とまとハウスの「耳より情報」 (平成25年7月号) 第97号
 

猛暑が続いております、熱中症に注意しましょう。
         
  
アベノミクスによる大量の資金が市場に投入され始めた頃より、個人がマンションなどの不動産投資に動いている。
社会保険に関する将来不安、所得の減少、相続増税などがその要因だ
しかし、今後10年、20年先を考えた場合甘い見通しは通用しない。
人口の減少にともない空室率は上昇を続けている。長い目では、市場全体で逆風が吹き続ける事を踏まえる事が必要である。
大家家業は決して楽ではない。入居者との対応、建物の修理など多くのリスクが存在する。通帳の残高だけに興味がある人は絶対に嫌になる。
勝ち組に入るには、資産運用にとどまらない事業感覚と汗をかく覚悟を持つことが必要である。
今月号では、今急激に増加している「シェアハウス」「カスタマイズ賃貸」について記載します。


【シェアハウス】

最近よくシェアハウスと言う言葉を聞きますが、どの様な住居なのでしょうか?
シェアハウスとは、一つの住居を複数人で共有することをシェアハウスと呼んでいる。シェアハウスとかゲストハウスと呼ばれているが、定義が有るわけではない。
一つの住居の各部屋は、トイレ、流しが無い(有る物件もある)が、風呂、トイレ、居間、キッチンなどを共同で使用する。
特徴として、入居審査・手続きが簡単にすみ、安価で住める。
現在の日本人は、人と人のかかわりが希薄となり、人とのコミニュケーションの取れる生活スタイルを望む人たちが多くなった。   

その様な背景があり流行していると思われる。
しかし、実はシェアハウスが急増しているのは関東圏(特に東京)である。
なぜその他の地域では増えないのか? それは家賃と相関関係がある。
関東圏のワンルームマンションの家賃は@7万円/月額程度であるが、関西圏は@4万円/月額程度で多くの部屋が存在する。
東京のシェアハウスの入居家賃は@4万円程度であり、比較して安価で有る。
しかし、関西圏での@4万円台の家賃は一般的であり、安価とは言えない。

観光客が多い京都では、ゲストハウスと呼ばれる外国人観光客が短期で宿泊する施設として観光地周辺での運用が多く、一般的なシェアハウスは増えてこないと思われる。


【カスタマイズ賃貸】

皆さんは、「カスタマイズ賃貸」と言う言葉を聞かれた事が有りますか?
簡単に言うと、入居者の希望に応じた改装を行い、入居して頂くオーダーメイド賃貸住宅の事です。
コーポラス住宅と言って、入居希望者の共同出資によって土地を購入し、それぞれの希望する区分所有住宅を建築する形態がありますが、それを賃貸に応用したものである。
その形態は様々であり、希望する壁紙を張る程度のものから、間取りや設備を変更するものまである。
間取りの変更が可能な建物を新築するものから、古い住宅を利用して入居者の希望する改装をおこなうものもあります。      

住み手が住みたい部屋の提供こそが、満足度100%となり、長く住んでもらえる住宅となる。
現在カスタマイズ賃貸の需要は拡大しており、リクルートスーモの調査によると7割の人が「やってみたい」と回答している。
「積水」の調査によると、賃貸住宅に住みたくない理由の53%が「手を加えたり、自由な変更が出来ない」と答えている。
レオパレス21は、壁一面の壁紙を70種類以上から選べるサービスを開始し好調だ。
こうしたサービスが広がる背景には家主様の空室対策がある。マンションやアパートが増加する一方、少子化に伴い若年層は減少、競合物件の増加や老朽化、家賃の下落などに悩む家主様が多い事が要因である。
今後、空室対策の一環として取り組むことも考える必要があるのかも知れません。

【空室対策】

空室に悩まされている家主様が増える事により、色々な空室対策の提案があると思われますが、何れも決定的な対策とはなりません。
何故かと言えば、成熟化した社会ではニーズが多様化している為に、一つの商品に需要が集中するのではなく、分散して行くからです。
ターゲットを絞り、どの様な層に売ってゆくのかを明確にした対策が必要である。              
「だれでもいいので住んでほしい」と言った漠然とした希望ではなく「どういった入居者にすんでもらいたいのか」を明確にすることである。
年代、性別、職業、はもちろん入居者の質までも決めておくことである。
漠然とした「だれでもいい」と言う部屋は、家賃志向の入居者が中心となり、家主様にとって望ましい存在ではありません。
ターゲットに合わせた部屋づくりを行い、それに合わせた対策が必要です。

今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。

とまとハウス  代表者 粟野 則夫

宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者

ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」 (平成25年5月号) 第96号
 

父の日、母の日、こどもの日と家族を思う季節です。
         

黒田日銀総裁が大幅な金融緩和を発表され、急激に株価が上昇し過熱感すら出てきておりますが、果たして大幅金融緩和によるこの「ジャブジャブのお金が」何処にゆくのか、その行方が今後の鍵となりそうです。
金融機関に向けられた資金が、日本の国債・外債等に向けられるのは確かですが、その資金が設備投資等の融資に向かい実需が増えるかを注視する必要があるようです。
5月1日の日経新聞に「中小への新規融資促す、金融庁金融機関検査で新方針」との記事が掲載されております。
私も銀行員時代に強く感じておりましたのは、特に金融機関の場合は監督官庁が「箸の上げ下ろしまで関与し、銀行は監督官庁の方ばかり見ていた」ように感じておりました。
 今回の記事のように、検査、監督方針を前倒しで変更すると言うものであり、検査基準の緩和は銀行の融資を活発にするインパクトは大きいものと思われます。
今月号では、入居者及び入居希望者が賃貸住宅に関してどの様に考えておられるのか、又家主様はどの様に考えておられるのをまとめてみたいと思います。

【学生のニーズ】

学生が部屋探しに当たり重視した項目順位は、①家賃、②通学時間、③間取りの広さ、④沿線エリア、⑤設備、⑥環境、⑦階数・・・・・・・
☆やはり家賃を重視するとの回答が一番であるが安い物件を望んでいるのではありません、自分の希望条件とする物件が家賃相場であるとの意味合いです。
☆学生は通勤時間を重視している様で、通学が徒歩圏、自転車、バイク通学範囲内の物件を探している学生が多いと思われます。
☆間取りはやはり広い部屋を望んでおり、今後もそのニーズに合わせ益々賃貸物件の部屋が広くなる傾向にあります。

「設備のニーズ」
設備面は第5順位でありあまり設備を重視している様では有りませんが、以下学生が設備に対する期待をしている順位です。
① セパ、②防音、③2口コンロ、④収納スペース、⑤フローリング、⑥駐車場がある、⑦洗面化粧台、⑧耐震構造、⑨モニターインターホン、⑩ベランダ・・・・・・
☆学生はセパ(風呂トイレが別々)を望んでいるのが明らかであります。
☆注目点は、騒音問題は敬遠されて入退去が激しい部屋となるようです。
☆なぜか2口コンロに人気があり、特に女性にその傾向が強いのが特徴です。
☆収納スペースは当然ながら必要不可欠であり、広めが好まれております。

