筋で課税の対象を拡大しようとするものであり、自分は関係がないと思われている方も一度シュミレーションしておく必要があります。今の内に、その内容を整理し対策を考えておく必要が有るようです。 今回の税改正で相続税の課税対象者はどうなる?バブルの崩壊以後、地価は下がり続けているにもかかわらず相続税の改正をする事無く据え置いて来た結果、課税対象者は4%程度で推移してきましたが、今回の改正で国民の6%~7%が相続税対象者となる試算があるが、国の試算によれば倍の8%程度になるとの事である。この影響は非常に大きく相続税の対象者の拡大以外にも、元来の相続税課税対象者に対しても確実に増税となるようです。

【相続税改正の概要】
1) 基礎控除の引き下げこれまでは、5,000万円であった基礎控除が3,000万円に引き下げられます。
又、法定相続人一人当たり1,000万円であった基礎控除が600万円に引き下げられます。
例)相続人3名の場合   今まで 5,000万円+(1,000万円×3名)=8,000万円   
今回  3,000万円+(  600万円×3名)=4,800万円以上の通り従来8,000万円迄の遺産には課税されませんでしたが、今回の相続税改正により4,800万円以上の遺産が有れば課税対象になります。

2) 最高税率のアップ相続税の最高税率がこれまで50%でしたが、今回の改正で55%に引き上げられます。又税率の区分も、これまでの6段階から8段階に変更されます。

3) 生命保険非課税枠の縮小これまで500万円×法定相続人の控除が認められておりましたが、改正後は、未成年、障害者、相続開始の時点で被相続人と生計を同じくしていた相続人以外は控除が認められなくなります。

4) 相続時精算課税制度の拡充2,500万円迄の贈与は贈与税が、将来の相続開始時期までは税が掛からない制度で、その対象者は相続人となっておりましたが、今回の改正で20歳以上の孫が追加されます。 以上今回の相続税改正概要です。一度ご自分の資産を確認され事前に試算されておく必要があると思われます。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。宜しくお願いを申し上げます。     



今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年3月) 第75号

「三寒四温」徐々に暖かくなり、春が近付いて来ております。何か明るくなる気持がします。

平成23年2月18日に行われました「幸田 昌則」氏の講演を聞いて参りました。
今月号では、その内容についてご報告申し上げます。

本「耳より情報」を書いておりますのは3月4日ですが、本日の日経新聞に最高裁で争われております「更新料無効訴訟」は6月10日に弁論が行われますが、高裁段階で判断が割れており最終判断は最高裁が出す事となる。
判決期日は未定であるとの記事が出ておりました。

「現在の不動産市況」

新築マンションは、
現在は在庫が減って来ておりそろそろ売出物件が増加するのではないか。
但し相場よりも少しでも高い価格、或いは高額物件は全くと言ってよいほど売れておりません。

中古マンション或いは、中古一戸建ては、
かなり価格が安くなって来ており、比較的売れ行きは好調である。

新築建売住宅も
売出価格が下がって来ており好調な売れ行きとなっております。
新築建売住宅が好調な関係で、建売住宅用地の価格が上昇傾向にあり、建売業者は仕入れの土地が少なく該当物件が有ればすぐ買われている状況です。
銀行も融資先が少なく不動産向けの融資を積極化しており、不動産向けの貸出残高はバブル期と同じ水準まで達し、高水準となっております。

テナントは
大変厳しい状況です、現在の景気は徹底したリストラによるものであり、支社の統廃合、百貨店の衰退とネット販売の増加に見られる様に、事務所、物販店の撤退等の要因で今後も引き続き厳しい状況は続く模様です。

一般の住宅賃貸物件も
全体の成約件数が減少しており、日本全体の住宅空き戸数が100万戸となった様であります。低金利が続く限り家賃よりも購入によるローンの毎月返済金額が少なくなり、賃貸よりも購入傾向があり賃貸需要が盛り上がらない状況が当面続くとの事です。

駐車場は、
若者が車を持たなくなって来た、或いはカーシェアーが増えてきた等の要因から、駐車場経営は厳しい状況であり、将来的にも厳しさが増して行く状況です。

個人の不動産投資は
活況で、購入意欲は大変強い物があります。
以上が不動産市況の現状です。

【今後の流れ】

現在のデフレ経済下で消費者は生活防衛を強く意識しており、低価格化志向が強いのが現状です。
その現象として、現行の低金利下で家賃よりも自宅購入による返済金の方が少なくなり、自己住宅購入により住居費を節約する生活防衛策を取っている。
従って中古マンション、中古住宅、建売住宅、低価格の新築マンションを中心に活況となっております。
反面、賃貸から所有へと変化しており、賃貸住宅の需要は一段と厳しい状況で、空き部屋の増加要因となっております。
この低金利状態が続く限り賃貸から購入への状態は当面続くものと思われます。
テナントの需要も不況下から大変厳しい状況が続くものと思われ、東京都心でも以前は3万円~5万円/坪程度していたテナントビルも現在は17千円/坪程度まで下がって来ている。特に店舗物件はもっと厳しい状況となっております。都心の需要は底打ち傾向にありますが、地方はまだまだ厳しい状況が続くものと思われます。
駐車場も「ガソリンスタンド、コインパーキング等」がカーシェアリングを増やしております。又若者の車離れの傾向が強く、駐車場の需要は減少傾向であり、場所によっては空きが増えてきているとこともあります。
今後も引き続き厳しい状態は続くものと思われます。
デフレ経済下、価格・賃料を重視する動きはおさまらず。長期的には社会構造変化にともない(人口の減少、高齢化)需要の減退は徐々にボディブローの様に効いてくるものと思われます。

【今後の対策】

賃貸業界、特に賃貸住宅業界の対応策として
1) 今後の20年間は高齢者を対象としたビジネスを促進する。
2) 賃貸住宅は住宅全体の40%を占めているが、入居者層は若年を中心とした比較的低い所得層が多く、今後は外国人、高齢者、生活弱者を需要層としてどの様に付きあって行くかも考慮する必要があります。
3) 多様化した需要層を取り込むには、質の高い物件にするか、奇抜な物件で10人中9人が嫌がる物件を造る等、他の物件との差別化を徹底する必要があります。

【最後に】

デフレ経済・低金利が続く限り賃貸業界は厳しい状況が続くものと思われます。
社会構造の変化は、長期的に需要の減少となります。
今後5年以内に賃貸業界自体が大きく変わる時期を迎えます、生き残りを掛けた最終段階が今後の5年であると思われます。
180度考え方を変え、いち早く自分自身が変化する事が生き残りの対応策であると思います。





今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年2月号)     第74号

2月3日の節分も終わりました。節分とは季節の分かれ目との意味でありますが。まだまだ春は遠い様です。

1月号では、賃貸業者がどの様な業務を行っているのかをご紹介させて頂きました。
今月号では先月号に続き、部屋情報の流れ、適正家賃の設定方法について記載させて頂きます。

【部屋情報の流れ】

皆様方が賃貸業者に募集をかけられる方法は色々ですが一般的には下記の通りです。

1) 代理業務 ⇒ 家主様に代わり賃貸の募集から契約迄のお世話をする業務です。
2) 専属専任媒介契約 ⇒ 他の業者に重ねて募集の依頼をできない以外に御自分の探された顧客もその業者を通じて媒介をしなければならない契約です。
3) 専任媒介契約 ⇒ 他の業者に重ねて募集の依頼が出来ない契約です。
4) 一般媒介契約 ⇒ 色々な業者に依頼が出来る契約です。

「以上の契約は書面で交わすのが一般的ですが、口約束(諾承契約)でも可能ですが後で揉めないよう書面で交わしましょう」

以上を比較すると、色々な業者に依頼が出来る「一般媒介契約」が良いように思われるのは当然です。しかし賃貸業者が「一般媒介契約」で媒介をお受けすると、その店舗に来られるお客様のみにその情報を紹介するのであって、他の業者に情報発信する義務がなく、レインズ(業者間ネット情報)に登録したりすることはありません。
従って、多くの業者に依頼している様で、実は特定の業者以外に情報が流れていないのが現状です。
「専任媒介契約」以上の契約によりその預けた業者に責任を持たせた方が、実は情報が多く飛び交う事になります。
(但し、預ける業者の情報発信能力の低い業者は避けるべきです)                                
前月号で記載させて頂きましたが、これからの媒介業務はインターネットを制した業者が有利な時代となりました。
日進月歩を続けるインターネットに力を入れている業者を選ぶべきであると考えます。
又、インターネットは費用負担が大変です、その為にFC(フランチャイズ)に加盟し、その多大な費用を分担してお互い(FC店舗間)の利益に預かる流れが強い様ですし、費用負担も小額で済み多大な投資の必要が無くなります。
但し、月額のロイヤリティは少額ではありませんが分割で支払う為に負担感が少ないのがメリットかも知れません。賃貸業界も2極化の方向にあります。
業者様によってはインターネットに大変力を入れておられる業者様がありますが、個々の業者様のホームページでは集客に限界が有るようです。

【適正家賃の設定】

今までの記載した情報発信方法が全て網羅されているにも関わらず、長く空室が続いている様な場合は、適正家賃になっていないと思われます。
適正家賃とは、近隣、同質の物件と比較して同等もしくは低い設定がなされているかであり、それを再検証する必要があります。
場所、住環境、利便性、築年数、間取り、広さ、等々が現在募集中の同質の物件と比較して、敷金、礼金、家賃、共益費等が適正であるかを検証して見て下さい。

その方法は、賃貸業者を2~3社訪問し窓口で営業担当者に確認してください。
家主様であれば親切に教えてくれると思います。(但し、経験の浅い担当者では詳しく分からないかも知れません)その場合はもう少し多くの業者を訪問する必要があります。最低3社程度は聞いて欲しいものです。
そうすれば家賃相場が掴めると思います。是非お試し下さい。

【家賃を下げれば良いのか】
相場より高い家賃であると分かれば、早急に募集家賃を下げる必要が有ります。ただ下げ続けるのが良いのかと言えば、その様な訳ではありません、下げ続ける事により入居者の質が悪くなる事例は多いようです。
従って建物、部屋の質を上げる事(リノベーション)或いは、維持(リフォーム)する事により家賃を下げずに済みます。
費用は掛かりますが賃貸経営には必要不可欠な要素であると思います。
どの様に質を高めて行くのかは、専門家に御相談下さい。
顧客ニーズも大変なスピードで変化しております。
又益々多様化し多種多様な顧客ニーズが有る事を理解する必要があります。
最近は、大衆受けする部屋よりも、100人の中で1人に選ばれる部屋の方か稼働率が高いと言われております。
それだけ一般的なお部屋が余って来ている証ではないでしょうか?
今後も、建物の質と家賃の関係は家主様にとって永遠の悩みであると思われます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年1月号)    第73号

新年明けましておめでとうございます。今年は卯年、跳ねる飛躍の年にしたいものです。寒くなって参りました、風邪には気を付けましょう。

いよいよ賃貸シーズンに突入しました。賃貸仲介も年々厳しくなってきておりますが今年のシーズンは如何なものでしょうか? 今回は、募集業務について記載させて頂きます。ご参考にして頂き是非今シーズンには満室にしたいものです。

家主様にとっての募集業務活動は大きく分けて2つに集約されます。
一つ目は、ご自分の空室物件が多くのユーザーに発信出来ているか?
二つ目は、物件に対する適正家賃を見極め、適正な条件設定をしているか?
今月号では、この2項目を考えて行きます。