【社会人ニーズ】

社会人が部屋探しに当たり重視した項目の順位は、①家賃、②間取りの広さ、③通勤時間、④沿線エリア、⑤設備、⑥周辺環境、⑦部屋の内装、⑧階数、⑨通風日当たり・・・・・
☆やはり家賃がトップとなっております。
☆間取りの広さ、設備、部屋の内装、日当たり等を重視するのは、学生と比較し部屋にいる時間が長く、住生活を重視しているのが要因のようです。
☆階数等、セキュリティ面を重視するのは圧倒的に女性のニーズが高いのが特徴です。
「設備面のニーズ」
学生と同じく設備面を重視していません。その順位は下記の通りです。
①セパ、②収納スペース、③フローリング、④2口コンロ、⑤防音、⑥洗面化粧台、⑦モニターインターホン、⑧バルコニー、⑨追い炊き風呂・・・・・
☆ファミリー物件であり、やはり住生活を重視した項目が上位に有るようです。

【学生・社会人を問わず入居者の改装物件に対するニーズ】

築年数の古い物件に対する効果的な改装とは?
入居者の入居意欲が高まる改装とはどの様な改装をして欲しいのかを聞いた回答が下記の通りの順位となっております。
①風呂の交換、②トイレの交換、③キッチンの交換、④耐震・耐熱性の強化、⑤外壁・屋根・外装、⑥上下水道の交換、⑦間取り変更・・・・・
☆日本人は美観にこだわりをもっており、特に水周りは重視している様です。
☆特に古い物件は、地震が頻発する昨今、耐震を気にする傾向が強い様です。
☆設備面で風呂の交換が最上位にありますが、最近の若者は風呂に入らずシャワーを利用する入居者が増加しており、単身用の部屋で有れば風呂を交換せずシャワールームで済ませる方法も良いかも知れません。
☆新婚さんの場合は、80%が賃貸入居希望され、その内2LDKの間取りを42%が希望、収入の20%を家賃支出しておられます。
☆新婚夫婦の通勤は二人の通勤が便利な場所を選ばれており、場所を重視した部屋探をしているのが実態です。
☆問合せの15%がペット可物件を求めておりペットを飼われている入居者が増加しております。

【入居者ニーズのまとめ】

全体的に、家賃を重視した部屋探しをされているのは明らかであり、賃貸条件の設定は大変に重要であり慎重に行う必要があると思われます。
高い賃料設定は長く空室になる要因となりますので注意が必要です。
その次に、立地と環境面を重視されており特に通勤通学、買物、周辺の環境等ですが、立地等は不動のものであり現状での対策を考えざるを得ない状況です。
その次に、間取り、設備面を重視されており、その次に採光、通風、階層等も考慮されております。
以上を考慮し、優先順位を付けた効果的な対策が重要で有るようです。
一方、貸主側である家主様の考えはどの様に思われているのでしょうか?

【オーナー様の考え】

ますます厳しくなる賃貸経営で家主様の考えている対策とは?
①家賃を下げる、②リフォームをする、③賃貸経営をやめる、④積極的な仲介をしてくれる会社を探す、⑤管理をしっかりやってくれる管理会社を探す、⑥物件力向上の提案をしてくれる会社を探す、⑦入居審査を緩和する・・・・
☆究極の2択は「家賃を下げる」か「物件力を上げる」かの選択でありますが、そのために親身になってくれる、仲介会社又は管理会社を探そうと思われているのが、多くの家主様の考えの様です。

【貸主側の対策として】

多くのオーナー様が考えておられる通り、「家賃を下げるか」、「古くなった部屋を新築に近づける」かの究極の選択をする事であると思います。
その他の考え方として、上記に示されている通り、賃貸仲介業者への客付け対策、良い管理会社を探す、入居審査を緩和する、賃貸業を止める、等々の考えがありますが何れも家主様の期待される対策にはならないと思います。
これをやれば全く問題がないと思われる対策はありませんが、家主様自ら賃貸経営に関心を持たれ細かな対策を数多く積み重ねる事以外にないと思います。
家賃を下げることも対策の一つではありますが、ある一定以下の家賃になると入居者層の質が低下し滞納等のトラブルも増加致します。
出来れば後者を選択するのが良いのは分かっているが、資金的な問題、本当に入居者があるのか、長期に亘り稼働率は維持できるのか等々の心配があり、なかなか実施に踏切れないのが現状ではないでしょうか。
しかし、賃貸業をやめる決心をしたのであれば仕方がないのですが、賃貸業を継続して行くのであれば、今後の賃貸業の行方、改装を施した場合の収支、改装の仕方、誰をターゲットにするのか、当該地域の需給関係調査、今後の需給見通し等を調査し実施することが肝要です。

「改装、リニューアル方法として」

1) お化粧直しをする改装、
クロスをカラーコーデネイトし、床をデザイン性の高いものにする。
水周りをコーティングしたり壁にシールを張る改装以外に、「取っ手」だけを新しくする等のお金のかからない方法で実施するのも方法かも知れません。但し、表面的な改装であり入居者が退去される度に実施する事になります。

2) 部屋自体を全面的に改装する方法として、間取りを変更し、水周りを取りかえ部屋を現代風にアレンジする全面改装を実施する事により長期的に入居者を確保出来るものと思われます。
しかし改装には多額の資金が必要ですが、費用対効果を考え入居者ニーズの高いものから行い、全ての入居者に好まれる改装ではなく、あらゆる調査を行った上でターゲットを明確にした改装を実施することが必要であると思いますが如何でしょうか?

今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。

とまとハウス  代表者 粟野 則夫

宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者

ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」 (平成25年3月号) 第95号
 

いよいよ桜の季節です、温かくなると気持ちも明るくなりそうです。

       
 
安部内閣が誕生し、アベノミクスの三本の矢(①大胆な金融政策②機動的的な財政政策③民間投資を喚起する成長戦略)が打ち出されました。
先に打ち出された大胆な金融緩和政策により、本年に入り株式市場・不動産等の市場の様相が一変しております。不動産市場においては、地価の底打ち感があり投機的な資金が収益物件に向かい市場は活気づいております。
又消費税の増税と相まって住宅を購入しようとする消費者も増加しており不動産の動きも活発になっているのが現状です。
しかし、今まさにTPP参加可否の議論がなされておりますが、二の矢、三の矢が上手く機能するのか? 特に大胆な規制緩和が今の政権に出来るのか? 等々課題は多そうです。
現在の円安で輸出産業の収益は大幅に改善されそうですが、果たして内需関連企業の収益が改善され、それが社員の給与増に繋がるのかが今後の課題のようです。

【本年の入居者ニーズ】

平成25年3月号では、入居者からみた賃貸事情について考えて行きたいと思います。
3月は賃貸業の繁忙期であります。多くの方が部屋探しをされておりますが家主様のマンションの成約率は如何でしょうか?
入居者のニーズは多様化し、日々変化しております。入居者ニーズを適格にとらえ対策を講じる必要があるようです。
当月号では本年度の入居者ニーズについて記載させて頂きます。