【賃貸業者が行う募集業務とは】

☆仲介業者が行うべき最大の課題募集業務は賃貸仲介業者の行う最も重要な業務です。
マーケティングと営業が違うのと同じく、賃貸業では集客業務(来店を誘致する)と営業(営業社員が接客する)業務とは違います。
最大のポイントは来店客の数を増やすこと即ち来店を誘致する業務が最大の課題なのです。
仲介手数料売上は  仲介手数料売上=来店客×成約平均単価×成約率(30%)で算出されます。
仲介業者が受け取る仲介成約手数料単価は、家賃の値下がりとともに年々減少しております。ファミーリタイプ、単身用タイプ等まちまちですが、年間平均を取るとほぼ一定の単価となります。
成約率は営業社員の資質にもよりますが平均的には30%程度で一定です。近年は、インターネットから事前に部屋探しをされ来店される為に、営業社員の資質はあまり問われなくなって来ております。従って賃貸仲介業者がなすべき最大の課題は来店客を増やすこととなります。


☆来店客を増やすには
それでは来店客を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?
来店客数は業者によって違いはありますが、現在は来店者の70%~80%がインターネットからのお客さまです。
その他の来店理由は「情報誌を見た」「電話帳を見た」「看板を見た」「店舗を見た」「知人の紹介」等ありますが、来店誘致に対する影響力が少ないのが現状です。
従ってインターネット対策に最大限注力している業者が賃貸仲介業介を制することは明白です。


☆インターネット対策の出来ている業者とは?
顧客がインターネットで部屋探しをされるのは、「大手ポータルサイト」か「大手FCサイト」です。
現在ではインターネットから意中の物件を探され来店されるお客様が大変に多くなっております。又、来店をされる場合は事前にインターネットで訪問予定の不動産会社を調べてから来店されるお客様が多い状況です。
なぜなら不動産業者に対し不信感を持たれており、物件の掲載されている各社のホームページの会社概要とか営業社員紹介ページを見られてから訪問業者を決めておられるのが実態です。

従って、インターネット対策の出来ている業者とは、
(1) 大手ポータルサイトに加盟している。
「リクルートスーモ」「ホームズ」「アットホーム」「ヤフー不動産」「アドパーク」
(2)大手FCに加盟している。 
「アパマンショップ」「エイブル」「ミニミニ」「ホームメイト」「ピタットハウス」
(3) 業者のホームページが充実しており、安心感が有る。
以上の3点を兼ね備えている業者がインターネット対策の充実している業者であると思われます。

※インターネット広告は大変にお金が掛かります。
例えば、リクルートスーモであれば加盟金以外に、月間に200室掲載すれば105,000円/月が必要です。年間126万円、その他のサイト,FCロイヤリティ、ホームページ制作費及び月額管理費等を含めれば多大な広告費が必要となります。
対応出来る業者、対応出来ない業者、今後益々2極化が進展するものと思われます。
儲けているのはサイトの運営業者だけかも知れません。
又コストの関係上全ての家主様の物件をインターネットに配信する事が出来なくなり、選別をしなければならない時代に入って来ているように思われます。


※上記以外の対策として、年々サイトの加盟業者が増え、登録物件情報の数が急増しており、その為反響率が低下しております。
反響を増やす為には、サイトに配信する物件写真の枚数を増やす(特に水回りの写真)、写真の撮り方を工夫することも大切なネット対策です。

☆インターネットでの部屋探しの変化
インターネットグーグルマップが出来て、マンションの名前が分かるようになった現在、住みたい地域の地図からマンション名を調べ、そのマンション名からネット検索をかけてくるお客様が増加しております。その検索にヒットする対策が急がれます。
その他、インターネットは目まぐるしく進化しております。それに対応出来るよう勉強が必要です。
以上が賃貸仲介業者の取るべき課題です、逆に言えば家主様はご自分の物件を上記の対策を取っている業者に仲介依頼することが重要であると思われます。
一度是非、ご自分の媒介依頼している業者が、ご自分の空室を上記のサイトに配信しているか点検をしてみて下さい。
全てに掲載されていて長期間空室となっているのであれば、家賃が適正でない可能性が高いものと思われます。

紙面の関係上、次月号で家賃が適正であるかどうかの点検方法と、家主様の空室情報がどの様な経路で顧客に配信されるのかを掲載させて頂きます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年11月号)     第71号

古都京都も11月末には、紅葉も見ごろとなります。多くの観光客が訪れ、観光地は大変に賑わっております。

10月21日の「とまとハウス賃貸セミナー」に、数多くの皆様方がご参加頂き、セミナーのお話に大変熱心に耳を傾けて頂きました。
心より感謝申し上げます。
有難う御座いました。

今月のテーマは、先月のセミナーで気付いた点、或いは各セミナーの感想について取り上げてみました。

【第一部、 滞納問題】

昨今は、入居者モラルの低下による色々な問題が顕在化しております。
その中で、滞納を起こしながら居住権を楯にいつまでも住み続ける入居者が急増中です。
家主様も、当然受け取るべき家賃が入らないのであり、支払うべき「借入返済」「固定資産税」等の支払いは行う必要があり厳しい現状となっております。
その対策は急務であると考えます。

その対策は、
1) 滞納が起きた初期段階で素早く対応すること。
2) 滞納の原因を掴むこと。
3) 滞納の原因別による、解消方法を実施すること。
4) 長期滞納は3カ月を目途に、訴訟か退去要請かを選択する。
5) 退去要請は出費を惜しまない事が決め手である。
6) 訴訟は期間と費用が掛かる事を胆に銘じるべきである。

長期の滞納が起きた場合、訴訟になると強制退去完了まで1年程度の期間が必要であり、訴訟費用と家賃滞納金で100万円~200万円の出費が必要となります。
その為には、滞納の初期段階での早い対応と、滞納の原因が長期に亘る様であれば有る程度の出費は覚悟で任意に出てもらう事であるとの結論でありました。

【第二部、 低コストで顧客ニーズを掴むデザインリフォーム】

人口・世帯数の減少、少子高齢化、日本経済の低迷、政治が日本の将来像を描けない等々の現状から、日本の将来には不安が残ります。
企業は海外(特にアジアを中心に)に目を向け、それに伴い下請け企業は海外に移転し、日本の経済環境は厳しさを増しております。
賃貸業界も同様に厳しい現実が迫っており、日本の住宅の空き家は、近い将来1000万戸を突破するのではないかと思われる状況となっております。
現在も、競争力のないマンションは空き部屋が年々増加いたしており、今回の「とまとハウス賃貸セミナー」も標記テーマでのセミナーは盛況を博すこととなる様です。
稼働率を上げるには、一つの条件を満たせば稼働率が上がるものではなく、色々な対策を行うことにより成果が出てくるものであります。

その対策とは、大別して
1) 客付け力のある業者に客付けを依頼する。
2) 賃貸条件を緩和する。
3) 賃貸物件の質を高める。
4) 顧客ニーズに合った建物改装、ニーズに合った入居者管理業務を行う。

等々の対策はありますが、今回のセミナーでは3番・4番の項目に対する対策としてのお話でありました。
私も、コストを掛けない改装については大変に興味があり、改装後の現地見学会にも行って来ました。
ユニットバスに木目調のカッティングシートを貼り、横長の鏡を取付け、狭いユニットバスを広く見せる、或いは洋式便器の蓋を木製に変える等の工夫で、イメージが大きく変わる改装をされておりました。
6畳の部屋の壁4面の内、1面に大胆な柄のクロスを貼る事により部屋のイメージが大きく変わる改装がなされている。
見学に行ったマンションの立地条件は学生が多い場所にあり、学生にターゲットを絞り、家主が設置する設備として20インチの液晶テレビを取付し、そのモニターでパソコンが出来、テレビも見られると言った、ちょっとしたアイデアで長く空いていた部屋が稼働する。その事は以前より言われておりますインターネット使い放題のマンションではなく、その上を行く入居直ぐにインターネットが使えて毎月の費用は掛からない、その上、地デジ対応の液晶テレビも見られると言った、学生にとってこの上もない設備が整っている点は非常に興味が有りました。            
今後は一般的な改装では益々競争力のないマンションとなります。ターゲットを絞りそのニーズに合った、低コストのアイデアで勝負出来るマンションにする事が必要であると再認識致しました。
弊社が求めているところは、賃貸仲介業(ホームメイトFC伏見店)で培った弊社の持つ顧客ニーズを活かした改装に、アイデアを合体させたリフォーム、或いはリノベーションを、低価格で行う事であります。
一般的な工務店の行う改装ではなく、物件の立地を徹底的に調査してその地域に合ったターゲットを絞ることにより、ターゲットの顧客ニーズを適格に掴み、それを改装に活かして行く提案が出来れば皆様方に喜んで頂けるのではないかと思っております。
今後も、今回のモダンアパートメント様等との提携により、今後の厳しい賃貸経営を皆様とともに勉強し、乗り切って行きたいと考えております。



今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年10月号)     第70号

実りの秋、秋の味覚、食欲の秋、天高く馬肥ゆる秋、読書の秋、秋の夜長、芸術の秋、スポーツの秋、祭りの秋、紅葉の秋、皆様やっと秋が来ました。

私の実家は丹波篠山です、秋になると「丹波松茸」「丹波栗」「丹波の黒豆」「山芋」「柿」「小豆」「さんしょ」と秋の味覚が豊富です。
冬になれば猪肉が有名で「牡丹鍋」が食せます。是非一度お越し下さい。

今回のテーマは、滞納について記載して参ります。
家主様の悩みの一つであります、滞納は収入減少に直結する大きなリスクとなります、この機会に考えてみては如何でしょうか。

【最近のモラル】
家主様にとって予定していた収入が予定通りに入ってこない事のリスクは、賃貸経営に大変に大きな影響を与えます。
空室が増加し思うように家賃が入ってこない、この問題は日本の国が抱える構造的な問題であると思われます。
しかしこの問題だけでは有りません、昨今は入居中にかかわらず家賃を払わない入居者が急増しており、家主様の大きな悩みの一つとなっております。
しかし、滞納者の増加による家主様の悩みはマスコミ等で報道される事は無く、弱者救済の名の基に、滞納者側に立った報道がなされております。
部屋を借りても家賃を払わない、居住権と言う自己の権利を主張し義務を果たそうとしない無責任な入居者が増加傾向にあります。
以前に「子供の給食費を払わない親たち」の報道がありましたが、お金が無いので払えないのはいざ知らず、経済的な困窮が原因ではないモラルの欠如からお金を払わない大人の存在があらわになりました。
人権派の弁護士だとか、消費者委員会等々が弱者救済を助長し倫理観がゆがめられてきている様に思われてなりません。
日本の倫理観は何時の時代からおかしくなって来たのか、今後が心配でなりません。

【とまとハウスのセミナーにご参加下さい】
10月21日に開催しますセミナーは滞納問題について、「滞納が出たらどの様に対処したら良いのか」、又「滞納が出ないような対策はないものか」を詳しくお話させて頂きます。
是非ご参加をお待ち申し上げております。



今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年9月号)     第69号

「暑さ寒さも彼岸まで」、ながい猛暑も終わり過ごしやすくなりました。
夏の疲れが出ません様にお過ごし下さい。

本屋さんへ行きますと、アパート・マンション経営の書籍が大変多く出版され売られております。私は仕事柄その多くを読んでおりますが、その内容について私なりの見解を記載し、今回のテーマとさせて頂きます。

【私の読んだアパート・マンション経営に関する書籍】
下記に記載させて頂くのは、専門家の書いた著書ではなく最近に出版された、家主様の書かれた著書のみを列挙したします。
1)空室ゼロのアパート・マンション経営      加藤 芳征 著
2)空室が満室に変わる究極の方法        浦田  健 著
3)不動産は工夫しだいでゼッタイ儲かる     中村 一晴 著
4)金持ち大家さんになる裏マニュアル      浦田  健 著
5)アパート一棟買いなさい              石原 博光 著
6)激安不動産を入手シテ豊かに暮らす方法   加藤 ひろゆき 著
7)ワルが教える不動産投資マニュアル      風間 俊二 著
8)アパート経営の方程式               大谷 義武 著
9)カリスマ大家が実践する満室経営        浅輪 裕彦 著
10)借金なしではじめる激安アパート経営    加藤 ひろゆき 著
11)オンリーワン物件の作り方           木内 淑規 著
12)アパート事業による資産形成入門       大谷 義武 著
13)満室経営バイブ                  今田 信宏 著
14)ボロ物件をお宝に変える不動産投資術   鈴木 ゆり子著
15)勝ち組大家さんのアパマン経営マニュアル 工藤 一善 著


以上最近は、家主様の出版される著書が多く売られております。
読まれている方もおられると思いますが、私が読んだ感想を以下に記載させて頂きます。


【それぞれの著書の内容の矛盾点】
それぞれの著書を読んで、
「例1」冒頭「不動産屋に空室が埋まらない理由を聞くと、直ぐに値段を下げろ、そうでなければ改装する以外にないしか言わない」と書かれております、読み続けて行くと、「改装をする事の重要性、値決めは良く不動産屋と相談して相場より高くない値段設定が大切」と記されており結局は冒頭否定した事しか書かれていない著書があります。
「例2」客付けのノウハウが書かれておりますが、仲介業者から見ると相違点が多く主観的に捉えられているのか、聊か疑問点があります。
「例3」客付け業務は多くの不動産屋にお願いに回る事と書かれており、一見正しく思われますが、それもインターネットでの集客の時代である今日では矛盾した考えであると思います。
「例4」管理会社は独立した管理業務のみを行っている業者に管理委託すべきである、なぜなら管理(貸す側)と仲介(借りる側)は利益相反である、と書かれており、管理物件の入居者を早く追い出せば、仲介部門で仲介の仕事が出来るので利益につながる等々と書かれております。時代錯誤も甚だしい思いです。管理業務のみの業者は、逆に媒介のノウハウがない点、ユーザに直接かかわっていない為にユーザのニーズが掴めていない点で、逆に不利であると思われます。
家主様の思いは、空室を無くし稼働率をあげる事であり、管理専門業者、管理、仲介併用業者にかかわらず、満室にしてくれる管理会社が必要であり、稼働率の上げられない業者は長続きしないと思われます。
以上はほんの一部の内容を列挙致しましたが、我々から見て多くの矛盾点がありますので、あまり著書を鵜呑みにせず、参考になる点だけ記憶に残されては如何でしょうか。

【それぞれの著書の内容で参考になる点】
客付け時に努力する点で、見せ方の工夫等は大変に参考になります。又満室時にも、掃除の徹底、建物の小まめな修理、更新料を無くする等々の入居者の満足度をあげる工夫のノウハウは参考になる点です。

【各著書を読んだ感想】
大変に気になる点は、最近の傾向として「拝金主義的」な著書が多いように思います、多くの著書がアパート、マンション経営は儲かる「楽をして儲かる事業である」事を強調して書かれております。
又、キャピタルゲイン(売却益)狙いの著書が多く、安く買って高く売ると言った当たり前の事が書かれており、現実は当たり前の事がプロでも出来ないのが現実です。
著者の中には、「鬼のような差値で叩き買い」との表現があります、そのようにして本当に物件を安く買っておられるのかも知れませんが、投資とは得をするものがあれば当然その分誰かが損をしているのであり、それは自己中心的な考えであると思います。それが投資であると言ってしまえばその通りですが、私は人から後ろ指を指される様な「アクドイ」商売は慎むべきであり、事情が有り苦しんでおられる人から叩き買いをするのは如何なものか聊か疑問を感じます。物の値決めとは自分の行った仕事の対価として一般的に許される最高値以下であるべきです。そうでなければ、商売は長続きしないと思います。
一方で、各著書の中には賃貸経営で学ぶべき点も少なからずあるのも事実です。特に、「浦田 健 様」の著書は論理的であり大変に参考になる著書です、是非一度読んで見て下さい。

【最後に】
賃貸経営は、部屋を貸す商売であり、昔は借りる人が多くおられた為に貸す側が強く、条件面で有利に貸すことが出来ましたが、5~6年前より借りる人が少なくなり、今後益々借りる人が少なくなる傾向にあります。
そこで、今後は賃貸経営の舵取りが大変に難しい時代に突入して行きます。
賃貸経営は単純に考えれば、部屋を借りてくれる人がいればいいのであって、如何に借りてくれる人を見つけるかであります。
その事は、言い換えれば、良いロケーションで、部屋が綺麗で、それに見合った家賃であれば借りて頂けるのです。
1) 良いロケーション ⇒ その物件の立地であり、それは不変のものであり努力では解決できません。
2) 部屋が綺麗 ⇒ 顧客ニーズに合った部屋かどうかであり、間取り、防音、防犯、設備、建物外観等の要素です。
3) 部屋に見合った家賃⇒上記2点を踏まえて、客観的に近隣で同質の物件を科学的に分析しその部屋の質に見合った家賃設定をしているかどうかです。
上記の3店を押さえておけば借りる方は必ずおられるはずです。
後は、入居中の入居者を大切にし、入居者の満足度を引き上げる事で、自然と稼働率は上がってくるものです。
最後は、家主様の熱意では無いでしょうか。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年8月号)

梅雨が明けた途端に、厳しい猛暑が続いております。
特にご高齢の方は熱中症にご注意下さい。
(平成22年8月号)

平成22年3月に「財団法人不動産流通近代化センター」が賃貸住宅管理業の今後のあり方等を検討する基礎的な調査研究をおこない、「賃貸住宅の新たな流れ、方向性について」の検討、分析を行った。今月号ではその概要をご報告申し上げます。

【賃貸住宅の現状と今後】

2008年の調査では、民営借家の数は1,337万戸で借家と持家の比率は4割:6割である。空家率は18.7%で民間賃貸住宅の空家数は250万戸に達する。
賃貸経営を行う物件所有者は個人が85%を占めており、その内50歳以上が84%、60歳以上が60%で高齢化が進んでいる。
賃貸住宅所有戸数は、21~50戸が31%、50戸以下が85%と小規模経営が多い状況である。
一方、借りる側の実態は、ファミリー層(夫婦のみ・夫婦と子供)の賃貸住宅居住率は30%であるが、単身世帯層は70%と高い。
一人親と子供世帯も賃貸住宅居住率は比較的に高い状況である。
今後の予測として、世帯構成で現在はファミリー層が1位となっているが、2030年には単身世帯が第1位にとなる事が予測され、人口の減少の割には世帯数の減少が少ない要因となっている。
晩婚化、高齢化により益々単身世帯が増加し、離婚の増加により「女性親と子供世帯」が増加するものと思われます。
今後は世帯のダウンサイズ化、特に「単独世帯」の増加により、賃貸住宅への根強い需要、ニーズが継続する可能性が高い。しかし、賃貸住宅はすでに空室率が高く、全体として供給オーバーの状況にあるといえるために、市場ニーズに対応した、適切な品質、管理形態、契約条件等を備えた物件の供給が重要だろうと結んでいる。
高齢者向け賃貸住宅、一人親と子供世帯の家族観の変化を踏まえた賃貸住宅、外国人の受入れ可能な賃貸住宅、多様化する賃貸ニーズを踏まえた新たな賃貸住宅市場を視野に入れて行く必要があります。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年7月号)     第67号

今年の梅雨は雨量の多い年で、各地に災害をもたらしております。ゲリラ豪雨のため事前に十分気をつけて準備しておきましょう。

最近家主様からのお問い合わせで、更新料の問題で意見を聞きたいとのお話がよくあります。
それだけオーナー様にとって大変関心が高い問題であると思われます。
更新料については、現在最高裁で争われておりますが、今後の見通しと我々が早期に実施しなければならない対策について記したいと思います。

【裁判の進捗】
賃貸契約更新料を徴収する契約が、消費者契約法上有効かどうかを争った訴訟で、控訴判決が5月27日に大阪高裁でありました。
その内容は、「家主側の利益確保を優先した不合理な制度だと」し、契約条項を無効とした一審の京都地裁判決を支持、家主側の控訴を棄却した。
これにより、高裁レベルでの判断は、「無効が3件」「有効が1件」となりました。
更新料が有効と認められたのは1件のみの結果です。
今後は、それぞれの裁判が最高裁に控訴されており、その結果が注目されるところです。

【今回の大阪高裁の見解】
(大阪高裁の判断は)

1) 借地借家法には、更新を拒絶する正当な理由がなければ自動更新されるとの強行規定があるのに全く説明をしていない。従って借主は自動更新の場合は更新料支払いの義務がない事を認識しないまま契約をしている。 

2) 貸主と借主は情報収集力に格差があり、自由に条件を比較できず、取引は対等とは言えない。

3) 下記の更新料の法的性質があるが、その法的根拠について借主に説明がなく、更新料には安いとの印象を与え契約締結を誘う役割しかない。

4) 消費者契約法10条に違反している。

以上が今回の控訴棄却の理由である。
それぞれの裁判での争点は少しずつ違いますが、上記の点で認めるか、認めないかの見解が大勢であると思われます。
(更新料の法的性質)
1) 更新料拒絶権放棄の対価である
2) 賃借権強化の対価である
3) 賃料の補充の性質をもつ
以上が更新料の法的性質であります。

(更新の方法)
合意更新・・・借主・貸主双方の合意に基づく契約更新
法定更新・・・双方の合意がなくても、法的に更新したものとみなす契約更新
メリット・デメリット
合意更新・・・保証人が合意しない場合は、保証人がなくなる場合がある。
法定更新・・・保証人が外れる事は無いが更新料を貰えない場合がある。

【今後の裁判の流れ】

現在更新料訴訟については、最高裁での争いとなっており近い将来に最高裁での判断が下されるものと思われます。
飽くまで私見ですが、賃貸契約の更新料は最高裁で認められないのではないかと思われます。
万一最高裁が更新料は消費者契約法10条違反との判断を下した場合、最高裁の判断は法律的に見れば絶対的であり、以前に起きた貸金業の過払い金請求と同じような状況になる可能性があります。
直近では、年金型生命保険が相続税と所得税の二重課税ではないのかとの訴訟で、最高裁判断は二重課税を認め国の敗訴が決定した。
国(財務省)は徴収した税金を還付する意向を示している。
従って、更新料が最高裁において認められない場合は、返還請求が相次ぎ市場が大混乱する可能性も考えられます。

【今後の対応策】

消費者契約法が施行されて以降、消費者を守る傾向が強化されて来ております。又、消費者庁が設立された事からも、今後ますますその傾向は強まるものと思われます。
我々賃貸業界に携わるものとして、この業界を良くするためにも消費者に受けいれられ難い制度は改正しクリーンなイメージ創りに努力する必要が有ると思います。

今後の対策としては
1) 出来る限り更新料の徴収をやめる。
2) 市場原理から考えれば難しいが、減収分を月額賃料に上乗せする。
3) 途中解約型清算一時金として設計する
4) 月額賃料上乗型か解約一時金型の選択制の設計をする
5) 定期借家契約で、再契約手数料制度に移行する。

等々色々と考えられますが、今後契約を明確にするためには、更新料を取る為の方法ではなく、飽くまで賃料に一本化し、消費者が明確に賃貸物件の費用が比較できる体制を業界全体がとる事が重要ではないかと思いますが如何でしょうか?