【本年度の賃貸状況】

昨年はシーズン1月スタートから動きが有りましたが、今年、京都の全体的な賃貸の動きは逆に1月・2月の動きが悪かった様です。
特殊要因として同志社大学が京田辺から今出川に移転するのに伴い同大学生3,800人の大移動が始まっており、市内の北方面の動きは活発な動きの推移をしているようです。
市内南方面は全体の動きに連動した動きに終始しております。2月20日前後から現在まで活発な動きとなっております。
丹波橋近辺の学生は、龍大、教育大、文京大、同志社大が主流でしたが、同志社大生が京田辺に丹波橋から通学されておられた学生さんが、今出川に移っている様です。
龍大等の大学も学校近くを求める学生が多くなり丹波橋方面は減少傾向にあるのが実情です。
特に大学生協が仲介シエアを拡大しており、大学近辺の紹介を積極的に行っているのが要因の一つで有ると思われます。
一方、学生以外の一般の入居者は昨年並みの感があり、今後の景気次第では給与所得者の動きが出てくるものと思っております。

【入居者ニーズ】

最近の傾向として、LDKが広めの1LDKが人気です。特に近年建築されております7割以上がこのタイプです。
丹波橋、伏見桃山周辺でのこのタイプは全て満室状態が続いており、このシーズンにこのタイプを探すのは至難の業です。
全国調査のアンケートでも、間取りの広さは学生で「3位」、社会人で「2位」となるほど広い部屋を求められております。
また、大学生は学校近くの住まいを優先されお探しされており、一駅離れると極端に少なくなります。龍大生は殆どが深草での部屋探しです。
因みに、全国アンケートでも学生の通学時間を重視すると答えたのは「2位」に位置しております。
やはり一番に多いニーズは家賃です。弊社に来店されるお客様も家賃を大変に重視されます。その家賃とは自分の求めている物件の質と家賃のバランスの事です。特にインタネットで比較されるお客様が増加しており家賃に関してはかなりシビアです。
お客さまの求められる物件よりは、家賃の方が高いのが一般的ですので、物件の質を落とし諦めて探し直すか、家賃の値下げ交渉をされるお客様が多いように思われます。
因みに、全国のアンケート調査でも家賃を重視すると答えられたのは「1位」でした。逆に初期費用(入居時にかかる一時金)を重視すると答えられたのは「12位」であり、一時金は重視しないが家賃は大変に重視されているのが実態です。
家主様に聞いたアンケートでも今後の対策として
1位 ⇒ 家賃を下げて入居者を確保する。
2位 ⇒ リフォーム等して質を高める。
3位 ⇒ 賃貸経営を辞める。
とお答えされており、家賃と質のバランスを如何にとってゆくかが今後の課題であると思っております。

【インターネット対策】

年々、インターネットを見て来店されるお客様が増加しており、本年も物件を特定して内覧を希望される方が多く、事前にインターネットで見られて来店されます。
しかし来店される不動産業者の早いところで成約に至るケースが多く、後順位で来店予定の不動産業者は案内をキャンセルされるケースが多い状況です。
如何に、自店の案内順位を早くしてもらうかは、ネット反響をメールで返す時のテクニック次第かも知れません。
今後もネット広告はパソコンから携帯、携帯からスマホへと変化しており、如何にアクセスの強いホームページにするのか、大手の何処のポータルサイトに掲載するのか、スマホへの対応をしているのか等インターネット対策が媒介を制すると思われます。
弊社でのネット反響は、①ホームメイト、②スーモ、③ヤフー不動産、④アットホームの順です。ホームメイトは弊社のFCサイトであり当然ですが、やはりスーモの勢いは凄いと思います。特に今シーズンのテレビCMは「スーモ人形」の「ゆるキャラぬいぐるみ」を使い多くのスポットを打っておられます。
ホームズは課金制(反響のあった物件の家賃の5%)になり掲載件数制限が無限量となり、各社が挙って大量に情報を掲載した為に反響率が急減しました。弊社では費用対効果を重視しており1件当たりの反響に対するコストを比較しておりまして本年はホームズとの契約を解消しました。
アットホームもテレビCMイメージキャラクター「相武紗季さん」でCMを打たれており反響もまずまずです。
ヤフー不動産はヤフーのトップぺージから入れるために住居系、事業用ともに反響の強いサイトです。
又ホームページは星のごとくあるホームページの中から自社のホームページを選んで頂くには大変な努力が必要ですし、SEO対策も必要でありその費用も有る程度はかける必要があります。
今後は如何にネット対策をするか、目まぐるしく変化するネットの世界で常に反響の強いものにして行くかが鍵を握っていると言っても過言ではありません。

今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。

とまとハウス  代表者 粟野 則夫

宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者

ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」 (平成25年1月号) 第94号
 

新年あけましておめでとうございます。

本年も何卒宜しくお願い申しあげます。
   
 今月号では、「空室解消策」について考えてみましょう。


【値下げ合戦】   
    
ご承知の通り、賃貸住宅市場は年々厳しくなってきております。
地方都市は勿論のこと、都市圏でも空室率が2ケタになっている物件が続出しております。
値下げをすればかなりの反響があり短期で成約に至ります。しかし競合他社もそれよりも値下げをしてくるので、さらに値下げをしなければ成約に至らない。
値下げ合戦の繰り返しが行われております。
1月8日の日経新聞朝刊に「経営の視点」の記事が掲載されておりました。

「安ければ何でもいいという市場から撤退しろ。」パナソニックの津賀社長は腹をくくった。安値競争に陥ったテレビ事業で「負け組」になった反省が背景にある。「お客様は神様」を金科玉条に、あまねく広く売ろうと商品モデルを増やし値段を下げ、そのあげく大赤字だ。量で稼ぐ路線は今や、韓国や中国などの企業に完全にお株を奪われた。円が多少安くなってもどうにもならないだろう・・・利益の上がる事業構造に変わらなければ、無くなるものも出でくるだろう。・・・経営力が厳しく試される時代になった。

自民党政権にかわり、現在金融・経済対策が打ち出されており、デフレ脱却に向けた取り組みが行われております。株価等は先行きを見越し上昇傾向にありますが、我々にとって景気が良くなったと実感出来るのは少し時間が掛かるものと思われます。
賃貸業界におきましても値下げ合戦を繰り返すのに終止符を打つ時期に来ております。

【大所高所からの対策】

賃貸物件も「物件力を高める」事による値下げ合戦に終止符を打つ事が重要であると考えます。
顧客ニーズが多様化する時代、ターゲット「誰にどの様な物を提供するのか」を明確にした供給をすることが必要であります。
安ければ良いと言った物件ではなく、付加価値の高い物件をつくる事が必要であります。
特に賃貸物件は、「売れば終わり」の商品ではありません、一度世に出せば30年・40年と長期にわたりその時代に合った商品でなくてはならないことが、「現在の顧客ニーズに合った商品を開発して行く」と言った他の商品とは大きく違うところです。
昭和30年代公団住宅「2DK・55型」から始まった、画一的(同じタイプ)な大量供給の住居から、現在では多岐にわたるタイプの住居が、其々のライフスタイルに合った住居として開発されてきております。
高い家賃であっても物件力によっては必ずニーズはあるものです。逆に高級賃貸住宅は供給が極端に少なくかなり高い賃料設定でも成約に至ります。
その様な物件の収益力は強くかなり高い収益が見込める事になるのです。
誰に何を売るのかを明確にし、長期的な観点から物件力を高めて行きましょう。