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年6月号)  第66号

梅雨の季節となりました、今年の梅雨は太平洋高気圧の勢力が弱いために、長梅雨となりそうです。

【最近思う事】

郵貯限度額の引き上げ、融資の返済猶予、恒久財源のない手当のばらまき、政治家・官僚が自らを切ろうとしない消費税増税議論、6000以上の公益法人に天下る役人、先送りされる公務員改革、年間財政の半分以上を占める国債(国の借金)発行、年々増加する社会保障費、相変わらず地方分権しない中央、縦割り行政の維持、逆進する道路政策、国際化に対応できない政治、弱腰の外交、ガラパゴス化してきた日本・・・・言えば切りがない腹立たしい思いである。

政府は、強い経済、強い財政、強い社会保障、を目指している。経済は上向いているがその原因は大企業の大胆なリストラ策の結果であり、中小零細企業には何の影響もない、逆に雇用を悪化させ消費の減少につながる施策である。
財政と言えば、1400兆円と言う個人金融資産を背景に、40兆円を超える国債発行を続けており900兆円に迫る国債残高になり、ギリシャ問題を他人事とは思えない状況にある。社会保障は高齢化にともなう社会保障費用が年々増加しており、その財源をどの様に確保するのかが大きな課題である。
強い財政、強い社会保障を目指すことは必要不可欠であるが、その基盤は強い経済をつくる事にある。
菅内閣が発足し、5月末に経済産業省が今後10年間で149兆円の市場を創出し、雇用を258万人増加させるとして、「インフラ輸出」「環境・エネルギー」「文化産業」「先端分野」等を通じ目標を達成するとしている。
是非実現をしてほしいものである。
私は、団塊の世代の最後の世代でありますが、日本の高度成長とともに猛烈に働いてきた思いがあります。その時の財産として優れた技術が残されております。国際的にはエネルギーや環境分野で大きな商機があり、日本の優れたインフラ(下水道、ガス、電気、鉄道、道路、橋梁等)技術・原発、水ビジネス等のエネルギー技術、それを海外に輸出し、日本の地盤沈下をくい止める策とする必要があります。その為には個々の企業が売り込むのではなく、官民一体でセールスする事が必要である。
世界一の税率を課す法人税、世界がグローバル化するなか強い企業は海外に出て行く事になりかねない。
早期に、規制の緩和、税金の抜本的見直し等の政策を実行し強い経済を造る事が必要であると思われます。
又国民はいつまでも国におねだりを続けるのではなく、自立した個人を目指すべきである。真の弱者には救いの手を差し伸べる必要がありますが、無制限な手当の支給等は個人の国への依存度を高める事になり自立した個人にはならないように思います。
今月号では、アットホームが最近実施した18歳~29歳の一人暮らしの実状と部屋探しについての、アンケート調査の結果をご紹介します。

【住まい探しで重視すること】

1) アンケート調査時点
☆「家賃」を重視するが、90%以上となっている
☆次に「間取り・広さ」が80%以上と高い
☆3番目に「設備」で5%以上と、2番との重視度の開きがある。
2) 今後重視する点
☆「家賃」が一番であるが、10ポイント以上減少している。
☆「日当たり、通風が良い」は14ポイント増加している
☆その他「ペット可」「セキュリティ」が大幅上昇しているのが特徴です。

【重視する設備】

1) アンケート調査時点
☆一番が、「独立したトイレ・バス」以下「エアコン」「フローリング」「室内洗濯機置き場」となっている。

2)今後重視する点
☆「独立したバス・トイレ」が大幅上昇
☆「広い収納スペース」「防音」が次に大幅上昇
☆「追い焚きの出来るバス」の人気も上昇しております。

【重視する環境】

1) アンケート調査時点
☆「最寄り駅から近い」事がトップである。
☆次いで「勤務先から近い」事の重視度が高い。
☆「コンビニが近い」(女性はスーパーを重視)、「治安が良い」が3番目だ。
2)今後重視する点
☆「最寄駅から近い」が10ポイント弱増加。
☆「スーパー」が近い、「治安が良」いが17ポイント以上増加している。

以上の通り、家賃の重視度は相変わらず高いが将来的には減少傾向にあり、逆に「日当たり、通風」「ペット可」「セキュリティ」を重視する傾向にあるのが特徴である。
設備面では、今の住まいに不満を持っている入居者が多い点、重視する設備の種類が増加している点、「独立したバス・トイレ」が突出している点、「追い焚きの出来るバス」も人気上昇している点が特徴です。
環境面では、コンビニよりもスーパーを重視する傾向にある点、女性はスーパー重視に加え治安を重視する傾向が強い。
以上が今回のアンケート(アットホーム)調査の特徴です、今後の賃貸経営に活かせてください。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年5月号)   第65号

季節の変わり目であり、寒暖の差が激しい日々が続いております。
体調には十分に気を付けましょう。

【本年繁忙期の速報】

全国賃貸住宅新聞本年度繁忙期の速報によると、本誌が全国不動産業者275社を対象にしたアンケート調査によると、30%の業者が、成約件数が増加又は大幅増加したと回答した。
一方40%の業者が、大幅減少又は減少と回答した、横ばいと答えたのは30%であった。
成約賃料は、大幅下落したと回答した業者が67%に達しており、今年の繁忙期はデフレ経済の大きな影響を受けている事が窺われます。
以上のアンケート調査結果から、増加と回答した業者が30%と昨年対比6.4ポイント増えた、その原因はデフレ経済に対し全体的に取り扱い物件の家賃を減額した事によって成約件数を増やしたものと思われます。
早く景気が良くなる事が望まれます。

4月にとまとハウスセミナーを開催致しました。
今月号ではそのセミナーについての概要をご報告申しあげます。
セミナーのテーマは、「好印象を与える物件イメージ創り」「賃貸マンション客付けの裏技」で行いました。

【好印象を与える物件イメージ創り】

講師として、株式会社朝日リビング・マーケットリサーチ部・宇田川 和寛様よりお話を頂きました。
家主様の最大の関心は、自分の所有する賃貸マンションの稼働率を如何に高くするかであります。即ち、入居者の確保が最大の関心事であります。
しかし、益々厳しくなる賃貸経営の現状において「入居者の確保」は大変に難しいテーマであります。
入居者確保の対応策は色々とありますが、究極の対策は「物件の質を上げる」か「家賃の条件を下げる」かに行きつくものと思われます。
物件の質を上げるとは ⇒ 建替える・リノベーション(最新のニーズに合った物件に仕上げる)・リフォーム(新築物件に近づける)等の対策であります。
家賃等の条件を下げるのも一つの方法ではありますが、入居者の質が悪くなりますので、後の管理が大変になります。
従って、物件の質を高めて行く事は大変に重要な対策であると思われます。
今回、朝日リビングさまでの改装実績・顧客ニーズ合った改装方法・入居者の決まり易いリノベーション・リフォームのお話を頂きました。
その結果、5組の家主様が見学会を希望され、現在順次見学をされております。
第一部のセミナー写真

【賃貸マンション客付けの裏技】

標記セミナーは、私が講師としてお話をさせて頂きました。
このテーマも家主様にとっては最大の関心事であり、大変真剣にお聞き頂き、参考になったとのお言葉を頂きましたことは、何物にも代えがたい喜びで御座います。
さて、セミナーの内容ですが不動産業者の行っている客付け業者の実態を、ありのままにお話しし、客付けの実態を知ることにより、媒介を業者に依頼する場合の技法をわかって頂けたと思っております。
又、現在の客付け業務はインターネットによる来店誘致が大半を占めており、どの様に業者に媒介依頼するのが良いのか、そして来店者をどの様に成約に結び付けるのか、又各業者の社内規定に沿った営業社員への客付け依頼技法、広告料の出し方等々についても来場者様には大変に参考になったとの事でありました。
第二部のセミナー写真

【セミナーを通じた感想】


今回のセミナーで家主様は「入居者確保」に大変な関心がある事を痛感致しました。
現在日本全国で空いている住宅戸数は600万戸以上であると言われており、人口が減少を続ける現状から、今後も大変厳しい賃貸経営が続くものと思われます。その中で、如何に稼働率を上げて行くかは、オーナー様各位の努力次第であるように思われます。
特に、賃貸全般に亘り、常によく勉強し、現状をよく知ることが大切であると考えます。
今回セミナーに参加されたオーナー様は大変に勉強熱心な方が多かったように思います。
孫子の兵法である「敵を知り己を知らば、百戦危うからず」の格言通り、現在の世の中をよく知り、入居者のニーズを捉え、業界の動向を掴み、自分自身の実態をよく知れば百戦しても負ける事は無い。
今後もオーナー様の大切な財産であり、事業物件である賃貸マンションをより良いものとする為に、お互いに研鑽して参りましょう。
今後も微力ではありますが地元の皆様方に少しでも喜んで頂けるよう社員一同努力して参りますので、今後も引き続きご指導ご鞭撻の程何卒宜しくお願いを申しあげます。


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とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年4月号)   第64号

桜が満開の京都です、休日の観光地は車の渋滞で大変です。多くの観光客が来られており関連産業は多忙を極めているようです。

「温故知新」、今回は住宅の歴史を知り、問題点を捉え、今後の住宅を考えて行きましょう。

【住まいの歴史】

住まいとは何かとの問いに対し、生活をしてゆくための空間であると答える方が多いと思います。
その生活空間の歴史はどのようなものであったのでしょうか?
日本人は元々農耕民族であり、古くから多くの人が農村で暮らしてきました。
例外なく、私も丹波篠山で育ち、先祖代々、田や畑を耕し農業を行ってきた家で生活をしてきました。
農村家族の多くは3世代が住まいし、牛・鶏・ヤギなどと共に暮らし、昔ながらの掟を守り、近所付き合いを行い、生活をして来ました。
又その住居では、冠婚葬祭をも家の中で行っており、その様な住居は必ず他人を招き入れる空間が存在しておりました。
日本の歴史を見ても書院造りのように「接客の為の格式空間」があり、歴史的にも客間が存在していた事は事実です。
その住宅は戦後の高度成長期に大きく変貌することになります、農村から都市への人口移動が加速し、大量の住宅を必要としました。
味噌有の絶対的な住宅不足の中、公営住宅が建てられ2DKタイプの規格住宅が大量に供給された結果、民間マンションもそれに従い同様の物件が供給された。煮炊きする「火」あるいは、食の基本である「水」は井戸から水道に変わり、屋外に有ったものが室内に取り込まれてきて住宅の合理化が急激に図られてきた。

【合理化による住宅の変貌】

逆に、その合理化に取り残されてきたものがあり、それは人を招き入れる接客空間が無くなったことであります。
現在の住宅は「客間」が無くなりLDKと変貌した、現在の玄関周りは、接客空間としてはいかにも貧しいように思われます。親族や友人が訪ねてきても泊める部屋がないのが実態です。
日本の住宅はウサギ小屋と海外から揶揄されており、動物の住処に例えられる程の貧弱さであるとの印象を受けているようである。
なるほど動物は他の動物を招き入れる事はないが、人間がその機能をもとめることを贅沢と言えるのでしょうか?

【動物との生活】

一方、昔は動物と一緒に暮らしてきた歴史があり、近年ではペットと同居することが多くなってきましたが、賃貸住宅での動物との同居は基本的に認められていないのが現状です。
このことは、住宅の大量供給をしてきた時代の供給側のご都合主義である。

【人間同士の繋がりの稀薄さ】

農耕民族である日本では、農村社会では村人たちとのかかわりをもち、必ず集団で暮らしてきており、その集団の掟に支配されながら生活をしてきた。
しかし、現在の都市部では、他人とかかわりを持たずに生きてゆく事ができる。
愈々高齢化社会を迎えるに当たりその事が顕在化し社会問題化してきている。
家族が、或いは地域社会が高齢者のお世話をする方法はないものか?

【問題の解決が顧客志向重視の取り組みである】

今後はこのような問題点を解決し、人間の生活を豊かにする事を考えてゆく必要があります。
企業側(貸主側)の倫理で商品(賃貸住宅)つくりをするのではなく、あくまで顧客側(入居者側)の求めるものを供給して行けない企業は淘汰されるものと思っております。
今後は、顧客志向を重視した企業が生き残れるものと思っております。


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とまとハウスの「耳より情報」

 (平成22年3月号)   第63号

3月は三寒四温を繰り返し、徐々に暖かくなって来ます。高知県では16日の開花予測が出ており、近畿での桜の開花も近く、春はもう直ぐです♪♪

社会・経済構造が、かってないほど多様化し急速なスピードで変化しております。
先の読みにくい時代であり、過去の延長線上では、もうビジネスは成り立たなくなっております。
人口・世帯・ニーズの変化を捉え、新たな展開を図る必要が有ります。
今月号では、新たな展開の一つとして、リフォーム&リノベーションについて掲載をさせて頂きます。

【リフォム&リノベーションの考え方】

国は2010年3月8日に住宅エコポイント制度をスタートさせます。エコ新築住宅、エコリフォームに対し地球温暖化対策の推進及び経済の活性化を図る目的で住宅版エコポイントを発行する制度です。
又、3月5日の日本経済新聞に、都市再生機構は老朽化した中高層団地で、上層階を撤去して耐震性を向上させる「減築」などの新たなリニューアル手法の実験に乗り出したとの記事が掲載されておりました。
近年、鉄道駅近辺は古くから開発がなされており、駅近と言う好立地であるにもかかわらず老朽化したマンション、アパートが多いのが実態です。
今後は、このような地域の活性化が必要であり、それは建替えに限らず、バリアフリー・耐震・エコを取り入れたリフォーム&リノベーション工事が増加するものと思われます。
今後は国をあげての促進が図られ、良質な住宅ストックの活用が中心となってくることは必然であり、そのストックの活用をして行く上でリノベーションは不可欠になってくるでしょう。

【地域活性化策は】

地域活性化はその地域地域の特徴があって、その地域の住宅ストックをどの様に活かすかは、地域のニーズを良く知っている地元の不動産業者が担うべきであると考えます。顧客の細かなニーズを拾い上げて対応してゆくことで、顧客満足度を高め、付加価値を高めてゆくニッチなビジネスは、地域密着型の企業がやるべきであると考えます。
しかし、現実はそれがあまり機能していないのが実態であり、ニーズの変化に供給側が対応できていないのが実情であります。
今後は建築と不動産が融合した企業が出現し、地域密着の個人サービスで智恵を絞ってゆく時期が到来するものと思われます。
建築業は建築で、不動産業は不動産でとすみ分けをした偏った考えが押し付けられるようであれば、決して地域活性化の原動力にならないし、顧客の為にならないことになるでしょう。

【ニーズの変化の捉え方】

今後リフォーム&リノベーションをする場合、重要なのは入居者が集まるか如何かである? お金をかけて工事をしたが、入居者が集まらないのでは何の為に工事をしたのか分かりません。
その為に一番重要なのが「市場調査」であり、その地域の入居者ニーズの調査を行い、結果を分析することにより「市場で求められている物件」「人気のある物件」はどの様な物件なのかを導き出す事が重要であります。
又、今後そのニーズがどの様に変化してゆくのかを的確に捉えたリフォーム&リノベーションを行う必要があります。
具体的には、「間取り」「家賃等の契約条件」「立地・環境・利便性」「外観・物件の格・デザイン」「駐車場の有無」「遮音性」「設備・仕様」「セキュリティ」「日当たり」「管理の情況」を詳細に分析することが重要です。
全国賃貸住宅新聞にこのような記事が出ておりました。「供給の主流はファミリーから単身者向けへ」と題して、今後の世帯変化は単身世帯が増加することは事実ですし、現実にも30㎡~50㎡程度の部屋は建築後即入居が決まっているのが実態であります。顧客も二極化し当該物件の人気が高いのは必然ですが、極端に安い物件の人気もあるのが実態です。
現在の供給物件の大半は、この30㎡~50㎡の1LDK物件が大半です。今後長期的に見た場合、需要と供給のバランスが崩れるのは明白であります。
現状分析では正解でも、今後の展望を考えれば疑問が残ります。

【リフォーム&リノベーションの方向性】

それでは今後どの様な工事が必要とされるのでしょうか?
前述した「間取り」「外観・デザイン」「駐車場の確保」「遮音性」「最新の設備・仕様」「セキュリティ」が地域ニーズを捉えた工事であることは当然ながら、今後のことを考えるのであれば「バリアフリー化」「耐震の強化」「環境に配慮したエコ住宅」ではないでしょうか?

1) バリアフリー化は、高齢者をターゲットにするのであれば、今後老齢化が急速に進む事を考えれば当然必要不可欠であることは明白であります。
もう直ぐ4人に1人が65歳以上となる日本において、その住居確保は喫緊の課題です。
2) 耐震の強化については、老朽化した賃貸住宅について、入居者の耐震への関心は高く多くの入居者は不安を抱えておられます。
リノベーションの際は必要不可欠な要素と考えます。
3) エコ住宅については、近年その関心は高く建築資材、建築工法が地球に優しい(再利用可能、環境への負荷低減)モノを使用している。
太陽光発電、深夜電力を自動車に蓄電するシステム、売電等々を設備した住宅。その他多種の研究開発が進んでおりそれを取り入れたリノベーションは必ず必要となるでしょう。

【最後に】

最近の傾向は、家主主導から入居者主導の賃貸条件設定に急激に変化しつつあります。特に家主様より「なかなか空室が埋まらない」との相談が増加しております。多様化する顧客ニーズと、急速に下る賃料下での対応策は、①建物を最新のニーズにリニュアールする ②お金をかけないのであれば賃貸条件を緩和する以外に対策は少ないと思われます。
賃貸業者に対し、家主様は入居者を探してくれと言えば、家賃を下げるか、改装するかどちらかと言うが、それ以外に脳がないのかとよく言われます。
しかし、現状はこれと言った対応策がすくないのが現状です。
これをやれば必ず入居が決まると言われる程の何かを求めてあらゆる情報を集めておりますが、なかなかこれと言ったものが見つかりません。
多分、多様化する現在社会のなかでそのような決め手となるものは無いと思います。私の考える最善の対策とは、色々な、小さなハード面、ソフト面での対策の積み重ねであるのが答えではないでしょうか。
総合力が真価を発揮するのではないかと思います。是非、細かいところまで気を使い対策を講じてください。それが最善の対策であると考えます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成22年1月号)  第61号

新年明けましておめでとう御座います。本年も引き続き皆様方にお役に立つ情報をお届けして参ります。何卒本年も宜しくお願いを申し上げます。

年頭に当たり、今後の不動産マーケットの予測について考えてみましょう。

【過去の不動産マーケット】

バブル崩壊により、地価の右肩上がりの上昇と言う土地神話が終焉を迎え、その後不動産に新しい仕組みが導入され金融と不動産が切り離せない関係になり証券化が進みました。その際にDCF法、J・REITが不動産マーケットに導入され誰もがその市場に参加できるようになり発展してきた。その結果日本の銀行は不良債権処理に目処がつき、リーマンショック以前は活発な銀行融資が行われ不動産市場に潤沢な資金が振り向けられ、ミニバブル的な様相を呈しておりました。しかし米国のサブプライムローン問題に端を発し、その後のリーマンショックにより金融商品は傷つき金融機関の機能不全が起きておりビジネスモデルが機能していないのが現状です。
従って、不動産には資金が回ってこなくなっており、不動産を保有する主体が資金を借り換できなくなり物件を保有する事ができなくなっております。
売りに出しても買い手が付かず負のスパイラルに陥り価格が下落している状況であります。又企業のコスト負担力は低下し、その結果賃料が低下しているのが現状であります。
この様な状況になれば、銀行の貸し出しも抑制され益々借り替えが出来なくなり、出口が見えてこなくなる状況です。欧米の銀行は公的資金を受けておりますが、日本の銀行は傷が浅く大規模な増資での対応となっております。早く金融機関が健全化し積極的な融資が必要不可欠です。今のマーケットを回復させる為には新たな、資金供給の仕組も必要かも知れません。
世界を取り巻く問題が、金融から実体経済へとシフトし、不動産マーケットは次なるステージへ足を踏み入れることになりました。

【不動産需給関係の問題点】

日本の場合は、①少子高齢化による消費者人口の減少により消費が縮小している。 ②高齢化による年金、医療、介護に財政的な負担が顕在化している。 ③経済構造変化にともない、日本の労働賃金が高くなり生産拠点を国外に移転しで海外からの輸入品を消費者が挙って購入しおり、お金が国外に移転しGDPが伸びない。 ④ GDPは米国、中国が右肩上がりの成長を続けているが日本の場合は20年前より横這いとなっており昨年には中国に抜かれ世界第3位となる。
以上の点はこのような事態を放置した政治の問題であるように思います。
長期的な展望に立った日本の成長路線の戦略が必要であり、そのための強いリーダーが必要だと思います。
以上の問題点を鑑み、日本の不動産に関する問題点を考察すれば、人口が減少しているにも拘らず過去20年間景気対策として住宅の供給と需要を創出してきた。短期的には景気を下支えしてきたが、長期的にはストックの過剰として顕在化しており、現在日本全体の住宅ストックの中で、700万戸から800万戸の空きがある状態が最大の問題である。人口が減少し住宅戸数が増加することは危険であり、人口が減少する分、住宅ストックと新規供給を減らし需給関係のバランスを取れば価値の成長維持は可能であるはずである。
もう一方で、環境問題がクーロズアップされており、特に住宅から排出するCO2が多いとの問題点が取り上げられております、日本の政府はCO2排出量を25%削減すると世界に宣言し、コペンハーゲン会議COP15において後進国の反対があり明確な方向が示されていないのが実態です。日本の、建物の建設から運用廃棄に至るライフサイクルでのCO2の排出量は国全体の排出量の40%を占めており、自動車に起因する排出量の約2倍に及んでおります。
その為に環境に良い家を供給する必要に迫られておりますが、新築住宅を建て続けることは需給バランスを崩す事であり、今後は古い建物を壊し新しいものにする、スクラップ&ビルドの方向に進むのではないでしょか。 
耐震改修が必要な住宅は1100万戸あると言われておりますが遅々として進んでいないのが実態です。 又築30年のマンションが100万戸に達すると言われており老朽マンションの建替えも大きな問題であります。
人口が減少するマーケットでは、供給をどんどん増やす開発型のやり方が通用しなくなった、今後は既存の建物を減らしながら付加価値を創造する必要があります。不動産の有効活用や環境配慮の観点から、よりよい高度な手法が必要なのです。