【具体的な対策】

具体的な空室対策として、値下げをする対策ではなく「物件力を高める」対策が必要であると前記いたしましたが、物件力を高める為には、「リフォームやリノベーション」「仲介業者との関係強化」「長期入居を実現するテナント・リテンション」等様々な手段を講じる事であります。
現在国交省においてもストックの活用を提言しており、既存物件の活用をすすめております。
今「耳より情報」をお読み頂いております家主様の多くは、築後20年・30年を経過している賃貸マンションをご所有の方が多いと思います。
入居募集をしている古いマンションに入居希望者を内覧の為にご案内した際に必ず、狭い、古い、汚い、と言われます。
物件力を高める対策として、最初にやるべきことは「現在の顧客ニーズに合ったリフォーム・リノベーション」であると考えます
現在新築されております、1LDKの40㎡~50㎡の物件は満室状態が続いており、今後数年で単身世帯が40%を超えてくる状況であり、人口減少の中でも増加する世帯であり、現行顧客ニーズに合った物件であるのは間違いが有りません。
しかし、関西圏貸家の新築着工戸数昨年対比で平成24年9月・10月は30%増と、相続税対策等での新築が続いており供給過剰となり需給関係が反転した場合は空室が出てくる事も考えられます。
知恵を絞り競合他物件と違う付加価値を付けた、「物件力を高める」対策を図る必要があります。

【物件力を高めるには】

物件力を高める為の方法には、色々な方策がありますが、ここでは「物件力を高める為のリノベーションについて考えましょう。
リノベーションと言っても余り費用を掛けない方法と、多額の費用でリノベを行う方法がありますが、収益の事(費用対効果)を考えれば、家賃の3年程度で回収出来る投資金額に止めるべきであると思います。
消費税の引き上げ時期が近づいており、近い将来にと考えておられるのであればこの時期に考えてみるのも必要かも知れません。
又、最新の設備を導入するのも必要ですが、リノベーションの最大の効果は間取り変更にあります、時流に合った間取りとするべきであると思います。
賃貸ニーズは、賃貸仲介業者が一番よく知っておりますので、実施される前に3社程度の賃貸仲介業者を訪問し、最新の顧客ニーズを聞きとるのも重要であります。
多額の投資をするのであり、長期的な観点から時代の趨勢を読み取り、付加価値のある、他社との差別化が出来る物件にすることが重要であります。
孫子の兵法に「敵を知り己を知らば百戦危うからず」と言う格言があります。
敵を知ることとは、地域情勢、競合物件、入居者ニーズを徹底的に調査することであります。
現在ご所有の賃貸物件を将来どうするのかを明確にし、早い対応が必要であると思いますが如何でしょうか?

今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。

とまとハウス  代表者 粟野 則夫

宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者

ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年10・11月号)   第93号


紅葉の本番も間近となりました。如何お過ごしですか?

今月号では、高齢者住宅需要について考えてみましょう。

【高齢者社会の到来】
            
高齢者の人口は、2050年には全人口の40%に達する見通しです。
75歳以上の人口は2025年には2,167万人に達し全人口の18%となります。
高齢者にもよりますが、75歳までの高齢者はアクティブシニアが多く、75歳を超えると徐々に介護の必要な高齢者が増加してきます。
以上の通り、今後も引き続き高齢者人口は増加して行きますので、高齢者をターゲットにした取り組みが今後の課題であると思われます。
今後増加する高齢者の特徴として「団塊の世代」が高齢者となり従来の高齢者の様に、お金を使わない高齢者の姿ではなくお金を使う高齢者像であります。
昨今では百貨店、スーパー、コンビニ等の小売各社は高齢者向け商品の取り揃えに躍起となっており、その他の業界においても今後増加する高齢者を対象とした取り組みが急速に進められております。

【高齢者住宅事情】


昨年「高齢者住まい法」の改正から1年が経過し、「サ、高齢者住宅」の建設計画は全国で目白押しとなっております。
医療法人が中心となっておりますが、「ヤマダ電機」「南海電鉄」「東急電鉄」等が高齢者住宅に参入すると発表されており、異業種からの参入も進んできており今後の高齢者住宅建築はさらに拍車が掛かるものと思われます。
しかし「サ・高齢者住宅」は、はたして高齢者住宅供給の救世主となるのでしょうか?
「サ、高齢者住宅」の建築に国の補助金が受けられますが、それは建築後の運営費の補助があるわけではなく、あくまで入口部分の支援制度であり、供給を急ぐあまりに近い将来陳腐化し別の用途に転用できない不良ストックになりかねません。
現に計画段階での運用は、介護が必要な高齢者が入居される計画であったが、入居されたのはアクティブシニアで有った為に介護関連収入が予定に満たず赤字に陥るケースも出てきております。
高齢者と言っても、経済的に安定して「老後を楽しみたい」と思われているアクティブシニアの方がおられれば、それとは逆に生活保護を受けられている方もおられ、高齢者ほど資産格差が有る層はありません。
又大変元気な高齢者がおられれば、介護を受けられている高齢者もおられ高齢者を一絡げとすることは出来ません。
どの様な高齢者をターゲットにするのかを明確にして対応することが重要であると思われます。
下記の図をご覧ください。
資産背景は別としまして、単なる高齢者の所得の実態を見てみますと、200万円以下の所得層が40%以上を占めております。
「サ、高齢者住宅」の月額賃料は15万円/「食事付」前後となっており、40%以下の高齢者については入居が難しい状況です。
生活保護世帯の急増、特養等の施設への入所待ちが14万人等々の現象を見ても、政府はその対策に苦慮しており、今後性急な対策が必要であるとおもわれます。

【低所得者の入居支援】

高齢者の住まいは基本的にはご家族との同居でありましが、近年の核家族化、住宅の狭さ等により同居出来ない事情が多く、高齢者の単身、夫婦世帯が増加する予測となっており、2020年の全世帯に占める高齢者世帯の割合は25%近くになるとの予測です。

高所得者の入居先は「サ・高齢者住宅」「有料老人ホーム」、等選択肢は多いのですが、低所得者の選択肢は施設系以外殆どないのが実態です。
生活保護を受けておられる方は、住宅手当が支給される為に現在では一般賃貸住宅に受け入れを承諾される家主様が増えております。
問題は、生活保護を受けるわけでもなく、一定以上の所得が有るわけでもない中間層(別表:世帯所得別比率分布の所得200万円以下の層)に大変厳しい住宅事情となっているのが実情です。
弊社ではその層をターゲットとして、高齢者住宅の取り組みを行っております。

【弊社の高齢者住宅取組について】

弊社は昨年7月より高齢者住宅の取り組みを強力に推進いたしております。
弊社の高齢者のターゲットは上記のとおりですが、その様な高齢者の方にご入居頂くには家賃の設定が5万円程度を上限とする必要があります。
高齢者を受け入れる為には家主様の承諾が必要となりますが、滞納・孤独死等の高齢者独特のリスクを解消しなければ家主様の承諾が得られません。
その為に「毎日の安否確認」「緊急通報サービス」「保険」等の加入を条件としてリスクヘッジを図っております。
滞納リスクにつきましても弊社で入居期間中のみ借上げる(サブリース)等の対応も行っております。
入居者探しも、新聞、公団住宅へのチラシ、介護、医療業者等への訪問・ダイレクトメール、郵便局へのチラシ設置、高齢者の多く来店される接骨院等へのチラシ設置、パンフレット配布等を推進中であります。
現在試行錯誤しながら、新たな分野でのノウハウの蓄積を行っているところです。
地域の高齢者福祉に携わられております方々の協力の頂きながら地域貢献を出来ればと思っております。