【不動産価格の予測】

長期的な投資理論と、短期的な上がり下がりは別物であります。
不動産のキャピタルゲインを得る方法は2つあり、1つ目は、数年単位で価格が上下するタイミングをみて売買を行う方法、2つ目は、日本の不動産の本来トレンドを見つけ長期投資を行う方法、その2つを区別する事が重要です。
外資系企業と外需に依存してきた企業は、オフィス需要を活況にしてきた。しかし世界経済の悪化で需要が減退してきております。又人口の減少から住宅需要も長期的には下降線をたどるであろうと思われます。
従って今後の長期的な不動産マーケットは縮小均衡となることは避けられないと思います。
短期的には不動産価格の上昇は考えられますので、不動産投資は短期的な波を捉えるか、長期的なトレンドを読んだ取り組みを行うかを明確にする必要があるとおもわれます。
しかし、今後は長期的縮小均衡トレンド予測を、なんらかの対策で押し上げ、安定的に成長をさせる事を考える事も重要であります。供給を減らし需給バランスを取る事が出来れば長期的な不動産価格を維持できるものと思われます。
一方不動産市場を狭域的に見た場合、不動産業界の常識として不動産の立地は非常に重要で、その価値は不変に近いものがあると言われております。逆に、市場価値がゼロに近いものを探して、独自の付加価値を生むのが良いと言われる方がおられますが、その付加価値が終わった段階での不動産価格は再びゼロになっております。
立地により不動産価格は二極化するものと思われます。立地とはその不動産が生み出す収益性が高いもの、住宅であっても予想賃料で得られる収益が高いものが良い立地にある不動産であります。
不動産価格が上るときは素人でも不動産事業は経営できるが、下るときはプロ以外生き残れない時代になっております。過去にあったような「楽な大家業」は長続きする時代ではないのかも知れません。

【今後の長期トレンドで不動産価格維持の対策は?】

欧米の住宅は、良い建物を造り、定期的な手入れを行い、長く使う事を重視している。しかし日本の住宅の場合は優良ストックとしての条件を満たしていない住宅が多く、空間の狭さ、エネルギー効率の低さ、耐震性の劣る住宅、老朽化の激しいものがあり、設備更新や修繕、改修等を低コストで出来る状況にないのが実情です。又、柱、梁などの構造体を残して解体し用途、機能を変更・追加し性能を向上させる技術開発が進んでおりますが、再生建物の「土台」となる既存構造体が耐震性などの条件をクリアーしていることが必要です。
質の良いものは適切なリノベーションを施したうえ残し、低質のものは建替えで高質なものに代替をすすめると言った考えが必要であると思われます。
又、日本の分譲マンション市場は、十分に住宅戸数は満たされており、一方で人口は減少して行きます。バブル崩壊以降新築マンションは少しずつ価格を下げながら販売を維持してきた。しかしその事は中古マンションのストックを増加させそれほど遠くない将来に大量の廃墟が出現することになるかもしれません。質の劣る中古マンション再生させるか、最低でも、供給分の住宅ストックを減らすことが価格維持の前提です。
日本の住宅は既に量的には充足しており、少子・人口の減少のトレンドのなかでは、空き家が増加し、質の劣るストックが淘汰されることは止むを得ないことだと考えます。
従って今後は環境に重点を置いた政策が必要であり、住宅も然り、不動産のマネージメントを含めた質が抜きん出ていれば競争力は衰えないものです。
環境に配慮した良質の建築物を、リノベーションにより或いは建替えにより創出し、その需要により経済を活性化する方向に進むように思います。
不動産の評価も環境に配慮した度合いに応じてランク付した不動産価格評価になるのではないでしょうか?

【成熟した大国日本の活性化】

生存、安全といった低次の欲求が満たされると、より高次の生活の質の追求が始まり、ただエネルギー効率を高め、利便性や安全性が高いと言うだけでは、国民は満足しない、快適性、美しさと言った心理的、審美的な要素への配慮も必要となります。
景観改善、のための電線の地中化や高速道路の地下化と言ったインフラ整備、建築で言えば建物の品質レベルアップを目指し新たな建築基本法の制定に向けた動きが始まっております。
高度成長期に国土の均衡ある発展を重視した結果、地域の個性が失われてしまった。地域としては、地域の個性を生かした取り組みが必要であり、日本の原風景である里山などごく普通の景色や四季折々の表情豊かな自然と、そこに暮らすすがたは世界中での評価は高い、国土交通省の提唱する観光立国のポテンシャルとしては高いものがあります。
特筆する観光資源がなくても、そこだけにしかないオンリーワンの町並みや景観、ローカリティのある人々の暮らしの魅力を評価して認定されている、それが過疎化や近代化に悩む地方の村に大きな希望を与え、特に観光の側面で成功を収めている。
日本の魅力を海外に発信し、中国やインドをはじめ成長著しいアジアの中間層などの需要を取り込み「観光と環境」で日本の新しい経済発展モデルを構築してゆくことが「成熟した大国」の一つの方向として考えられます。
現政府は、3Kの取り組みで日本の再生を目指しております。「環境」「観光」「介護」の取り組みです。
日本全体では、人と地球に優しい国土作りを行い、成熟した大国を目指す方向に向かうものと思われます。



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師走となりました、本年は良い年でしたか? 来年こそは皆様方にとって、良い年で有ります事を念願致しております。

今月号は国内のビジネスの現状について考え、その方向性から賃貸経営に活かすための方策を考察したいと思います。

【日本型経営の終焉】

日本型経営とは
1) 政官業トライアングルの崩壊企業が政権政党に献金する、政治家はその多寡に応じて見返りを与える、そして、役人は通達行政を通じ業界に介入する仕組みが出来上がっていた。その為に談合等が象徴する通り全く競争原理が働かない状態であった。

2) 含み経営の崩壊地価と株価が一貫して上昇を続けていた時代は、企業の赤字が続けば土地、或いは株を売って利益を捻出し相殺出来た。しかし現在は、株、土地を持つ事自体がリスクとなった。

3) 株式の持ち合い解消企業買収の防止策名目で行われてきたが、その事が経営内容のチェック機能を喪失させた。シャンシャン総会が蔓延し、身内の独裁経営で、企業は仲良しクラブを続けてきた。

4) 官僚政治の終焉戦後の政治は役人が行なってきた事は事実であるが、常に官僚が正しいと言う神話は崩壊の途にある。以上の事は、現在大きな音を立てて崩れ落ちている状況であります。この崩壊の原因は、時代の趨勢でありますが、特に会計ルールが国際会計基準に変わった事による影響が大きいと思われます。 ①単独決算から連結決算へ ②土地、株式、社債は時価計上となった。その結果、減損会計となり、企業の遊休土地、株式等は値下がりした場合損失を計上する必要がでてきた。又、連結決算により不透明な損金を子会社に押し付ける等の決算ができなくなり、企業会計の透明性が高くなり、外国企業の投資が活発になった。その結果、弱者を守る政策が通用しなくなり、政治家、官僚の存在感が薄れてきた。 政権が代わり一時的には揺り戻しはあるが、市場経済への移行は止められない。その事は、我々も良く認識すべきであると思われます。


【消費者重視の流れ】

企業側の倫理で「良いものをつくれば必ず売れる」と思うのは時代遅れであり、売れるものをつくる事が必要である。マーケットから売れるものを見つけそれをつくる事である。 ビジネスはマーケットに聞けと言われるゆえんである。家電はコジマ、ヤマダ電機等の家電量販店が売る、薬、生活用品はマツモトキヨシを始めとする量販店が販売する時代となりました。全てはエンドユーザーと直結するビジネスが主導権を握る時代です。 今後はユーザーニーズを無視したビジネスは成り立ちません。主導権は企業から消費者に変わりました。 お客を最大限に尊重する事、その事を十分に理解する必要があります。

【付加価値経営への移行】

付加価値とは、100円で仕入れて100円以上で販売する。即ち投入した以上の価値をつくりだす、その事は外部から仕入れた物に手を加える、アイデアを加える等の何らかの加工をする事によりつくり出されます。それが付加価値です。 経営資源を投入し投入した以上の価値を生む製品やサービスをつくりだす事が付加価値である。付加価値を創出できない企業が多くなれば資本主義経済は破綻し、その国は滅びます。 マルクスは「富(付加価値)は長時間労働によって生まれると言った」しかしそれは間違いであった。付加価値は知識で生まれるものである事を理解する必要があります。

【実業と虚業】

老舗の教訓に「浮利を追わず」をよく見かけます、浮利とは投機のことであり、実利とは付加価値(加工して)によって得た利益の事である。加工しなくても、加工してもバランシート上では全く同じでありますが、浮利は全体のパイが拡大せず、勝つもの(利益を上げるもの)がおれば、必ず負けるもの(損を出すもの)が出る。 エンロン・ベアリングス、山一証券の破たん等で、それはゼロサムゲームに負けた結果です。 最近ではリーマンショックがありましたが、デリバティブ・CDS等は投機の道具と化しました。これからの時代は、汗を流し実利を求め付加価値を追求しなければ企業は存続しないでしょう。

【不動産賃貸業界への応用】

上記の現状を捉え、今後の当業界の動向を推察し今後の賃貸経営に活かして行くことが必要です。先ず、時代が大きく変わろうとしている、過去の常識が通じない時代に入った事を理解する。特に2011年から2015年に起こる事は予測が付かない事となる可能性が高いと思われます。 過去の延長線上で今後を判断する事はリスクが高いと思われます。この様な時代こそ、基本に戻る事が必要であります。虚業は当然のこと、戒める必要がありますが、常に正道を歩む事が大切であると考えます。 不動産(地価)は右肩上がりの傾向は反転し右肩下がりのトレンドとなっております。上がり下がりの波はありますが基本的には右肩下がりの傾向となっております。 賃料は地価の下落とは別に、入居中の賃料は下がらずタイムラグをおいて下がって行くものと思われます。又賃料は需要と供給によって決まる為に、今後の人口、世帯数の推移、人口移動、等を勘案すると一部の地域を除き下落傾向は続くものと思われます。 一方、ユーザーの賃貸ニーズは益々多様化し、キメ細かな対応が必要となるでしょう。ペット、楽器、バイク、車、園芸、菜園、読書、等それぞれの住まい方、趣味に対応した賃貸物件の供給、2030年頃には世帯数の40%近くになると言われております単身世帯への物件供給、子育て世帯への戸建て住宅等々、ニーズの多様化に対応して行く必要があります。 私は賃貸住宅に付加価値を付けるのは、ソフト面を担う管理会社にあると思っております。どの様なソフトを付けるかは智恵を絞ることが必要です。その為には、果たして不動産管理会社が顧客のニーズをしっかり把握し、適切な対応を行っているのか如何か? よく言われる事に「管理と仲介は利益相反である」と言われますが、何故管理会社が賃貸仲介店舗を持つ事が利益相反になるのか、私は聊か疑問です。 顧客ニーズを掴むのは賃貸営業を行っている営業社員が一番よく知っております。それを把握しない管理会社は、滅びゆく卸売業に良く似ております、実務はマーケットに聞く、その智恵もまたマーケットが教えてくれます。今後はエンドに近い業者が主導権を握るものと思います。家主様を大切と思うので有れば、入居者を満足させる事が必要です。良いヒントがあればご教授下さい。激動の時代、今後も家主様と共に勉強して行きましょう。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成21年12月号)   第60号


いよいよ師走、慌ただしい毎日ですが、行く年の総仕上げを行いましょう。 そして来る年がよき年でありますようにお祈り申しあげます。

 
               
10月号でご案内いたしました、コンセプトマンションについて11月号でその詳細をお伝えしましたが、今月号ではコンセプトマンショ  ンの中でも特殊な物件を中心にお伝え申しあげます。

【10月号・11月号のおさらい】
10月号では、高所得者に多い積極的賃貸派の需要を取り込むには、今後分譲住宅に匹敵する質の高い賃貸物件を供給しなければならない。一方若年層は豊かな生活に慣れておりライフスタイルにこだわる世代で、こだわりのあるコンセプトマンションを供給して行くことが、今後の賃貸経営における生き残りの要諦であると記載いたしました。又11月号ではコンセプトマンションの詳細をご紹介いたしました。 今月号では、コンセプトマンションの中で特殊物件をご紹介して行きます。

【コンセプトマンションの特殊物件のご紹介】

1、 家庭菜園付き賃貸住宅
近年自宅の庭、或いは貸農園で家庭菜園をされている方が増加しております。 その様な入居者をターゲットに、貸農園付きの賃貸マンションが増加傾向にあります。自分で育てた野菜は、育てる喜びと、それを食す喜びは格別なものがあるようです。その菜園が自宅前にあるのは、その様な層の方には理想です。2~3坪程度のスペースで十分です、費用も枠と土のみですので小額で済むようです。

2、 防犯マンション  
防犯設備の完備されたマンションで「オートロック、(テレビモニター付)」「ダブルディンプルキー」「1階窓はシャッター付き」「駐車場と1階バルコニーは人感センサー付き」「2階窓はフィルム入り防犯サッシ」「エレベータは防犯カメラ設置でエントランスのモニターに映る仕掛け」「敷地内の死角がない」等の配慮をした、安心の防犯対策マンションです。特に昨今の犯罪は悪質化しており、」今後女性を中心に需要は益々高まるものと思われます。

3、 SOHOマンション
外資系企業等は会社出勤が週1回程度の企業が多く、IT関連企業は通勤時間等を考慮し在宅勤務の企業が多くあります。又自営業者、独立する人達には重宝がられております。その様な在宅労働者をターゲットに事務所付の住宅がこのSOHOマンションです。 インターネット環境完備は勿論、戸数の多いマンションはレンタル会議室を設置している物件、或いは無料接客スペース、秘書サービス等がある設備の整った物件もあります。

4、 子育て支援マンション
子育て世帯をターゲットにしたマンションです。このようなマンションは、子育てに安全な設計と仕様がなされており、健康に留意した素材使用、遮音、防音の整った設備等が整い、育児と家事が安全であり、その上、利便性を徹底追及したマンションであります。 初めての子育ての人の為に専門家と提携し電話で緊急に相談が出来る態勢の整った物件もあります。子育て環境に関心の高い入居者に大変に人気のあるマンションです。

5、 スポーツ型マンション
昨今の健康志向から「トレーニングルームのあるマンション」「1階を各種スポーツルームにしているマンション」「壁にボーダリングが出来る施設を完備したマンション」等スポーツ施設設置型のマンションです。

6、 健康志向型マンション
都市部では空気汚染が原因で、シックハウス症候群、喘息等の患者が増えており、そのような人たちをターゲットに、坑酸化マンションを建築し賃貸する健康志向型マンションが登場してきた。そのマンションは、天然素材、炭、マイナスイオン発生装置完備、空気触媒による有機物質の除去装置、電磁波除去装置、消臭装置、室内温度と湿度の均一化装置等々の完備されたマンションです。

7、 家具付きマンション
学生、単身赴任者等で数年間は家具が必要であるが、その後は不要となり、廃棄処分の必要があるために、出来ればレンタルで済ましたい。或いは入居時の初期費用を抑えたいとの理由から、家具、家電付マンションが増加中です。    このマンションは古くても、新しくても、現行のままでも実施可能です。

8、 オール電化マンション
賃貸住宅の安全面を重視し、オール電化住宅の増加が顕著となり、賃貸住宅にも増えてきております。

9、 エコ住宅
今後、太陽光発電等の完備された、エコ住宅が増加ふるものと思われます。現政府はCO2を減少させる必要から、企業はもとより家庭での削減を加速させるために助成金制度の創設をする案が浮び上がっております。今後は急速な普及が期待されると思われます。    入居者にとっても公共料金が安くてすみ、今後エコ住宅入居の希望者増が期待されます。

10、 その他、 コレクティブハウス、免震マンション等々、
今後益々細分化されたコンセプトマンションが登場してくるものと思われます。 3ヶ月に亘りお届け致しました、コンセプトマンションについて少しでもご理解頂けたでしょうか。 【最後に】 本年中は、弊社に対しましてご指導とご支援を賜りました事を大変に感謝申しあげております。 至らぬところが多いと思われますが、引き続きご支援を賜ります事をお心より願い申しあげます。

皆様方にとって今年はどの様な年でしたか? 色々な事があったと思いますが「いつも笑顔で」「ポディティブに考え行動し」「他人を思いやり」「感謝する」ことを実行しましょう。そうすれば、神様は「運」を与えて下さると思います。 来年こそは皆様方にとって良いお年でありますようお祈り申しあげます。 来年も引き続き皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。 宜しくお願いを申し上げます。 それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。


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とまとハウスの「耳より情報」

 (平成21年11月号)   第59号



11月は「霜月」霜のおりる月で、朝晩が冷え込んできました。この月に咲く花は「菊」であり、各地で菊花展が開かれております。 京都は紅葉が綺麗で、観光客でいっぱいです。 


10月号でご案内いたしました、コンセプトマンションについて11月号と12月号で、その詳細をお伝えして行きたいと思います。  今後の賃貸経営に活かしていただければ幸いです。

【10月号のおさらい】
10月号では、高所得者に多い積極的賃貸派の需要を取り込むには、今後分譲住宅に匹敵する質の高い賃貸物件を供給しなければならない。一方若年層は豊かな生活に慣れておりライフスタイルにこだわる世代で、こだわりのあるコンセプトマンションを供給して行くことが、今後の賃貸経営における生き残りの要諦であると記載いたしました。 今月号では、コンセプトマンションの詳細をご紹介して行きます。

【コンセプトマンション】

1 一戸建て賃貸住宅 弊社はホームメイトFC店として、賃貸仲介部門(リーシング)を営業いたしておりますが、一戸建て貸家を探されているお客様が来店されます。 しかし、探されている物件が少ない或いは古い、狭い等の状況で、ミスマッチがおきているのが現状です。 一戸建て住宅は、集合住宅に比べ生活音を気にしなくていい、プライバシーが確保出来る、駐車場が付いている等、集合住宅にない持家同様の生活環境を享受出来る点に人気があり、今後の供給が増加するものと思われます。

◎ 既存マンション入居者をターゲットに一戸建て賃貸を建築する 一戸建て賃貸も、70㎡前後の賃貸マンションと同じ程度の面積で、家賃もマンションと同等の家賃設定を行い、現行のマンション入居者をターゲットに物件供給を行っているものが増加しております。

◎ 新たな市場で、積極的賃貸派を取り込む一戸建て賃貸を建築する   所得の高い積極的賃貸派をターゲットに、80㎡以上で、設備も高級仕様なものを備えた一戸建てを建築し、新たな賃貸市場を開拓する。 上段は既存の入居者をターゲットにした戦略で、主に団塊ジュニア世代のファミリー層に向けた商品である。逆に下段は今後増加するであろう新たな賃貸市場の積極的賃貸派をターゲットにしたものであり、医師、弁護士、中小企業経営者、外資系企業勤務者等の高額所得者で積極的に賃貸住宅に住みたい層を対象としたものです。 今後はこの市場の拡大が予測されます。 但し、いつも新たな市場が生まれる際に言われるのは「この市場は今後著しい拡大が予測され多少劣勢な条件でも問題がありません」、賃貸住宅で言えば、一戸建て賃貸住宅は駅から遠くても全く問題がありませんと言う業者がありますが、実はその市場が成熟した時にその条件が問題になるのです。長期的な観点から検討する必要があります。


2 趣味やこだわりを持ったユーザーに対する賃貸物件 ライフスタイルにこだわりを持った層が増加するにつれ、生活様式が多様化しております。多くの人たちには全く興味がなく「この様な賃貸物件に住めるのか?」と思われておりますが、極一部の人たちにとっては大変な魅力がある物件であるようです。 今後は、このような賃貸物件が増えてくるものと思われます。

◎ デザイナーズマンション  特に内装、外観全てデザインにこだわったマンションであり、室内の色彩も鮮やかな色彩を用い、多くの人たちにはとても住めない物件でも、その様な物件がとても好きな人たちも一握りではあるがおられるものです。  又、建物全体をテーマパークにしたものや、内装にこだわったデザインのマンションも登場して来ております。  但し、デザインありきでは失敗するかもしれません、マーケティングによるターゲットを決めた上での建築が必要であります。

◎  ペット同居型マンション  ペットマンションについては、過去の「耳寄り情報」でもお伝え致しましたが、近年増加しております。  以前の耳寄り情報でお伝えしておりますので省略させて頂きます。

◎  楽器演奏可能マンション 楽器演奏をしたい・オーディオを聞きたい等、音を気にせず過せる部屋を造ることにより、その様な部屋を好まれるユーザーをターゲットに賃貸物件を建築するものです。 ピアノ・ドラム・ギター・トランペット等の楽器の演奏を趣味とするユーザーは少なからずおられます。楽器演奏可能マンション探しのサイトに2000件以上のアクセスがあることを考えれば、かなりの需要は見込め、特に学生の多い京都の需要は多いものと思われます。 防音機能を備えたマンションを造る必要があり投資金額は増加しますが、家賃設定は高く出来ると思います。

◎  バイクに興味のある方のライダーマンション  バイクに興味があるライダーは増加しております「ツーリングに興味がある」「ツーリング仲間がいる」「高価なバイクであり盗難が気がかりであり安全な場所が欲しい」「大型バイクを止める駐車場がない」「バイクを修理、改造出来る場所が欲しい」等のユーザーニーズを満たす為に造られたマンションである。 バイクに興味のある方は1台ではなく数台保有されているケースが多く、1階を全て駐輪場とバイク修理等の出来る防犯設備の整ったスペースとし、2階が住まいとなっているマンション、或いは部屋からいつもバイクが見えるマンション等々多種多様なライダーマンションが造られております。


3 ゲストハウス、シェアーハウス ゲストハウスは都市部を中心にかなりの数の建物が増加中です。都市部では「サクラハウス」「ひつじ不動産」(一度インターネットで検索して見て下さい)が多数のゲストハウスを立ち上げており近年は京都でも観光客が宿泊できる長期滞在型宿泊施設として増加してきております。 サクラハウス、ひつじ不動産は当初外国人をターゲットにシェアーハウスを運営しておりましたが、日本人が外国人とのふれ合いをしたいとの理由から日本人にも人気が出てきており、今では色々な国籍の人たちが入居されているのが現状です。 一戸建て住宅を改装し、LDKを共同部屋とし液晶テレビ、炊事用具、椅子、テーブル等を備え、各部屋にはベッド、机を備え付けた程度のシェアーハウスの形式の賃貸住宅であります。 一方、京都で増加中の物は、格安旅館の長期滞在型形式の物が多いようです。 マンスリーマンションの様なホテルと賃貸住宅の中間的な存在です。 本来のルームシェアーとは、2から3LDKマンションを2人から3人でシェアーするものですが、それが変形してきているのが現在です。 因みに、ミングルタイプのマンション(独立した居室は2室あり、LDKは共用となっているマンション)は以前より存在しており伏見区にもあります。 他にも、家具付きマンション、マンスリーマンション(長期出張会社員がターゲット)、家庭菜園付きアパート、道具を使わず手足だけで壁をよじ登るボルダリングに興味のある人のマンション「ボルダリングマンション」等特殊な物件が続々市場に登場しており、注目を集めております。