今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年8・9月号)   第92号



猛暑もいよいよ終盤、もう少しの辛抱です。一歩一歩秋に向かつています。

今月号では、賃貸物件の空室を如何に埋めるかのテクニックについて考えましょう。


【現在の賃貸需要状況について】


現在の賃貸状況について、3・11の大震災以降、日本の人口は東日本より西日本に人口の移動が起こっております。
その関係で京阪神地区の賃貸物件の稼働率が多少改善されておりますが、顕著なものではありません。
しかしマンスリーマンションの稼働率は高いものとなっております。その事は一時的に関西圏に避難されておりますが、その後については東日本の復旧・復興が終われば戻られるのか、そのまま関西に居住されるのかは予測が付きません。逆にこれも一時的ですが、東北復興の為に建築職人さんをはじめとした復興関連事業に携わられている人たちは東北に行かれており、仙台のホテルは稼働率が大変に高くなっているようです。
復興需要で景気も一時的に良くなっており、土木建築業者は大変に忙しい様ですが、この景気も一時的なもののようです。
何れにしても、関西圏の賃貸事情は多少の改善はみられるが一時的なものであり、今後の賃貸需要人口の減少から長期的には厳しい状況が続くものと思われます。
                     
【供給事情について】

近年の賃貸住宅の供給は金融動向によって大きく左右される傾向に有ります。
最近では長期金利の低下から調達コストが減少しており供給を押し上げる要因にもなっております。又一時不調だった不動産投資信託が復調しており、益々住宅を金融的にとらえる傾向が強くなっております。

賃貸住宅の着工戸数を見れば、昭和50年代より急速に増加した賃貸住宅は昭和62年にピークに達し、平成12年には半減した。
その後平成18年迄は6年連続増加となったが、平成19年度「姉歯問題」で△18.9%、平成21年度「リーマンショック」要因で△30.8%となった。
   平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年
戸数 44万戸  46万戸  32万戸   29万戸  30万戸  31万戸
増加 △18.7   +5.2   △30.8    △7.3   +0.1  +5予測
                               
今後は、少子化等の要因で長期的には減少傾向が続くものと思われますが、現行の低金利が続く限り「金融商品」と見なされる賃貸住宅は大きく減少することは無いものと思われます。
従って、年間30万戸近い賃貸住宅が供給され、人口は減少しており供給過多が予測されます。


【空室を埋めるテクニック】


賃貸住宅の環境は上記の通り、賃貸住宅=金融商品と見なされる限りこの低金利の時代に、10%近い利回りが確保出来る金融商品は皆無に等しいことから、人口が減少して行くにも拘わらず供給過多の状態が続いている事は前項で記載しましたが、今後も低金利が持続される限り賃貸住宅の供給は続くものと思われます。従って、古い賃貸住宅は空きが目立ち始めており埋まる気配もないのが実態です。
その様な中で、空室を埋めるのは大変な苦労が必要となってきます。
その対策を記載して行きます。
                      
【空室が埋まる絶対要件と相対要件】


空室が埋まる絶対的な要因としては
1) 入居者が求めている部屋の広さ、間取り、場所であるか?
2) 入居する時の期待予算内の物件か?
以上の2大要因で決まります。
要は、入居者の「家族全員が物件内で快適な生活ができるのか」「家財等が部屋に収まるのか」「通勤・通学に適した立地か」が一つ目の大きな要因で、二つ目がその物件を借りる場合の家賃が所得に見合っているかであります。
相対要因として


1) 周辺の環境(買い物、役所、日常利用店舗、病院、公園等)
2) 部屋の設備(防犯鍵、テレビドアホン、エアコン、シャンドレ、システムキッチン、フローリング、追炊風呂、セパ、宅配ボックス、インターネット無料、オートロック、防犯機能等々)
3) 建物外観(広いエントランス、現代風の建物、お洒落な建物等)
4) 募集の強化(仲介業者対策、募集方法、広告強化等)


以上の通りです。

【その対策】

よく家主様から「如何したら空室を埋められるのか」と相談を受けますが、相対要因ばかりに目を向けて改善はされておられますが、絶対要因を考えておられない方が多い様に見受けられます。

ターゲット即ち、どの様な家族層を求めておられるのかを明確に(市場調査をしその場所で多く求められる入居者層)ターゲットを絞り、需要の強い部屋をつくる事であります。
又、その様な部屋をつくったが「家賃が高い」では入居は決まりません。
絶対要件を重視した取り組みをすることが重要です。
又同じ条件であれば当然ながら相対要件の良いところで決まるのは確かですので、余裕が有れば相対要件も改善をして行くのも必要であると思います。

【差別化による対策】


以上以外での部屋を埋める方法は、その地域での需給関係の調査を行い「供給の少ない物件」を建てる、或いはリノベーションする事が他物件との差別化につながると思われます。
賃貸家賃の過去10年間の推移を見ても、戸建貸家の家賃は横ばいが続いております。差別化した物件の家賃は下がらないものと思われます。




今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年7月号)   第91号


各地で豪雨の災害が発生致しておりますが、梅雨が明けると猛暑が待っております、お気を付け下さい。
       
 
今月号では、最近の気になるニュースを掲載したいと思います。


【やるべき事をやらない政治?】


日本国の財政状況は危機的状況にあるにもかかわらず、本来やるべき事をやらずに「どうでもよい事」ばかりやっているように思えてならない。
テレビや新聞もその事を面白おかしく報道しており、時間とお金の浪費をしているとしか思えない。
いったい国会議員や官僚はなにをしているのか、又それを厳しくチェックするマスコミもまた何をしているのか良く分からない。
政策の話ではなく、政権の話に終始するのは視聴率を取るためか?
政治家は次の選挙に勝つためか?
官僚は利権を増やすためか?
それを娯楽番組の様に見る視聴者(国民)も如何なものか?
増田俊男さんの「時事直言7月6日」を要約するとこの様に言っておられます。
日本の財政危機論はとんでもない「つくり話」である。日本には気が遠くなるほどの財源がある。国は貸付先がなくて困っている「政府系金融機関」に155兆円も貸しているし、馬鹿げたドル買い為替介入や対米短期貸付で溜まり溜まった即現金化出来るドル資産が100兆円以上ある。それ以外にもまだまだ数えたらきりがないほど見えない財源が埋没している。
国の総資産は8,200兆円、総負債は1,000兆円強の超裕福国日本に何故に155兆円の釣銭程度の増税(15兆円)の必要があるのか、この膨大な国民資産は官僚でも政治でもなく国民の努力の結晶であることを忘れはならない。
最近の船井幸雄さんの著書に、日本の財政は2014年にGDPの200%の国債に押しつぶされる。とにかく増税を行い、利権を考え、票を考え、問題個所にばらまくだけの能しかない政治家、官僚たちに任せていたら、5年後には日本は破綻すると書かれております。
一体この国はどうなっているのか?明かされない実態がある。最近では原発問題、電力問題、大津の中学生自殺問題、中国漁船衝突問題等々どれをとっても事実を隠す、隠ぺい体質に蝕まれており日本国は社会主義国家かと思う事もあります。
事実を明らかにしない事は改善しない事であり全ての物事が温存されることになります。
官僚が日本国に関する大切な情報を公表しない体質は今後も変わらないと思われます。
増田さんは【明治以来の大蔵省(現、財務省)の(民は由らしむべし、知らしむべからず)の世襲哲学が未だに質問、追求を未然に防ぐ(記者クラブ制度)等を通してマスコミを意のままにこき使っている。】と明言されております。
現在の政治は民意との乖離が大きい状況ですが、いずれは合致する時期が来るものと思われます。
民意が反映するには選挙が必要です、1回の選挙で一気に変わるものではないと思われますが、2回となると衆議院4年×2回(但し解散あり)、参議院6年×1/2の3年毎であり、戦艦が漁船のように小回りがきかないのと同じく、国家と言う大所帯が直ぐには変わらないと思われ数年の歳月が必要かと思われます。何れにしても国民が関心を持つことにより、決められる政治が実現するものと思われます。