来週号では特殊な、コンセプトマンションをご紹介いたします。  来月号(12月号)を是非お読みください。  今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。  宜しくお願いを申し上げます。




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とまとハウスの「耳より情報」

(平成21年10月号)   第58号

いよいよ秋の清々しい気候となりましたが、何処かにお出かけになりましたか?
「食欲の秋」食べ過ぎには注意しましょう。

今後厳しい時代に突入するであろう賃貸経営について、その対策はあ 
るのか? 如何すれば長く高入居率を確保できるのか?悩みは尽き 
ません。今回は今後の賃貸経営について考えて見ましょう。

【企業の経営姿勢について】

現代の会社経営は大きな曲がり角に来ているものと思われます。そのことは資本主義への問題提起、経済優先から環境重視、企業から消費者等、明治維新以来の大きな変革期にあると思われます。又、公共事業、医療・介護・福祉・年金・教育・雇用・外交・財政・環境・防衛等の各問題を抱え船出をした民主党政権の責任は重大であり国民の期待は大きい。
個人で言えば、自分だけが、自分の家族だけが、自分の会社だけが、日本だけが良ければいい・・・・・その様な個々の自己中心的な考えが、現在社会を歪めている要因であると思います。今後早急な教育の変革を必要としており、自己中心的な考えを捨て、他人を思いやる精神の育成が急がれます。
その様な情勢下、今後の企業経営はコンプライアンスの順守は当然ながら、社会道徳までも重要視する姿勢が必要であります。
企業倫理ではなく顧客志向へ、利益優先ではなく社会貢献へ、と変革できない自己中心的な企業はいずれ破たんすると思っております。        
           
【弊社の目指すところ】

インタネットの世界は、世界68億の個人を相手に、或いは世界の企業を相手に市場を求めることが出来ます。又大企業に関しては、体力さえあれば世界の企業を相手に市場を世界に求められます。しかし中小零細企業は今後縮小するであろう国内の需要を求めて過酷な競争を余儀なくされます。
その様な一般的な市場(土俵)での競合は値引き合戦の渦に取り込まれることとなります。中小零細企業が生き残る施策は同じ土俵で勝負しないことであると思っております。ランチェスター戦略の市場戦略に弱者の戦い方があります、市場を絞り込み一対一の戦いをすることであります。
弊社はニッチ市場への参入を目指しておりますが、賃貸業も広範囲に亘りますが、その市場の中から狭い市場で深い知識を追求し、大きな付加価値を創造して行く方向を目指しております。
                      
【現在と今後の賃貸住宅市場】

不動産市場は常に変化をしております、特に今後厳しくなるであろう情勢は本「耳より情報」で何度も掲載致しております通りです。
家主様にとって賃貸物件は商品であります。如何に商品価値を高めるか、賃貸経営もビジネスであり、売り上げを上げる努力をする必要があります。
商品価値を上げるためには、短期的な現時点での需要予測ではなく、長期的にどのような商品を造るかを考える必要があります。
「若年層の傾向」
現在の賃貸市場を牽引しているのは、子育て層や、団塊ジュニア層、ポスト団塊ジュニア層でありますが、この世代は豊かな生活に慣れておりライフスタイルにこだわりが強い。このような層は自分の意に反し家賃が安いから住もうとは思わず、逆にニーズに合った住居であれば家賃が高くても躊躇することなく入居すると言った特徴があります。入居者ニーズを捉えた商品を提供すれば、高入居率が維持でき、尚且つ20%、30%増しの賃料でも入居者が集まるのが現状です。
「高額所得層の傾向」
一方、リクルートによる実態調査から、年収200万円未満の場合賃貸住宅派は64.2%、そこから年収が上昇して行くにつれ、持ち家派の割合が増えてくる。ところが、1000万円を超える世帯になると、条件付きではあるが「賃貸住宅が良い」の比率がほぼ半数を占めている。
年収1000万円以上の賃貸派の内、今後も賃貸住宅に住もうと考える理由として「資産価値が下落する可能性がある」「自由に住みかえられる」があり、その様に考えている世帯が過半数に達する。又、その様な層は今後、広さ、設備、仕様などにこだわる割合が高いのが特徴でありますが、ライフスタイルを重視するのは比較的若年層に多いようであります。
「賃貸住宅経営は長期にわたる」
賃貸住宅経営は長期にわたる経営となるために、長期的な予測も大変に重要な要素となります。それに関したデータがあります。国土交通省で行ったアンケート調査によると、今後は賃貸住宅で構わないと言う意識が強くなると言うアンケート調査結果があります。賃貸市場の主役である20代後半から30代は立地条件や、デザイン、インテリアと言った点に価値観を感じております。
現在の持家志向は、40代前半で半数を超え、65歳以上で8割となっておりますが、今後30代が年齢を重ねるにつれ持家志向は減少して行くものと思われます。従って今後は「家が買えない」消極的賃貸派から、「家は持てるが・・」と言った、積極的賃貸派が増加してくるものと思われます。
現在は積極的賃貸派が求める、質の高い賃貸住宅がほとんどありません。
今後は、分譲住宅に匹敵する質の高い賃貸物件を供給すること、又若年層に対してはこだわりのあるコンセプトマンションの供給こそが、今後の賃貸経営における生き残りの要諦であると思われます。

【今後供給すべき賃貸物件とは】

賃貸経営を成功に導く条件は、賃貸物件の立地、環境、特徴等を考慮した特殊な物件が競争力のある商品であると位置づけております。それがコンセプトマンションであります。
コンセプトマンションは稼働率が上がるだけではなく、一般マンションよりも付加価値があり割増家賃も可能な収益性の高いマンションであります。
それでは具体的にどの様な賃貸物件を供給して行けばよいのかを考えて行きたいと思いますが、紙面が限られており、来月号にて掲載させて頂くこととさせて頂きます。 
来月号(11月号)を是非お読みください。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。



今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

 (平成21年9月号)    第57号


9月に入っても気温は例年に比べて低い状態が続いております。寒暖の差が激しく、体調を崩さないようにしましょう。また、新型インフルエンザが流行しており「手洗い」「うがい」を励行しましょう

インターネットの普及・人口の減少・高齢化等が現在の賃貸経営を大
きく変えようとしております。そこで今月号では、賃貸業界における 
動向予測と今後の対処法を掲載いたします。

【現在は時代の変革期】

戦後の高度成長を支えた団塊の世代は定年退職となり、成熟社会で育った年代層が現行日本経済を引き継いでおります。
高度成長を支えた団塊層は、大量生産・大量消費により単一商品を買う事以外出来なかったが、現在は多種多様な商品が開発され多様化した生活を謳歌しており、そのことは賃貸住宅も例外ではありません。
また、成熟した社会は、大企業優先の時代から消費者優先の時代に変貌しようとしております、消費者契約法、消費者庁の設立、等々の現象はその象徴と言えるでしょう。又政界では民主党が大躍進し、国民の期待を集めており、外交、内政での難題を抱えて新たなスタートを切ることとなります。外交では対米問題、環境問題(CO2排出量25%削減)、国内では官僚主導を打破できるかを国民は注目しております。
国外問題では、対米重視からアジア重視へ姿勢の変化、それによる安保見直し、防衛・自衛隊派遣、地位協定、靖国の問題へと波及してきております。
内需では、成熟経済、人口の減少から需要が減少し、物価は下がりデフレの様相を呈しております。それに伴い大企業では既に国外にその市場を求め、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に進出、或いはその計画が目白押しであります。何れにしても日本は大変化の時代に突入したものと思われます。
時代の変わり目は、あらゆる過去の問題が噴出してくるものです。         

【賃貸業界の動向予測】

インターネットの普及、人口の減少・高齢化が現在の賃貸業界を180度変えようとしております。
それは、

① インターネット普及により、ユーザーが多くの情報を簡単に得る事ができるようになり、「ごまかしが効かなくなった」
② 人口の減少により、空き家が年率3%近くの増加が続いており、その結果「需給関係が逆転した」(貸し手優位から借りて優位の時代となった)。
③ 高齢化が進展し、「ライフスタイルの多様化」がはじまった。
以上の通り、インターネットの普及と人口の変化が現在の賃貸業界に限らず、あらゆる業界で、大きなうねりとなって大変動が起きているのが現状です。

【今後の対処法】

◎今後の企業経営
今後人口が減少し、マーケットが縮小するなか、生き残れる企業は「付加価値の高い」商品を取り扱う企業であると思われます。
人口が減少する以上、売上が上向くことは期待できません。狭く・深く・高く売る事が成功の秘訣であります。激変する時代は我々も発想を変える必要があり、取扱商品を絞り、その商品を深く知り、顧客ターゲットを絞り込むことが、商品の値引きをすることなく、高く売る事が出来るのだと思います。
今後のキーワードは「少量生産・付加価値販売」であります。過去の成功体験を捨て、勇気をもって変化に対応しましょう。
一方、インターネットの普及により「ごまかしの効かなくなった」現在、企業においてコンプライアンス(法令順守)を重視することは当然のこと、モラルのある経営を行う事が重要です、①行き過ぎた成果主義、②キヤンペーン、値引き等の無理な集客、③テクニックを駆使した集客、等々での売上向上策は不満を持つ顧客を増やす事になりかねません。100年続く老舗が間違っても大量にチラシをまく事は決してありません。デイトレード型の経営はライフサイクルが極めて短い事を自覚すべきであります。
テクニック重視型の経営を目指すのではなく、長期的な視点で顧客を重視し、着実に会社を存続発展させる経営を目指しましょう。
値引き合戦の終局は自ずと予測されるものとなるでしょう。

◎今後の賃貸経営
従って、賃貸業界における対応策の答えは、多様化する顧客ニーズに全て対応することは不可能であり、効率的にも問題があります。
先ず、多様化する顧客ニーズの中からどの様な物件を提供するのかを決定し、その顧客にターゲットを絞り込み、高い家賃をいただける物件を供給することが必要です。
その為には、ナンバーワン物件を目指すのではなく、オンリーワン物件を目指すのが、狭く、深く、高くを追求するキーワードであります。
今後益々賃貸経営は厳しくなります、時代は大きく変わりつつあります。
賃貸経営は20年・30年と長い期間に渡ります、新たな分野の賃貸物件を家主様と共に開発し、息の長い賃貸物件を社会に提供し賃貸物件を分譲住宅に負けない、質の高いものに致しましょう。
これからの時代は、利益を最優先する経営は、端へと追いやられ、社会貢献型の経営こそが中心となる時代が到来いたします。
今後の賃貸業界の発展は、我々に掛かっております。是非この業界を発展させ、賃貸業を通じ大きく社会貢献できる仕事がしたいものです。小さい力の積み重ねが大きな成功へと導くと思います。
《賃貸も幅の広い分野です、そのどの分野に特化するのかを選択し、その分野のターゲットを決め、適正な賃貸条件設定を行うことにより、オンリーワンを目指しましょう。》

【最後に】

何のためにこの仕事をしているのかをしっかりと認識し、お客さまが喜ばれること、またその喜びが社会の中でどのように役立っているのかを再確認し、軸のぶれない信念を持った経営をして行きます。
急がず、あせらず、コツコツと積み重ねて行くことが重要と考えております。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士