【役割を終えた住宅公社見直し】


神戸市住宅供給公社が5月に民事再生法を申請した。滋賀県、奈良県も解散の準備をしている。との新聞記事が出ておりました。
分譲事業は廃止、賃貸管理(府営、県営住宅)は民間に委託するとの事です。
人口減少にともない年々増加する空室を見れば当然かも知れません。
又、公団住宅もかなりの空きが有るようです。
民間の賃貸住宅でも入居者の確保競争が激化しており、対応次第では公社の二の舞いになりかねません。確りと対策を講じて行く必要が有るようです。


【路線価4年連続下落】


2012年の路線価が7月に発表がありました、全国平均で▲2.8%で、昨年度
(▲3.1%)と比較すると大都市圏で底打ち感が強いとの事であった。
しかしながら、地価は短期的な上下はあっても長期的なスパンでみると下がって行くものと思われます。
又、大都市圏と地方圏との2極化が、地方圏の中でも県庁所在地の中心部とその他の地域との2極化が進むものと思われます。

【物流拠点フル稼働】


近年インターネットの普及で、ネット通販会社が業容拡大しており業務の拡大と合わせ、大型物流施設に移転するケースが増加している。

この様なことから大都市圏の大型物流施設がフル稼働の状態であり、近畿圏でも募集物件が全て成約して空室がない状態が続いているとの事である。
土地活用も時代に合わせた対応が必要なのかも知れません。


【高齢者向け賃貸住宅急増】


新たな高齢者向けの賃貸住宅制度の「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」が急増している。現在4万6千戸が登録されなお拡大が続いているとの事です。
又、高齢者食市場も急拡大しており2016年には1,500億円市場になるとの事です。
小売業(スーパー、コンビニ、ドラッグストア等)も高齢者シフトを加速しており、今後団塊の世代が65歳を迎え消費の起爆剤となるとみられます。
ともかく高齢者人口は増加しており、高齢者の市場は今後も拡大するものと思われます。

【分譲マンション建替えで供給】


昭和40年~50年代に建てられたマンションは低層なものが多く、その様な老朽化したマンションを、耐震や省エネ性能の高い大型物件に建替をする事業に大手不動産会社が動き出したとの事です。
建替えをする事により災害に強い街づくりや、住民の高齢化の進んだニュータウンなどの活性化につなげる。
築後30年以上経つマンションは全国で100万戸を超しており、潜在的な需要は大きい。しかし規制緩和で容積率、高さ制限に余裕のある物件以外は難しいものと思われます。
特に京都市の様に、逆に景観法による規制が厳しくなった所での建て替えは困難であると思われます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
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    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年6月号)   第90号


6月は「水無月」ですが、その由来には諸説ありますが、「梅雨で天の水が無くなる月」との説もあります。
     
今月号は、家主様の一番の悩みである「家賃滞納対策」と「滞納が発生した場合の対応」について記載
 します。

【家賃の滞納状況】

近年は、長期にわたる不景気、利己主義の蔓延等々の要因による家賃滞納が増加傾向にあります。

先日、「消費者金融会社が若者を中心に貸し倒れが急増して経営環境が厳しさを増している」との新聞記事がでておりました。
総務省の調査によると、09年に30歳未満の貯蓄額は04年の前回調査に比べ10.8%減少、失業率は高止まりしている(日経新聞より)とのことである。
その様な状況から消費者金融の貸し倒増加同様に、家賃の滞納も増加していると思われます。ヨーロッパの債務問題から世界的に先進国は難問を抱え続けており、国内では長期化するデフレ不況、円高、決められない政治等々と今後もこの不況傾向は変わらず、引き続き滞納の増加は続くものと思われます。

【滞納対策】

滞納対策としては、契約前に行う対策と契約後に行う対策があります。

*契約前に行う対策として

入居申込書が入った段階で確り入居者を選ぶ事が重要です。昨今は入居希望者が少なくなり、申し込みが入るとどの様な入居者でも審査をOKしがちですが滞納の事も頭の片隅に置きながら入居審査をする事も必要です。

◎審査で重視する事は
収入面、勤務先、勤続年数、転居理由、保証人の保証能力です。

◎確認の為の資料は
契約者 ⇒住民票、印鑑証明、所得証明、身分証明、契約者と家族全員の写真
保証人 ⇒住民票、印鑑証明、所得証明です。


◎要注意のケース
契約者 ⇒収入が少ない、勤務先の信用度が低い、勤続年数が浅い、住居を転々としている、転居理由があいまいである
保証人 ⇒親族ではなく知人、友人、職場の上司、前夫、遠くに住まう保証人は要注意です。

面談した時の第一印象或いは申込書を見て「なんとなく引っかかる」点があれば滞納が発生する確率は少なくありません。
保証人は契約者を思う気持ちの強い親族を原則としなければ、家賃の保証人は銀行借入等の保証人と比べ保証を拒否された場合、金額が小額であり徹底した回収をするにはコストを考慮すると難い面があります。


*契約後に行う対策(家賃が発生した時の対策)


滞納が起きた場合に最も重要な事は、素早く対応することでありま
す。
家主様からよく「10カ月以上滞納しているのですが?」と相談されることがありますが、3か月以上滞納した場合は回収の方法は限られてきますし、回収率は極端に下がってきます。
家賃の支払いは翌月分家賃を末日までに支払う事になっております。
従って滞納は支払月の末日を超えた、1日に第1回目の請求をする必要があります。それでも入金が無い場合は保証人に連絡をする、又本人には何度も支払いを督促する事が必要です。
昨今固定電話を持たず携帯電話が唯一の連絡手段となっているケースが多く電話が繋がらない場合が多くあります。 滞納する人物は大半が知っている番号以外の電話は出る事は有りませんが、「留守電に入れる」「督促状を出す」「保証人に連絡する」「内容証明郵便を出す」等あらゆる手段で何度も督促をする事です。
滞納をする入居者の多くは他にも払っていない債務があります、うるさく何度も督促をされるところから支払いをします。
何も言わない先はいつまで経っても支払ってくれません。
滞納対策は最初の対応次第です。以降も優先的に支払わなければうるさいと思わせる事です。
滞納金を請求することを違法行為であると言う人がいますが、法律にふれる行為はやってはいけませんが債権を回収する行為は決して悪い事でありません当然の行為です。


*保証人から滞納家賃を回収する


一般的に本人からどうしても支払ってもらえない場合に、順序として次に保証人からと思われております。又本人が滞納しても連絡が付かない為に保証人に連絡をしたところ、本人から連絡があり「なぜ私に連絡なしに保証人に先に言うのか」とお叱りを受けるケースもありますが、単なる保証人であればその通り「優先順位」があります。しかし連帯保証人はどちらから請求しても問題はありせん。
(現在の賃貸借契約は連帯保証人になっておりますが一度見直して下さい)

逆に、3カ月以上滞納してから連絡をしても「今さらまとめて払ってくれと言われても迷惑である」と保証人から言われるケースもあります。
滞納した場合は即刻保証人に請求しましょう。
保証人は、自分が支払う事になるのが困るので、必ず本人に払うよう言って くれます。  保証人は心強い味方になってくれると思います。

【保証人にかわる保証会社を利用する】

現在保証会社は、強制的な回収、強制退去の方法が社会問題になり、国交省は許認可登録制にする方向にあり、保証会社の数が減少傾向にあります。
大手保証会社は「全保連」「日本セーフティー」「日本賃貸保証」等がありますが不動産管理会社との提携が多く、家主様と直接提携して保証をしてくれるのは「全保連」です。
保証会社の保証を付けておくと滞納の心配はなくなりますし保証料は入居者負担となります。

【自らでは回収が不可能となった場合は】

法的処置を講じる必要があります、弁護士に依頼し訴訟に持ち込む事になります。一般的には3カ月を滞納した段階で、内容証明郵便で賃貸借契約の解除手続きを行います。
解除手続きが済めば、訴訟手続きになりますが判決を受けるまでに6カ月程度必要です。 それでも退去しない場合は、強制執行となります。
「無い袖は振れない」裁判で判決を受けても、滞納家賃は取れない場合が多く訴訟費用を含めると100万円以上の費用が必要となります。
滞納が発生すると高くつきます、滞納者には早く出てもらうのが最善の策です。最近は弁護士でも30万円~40万円で全てをしてもらえる事務所も有る様です。


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とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年5月号)   第89号


新緑もますます深くなってきました。野山にでかけるのもいい季節です。何処かにお出かけになりましたでしょうか?
        
不動産を所有されるオーナー様にとって、今後取るべき対策は?


【不動産の今後は】


今までは、放っておいても土地の値段は上がり続けてきました。しかしバブル崩壊後土地価格はピーク時から1/3まで落ち込んでいるのが実態です。今後も少子化による人口減少から地価が下がり続けることは明らかであります。

少子高齢化が土地需要に与える影響は、現在の宅地の需要の2/3まで落ち込むとの予測もあります。
オーナー様にとって資産価値の目減りを防ぐための対策は必要不可欠の課題であると思われます。

【大増税時代がやってくる】

日本の国債残高(借金)は1000兆円に到達するところまで来ました。又毎年国が支出する一般会計予算の半分以上(23年度93兆円の半分以上)が国債で賄われており毎年その金額が増加して行く事になります。
この様な中で、支出の削減は遅々として進まず、消費税増税とする増税の話ばかりが先行しております。特に富裕層を対象とした所得税、相続税の税率見直し、基礎控除の見直し等々を行い、財政赤字の改善を図るとともに、格差の広がる低所得者に再配分する意向が示されております。
政府は、不況下で税収が落ち込むなか、もはや余力のある富裕層をターゲットにする以外残された道はないとの方針であるようです。
前述の地価の下落に直面するオーナー様にとってこの大増税はダブルパンチと言って過言ではない状況です。
何も手を打たなければ大切な資産が目減りして行く事となります。自分の資産は自分で守ることが必要であると思います。 

【資産を守るためには】

対策1(何もしない)
土地活用を進められ、収益物件を建築したが逆に資産価値を減らしてしまった事もあります。「金利上昇リスク」「空室リスク」「固定費リスク」「修繕費リスク」等々多くのリスクがあり、土地活用イコール資産価値増加とは言えない事もあり、何もしないことも選択肢の一つであります。


対策2(土地活用をする)
土地活用を検討する場合、数々のリスクを調査、分析、検討を行いますが、一番の課題は「継続して期待した収益が確保できるか」が最大の判断基準となります。その為には今後の時代の流れを的確に掴んだ活用にすべきである。
(今後の成長分野:環境・エネルギー・医療・福祉・健康等)

対策3(資産の組み換えをする)
土地価格も二極化が進んでおります、都心の地価はあまり下がっていないのですが、郊外に行くと大きく下落しております。
今後もこの傾向は続くものと思われます。
従って、土地を持ち続ける事により資産が目減りして行くケースも考えられます。
売却して現金化する、借入金の返済に充当する、資産を優良物件に組み替える等の対策を講じる事も必要なケースもあります。
デフレ時代は物価が下がり現金の価値が高くなる事であります、逆に借入金は実質的に増えているのです。
又、今後地価も二極化して行きます、郊外の不動産を売却し市内中心部の不動産に組み替える方法もあります。
「事業用資産の買替え特例」を利用すれば、譲渡所得税の80%が繰り延べされます。即ち不動産を買替えしても譲渡所得税の支払いは1/5となります。
中心部の地価、家賃は下がりにくく資産防衛策には打ってつけの対策であると思われます。


【結論として】

金融資産においては、投信の元本割れ、株式市場はピークの38,900円から現在は9,000円前後で推移、米国債、日本国債も発行しすぎの感があります、リーマンショック、或いは最近ではJPモルガンの巨額損失がありましたがプロの投資家が大きな損を出す時代であります。

デリバティブ(金融派生商品)とは元々リスクヘッジの為に作られた金融商品であるにも拘わらずそれが投資対象になり大きなリスクが顕在化しております。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)・TRS(トータル・リターン・スワップ)等々、何がその中に含まれていているのかもプロが見ても分からない金融商品が氾濫しております。
AIJによる年金運用金の消失問題がありましたが、あれだけの高い利回りの出る運用は有るはずがない時代ですが、その嘘が明らかとなりました。 
先進国の経済が停滞する中、当然ながら上手くいっている運用は大変少ないのが現状です。
穀物、資源等は後進国の需要増から全体的に値上がりをしておりますが先行きは不透明であります。
不動産におきましては前述の通りです。
地主様にとりまして、バブル崩壊以降20年以上に亘る地価の下落は大変に頭の痛い問題です。
どの様にすれば自分の資産を守れるのか大変厳しい現状に直面しております。
昔から資産の運用は分散をする「資産の三分法」があります。即ち「現金」「株」「土地」の異なる性質を持つ財産に分けて投資をすると言われております。
出来る限り安全な投資方法は、「ポートフォリオ理論」の通り出来る限り分散を図る事です。
同じ性質の資産であっても分散を図ることは原則です。
この不透明な時代を生き抜くためにも、経営者としての自覚が必要となってくるものと思われます。



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とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年4月号)   第88号


さくら、さくら♪♪・・・~いよいようれいし春がきました、桜の花も満開ですみんなで出かけてみましょう。
            
今月号では、賃貸営業マンが紹介したくなる物件
  =入居者の住みたくなる物件の特集です。
【賃貸業者からみた客付けしたくなる賃貸物件は?】


不動産賃貸業者の客付け営業は、入居者の入居したくなる部屋を紹介する事が早く仲介成約に至り手数料を稼ぐことが出来ます。
不動産賃貸業者の営業マンは、其々が独立した店舗の店長の集まりと理解された方がわかり易いのかも知れません。
其々の営業マンは成果主義の給料であり、自分の対応するお客様の入居を成約させなければ自分の収入になりません。
従って何とか成約に結び付きやすい物件を紹介したいと思うのは当然です。
賃貸営業マンが紹介したいと思う物件とはどの様な賃貸物件なのか、それが分かれば家主様自身のマンションをどの様にすれば賃貸営業マンが率先して入居者に紹介して貰えるのかが明確となり稼働率が上がる事になります。
それではどの様な物件が賃貸営業マンにとって取扱したい物件なのでしょうか。

●大変に綺麗な物件
●最新の設備が完備された物件
●広い部屋がある物件
●駅に近い物件(特に特急、急行等の止まる交通利便の良い駅)
●コンビニ、スーパー、職場、大学に近い物件
●家賃の安い物件
●数少ない物件(分譲マンション、新築マンション、新築貸家等)

以上の様な物件が出れば、営業マンはいち早く自分のお客様に紹介したいと思うのは必然であると思います。

【家主様が今後行うべき事とは?】

自身の賃貸マンションを、賃貸営業マンが客付けしたくなる物件に近づけることであります。

全部の条件を満たす事は出来ませんが、近づけることは出来ると思います。
広告料を多く出してみても、成約しなければ営業マンの収入にはなりません。広告料の多い物件ほど「改装されずに汚い」「設備にお金を掛けない」「家賃は下げない」と言われる物件が多く、入居者に紹介してもなかなか決まらないのが実情です。
営業マンは成約すれば収入が多いのですが決まらなければ収入はゼロなのです。
空室の多い大家さんほど、改装にお金を掛けたくないと言われます。
にも拘らず家賃も下げたくない、一時金(礼金・敷金)も下げたくない大家さんが多く、それでは空室はなかなか埋まりません。
現在、全国の空室が410万戸(空室率23%)・京都では79千戸(空室率21%)の空室があります。
この様に多くの物件が市場にあふれているのにもかかわらず、「家賃を相場に合わせました」位ではなかなか決まらないと思われます。
家賃を下げるとは、相場よりも下げるという意味なのです。営業マンの紹介したくなる物件の「家賃の安い物件」とは相場よりも大幅に安い物件の事なのです。
家賃を下げるとどうなるのか、当然入居者の質が落ちてゆきます。
一概には言えませんが私の経験から、ワンルームマンションでは家賃3万円、ファミリーマンションでは5万円がそのラインではないでしょうか。
質の悪い入居者になると、家賃の滞納以外にも日常生活に問題が発生するケースが多く、入居管理に大変手間がかかり家賃収入どころではない費用が発生することもあります。
それでは家主様としてどうすれば良いのでしょうか?
入居者の質が下がることを前提に、家賃を相場より大幅に下げて入居者を探すのも一つの方法であり、そこまで家賃を下げれば即刻決まるでしょう。
しかし有る程度入居管理に手間がかかることを覚悟しておくことが必要です。
最善の策は一般的な原状回復の改装工事ではなく、ライバル物件とは明らかに違う部屋にバージョンアップすることです。
問い合わせが少ないのは条件面が相場より高いのか、ライバル物件の空室数が多いのかの何れかです。
案内が入るが決まらないのは、リフォームをケチってライバル物件よりも同じかもしくは低い部屋の質になっているのです。
客付け業務は極端にいえば二者択一で中途半端はしないも同然です、家賃を相場以上に下げるのか、リフォームにお金を掛けるのかの何れかの選択です。
その選択は家主様の判断だと思われます。

【最後に】

ライバル物件とは明らかに違う部屋にバージョンアップすれば、内見さえしてもらえれば高い確率で成約すると思われます。

広告料ははずむが改装はしないのではなく、綺麗にさえ改装すれば逆に広告料は通常で決まるようになるし、空室期間も短縮できて将来の損失分を考えれば改装をした方が得策であると思いますが如何でしょうか?
営業マンも広告料は高いが成約率の低い物件を顧客に紹介することは少ないのです。
最終的には成約する物件から紹介して行く事になるのです。
今回の「耳より情報」は賃貸営業マンから見た「客付けしたい物件」をテーマにお届け致しました。

今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 

    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者

    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年3月号)   第87号


三寒四温で温かくなって参ります。
      春はもうすぐそこに来ております。

 今月号では、賃貸住宅に関連した最新のニュースをお届け致します。

【住宅ローン審査基準の厳格化方向】

デフレ経済の長期化から企業の資金需要が減退し、各銀行はこぞって中小企業融資、住宅ローンに資金を向けてきた。その結果過度な低金利競争に陥り逆ザヤになっているケースも多い状況である。

又、住宅ローンの貸し倒れも見受けられ、金融庁は全国の銀行を対象に検査に乗り出した。
リスク管理体制の見直しから、審査基準の厳格化、或いは新規融資を撤退する銀行が出てくるものと思われます。
そうなれば、住宅が売れにくくなり住宅地の土地価格も下落する可能性が大きくなるものと思われます。

【京都地裁が更新料の一部返還を命令】

賃貸マンションの契約更新料を巡っては、昨年最高裁が有効であるとの判断を下した。但し「賃料等に照らし、高額すぎる等の特段の事情がない限り」との前提条件が付いている。

今回の京都地裁での裁判は、1年契約で2.4カ月分を超える更新料を払っていた。
裁判の結果は利息制限法の制限利息の上限が2割であることを踏まえ「契約期間1年の更新料の上限は、年額賃料の2割が相当」との判断を示しそれを超える部分を無効とした。
因みに、そのような高い更新料を設定して募集すれば入居者がないのが現状であり、需要と供給から考えれば現在では数少ない事例かも知れません。

【震災の影響で賃貸志向派が増加】

この度の大震災で、二重ローン等を余儀なくされ震災の不安等の要因により、賃貸住宅居住意向の変化がありました。

リクルートの調査によると、現在賃貸住宅に住んでいる人が「今後も賃貸住宅に住み続ける」と答えた人が31%から37%に増加した。
その中で、ファミリー層は16%から34%と大幅に賃貸志向派が増加しており、住宅購入層が賃貸志向に変わってきている様子が窺えます。
今後賃貸住宅派の増加により、受入れる側の賃貸住宅の遮音等の性能改善、分譲に近い設備、仕様が必要となるようです。

【単身者の部屋探しの傾向】

アットホームの調べによりますと、単身者が部屋探しで重視する条件として。

① 最寄駅から近い ②学校・勤務先から近い ③スーパーマーケットに近い
の順になっており、特に注目する点は三番目の「スーパマーケットに近い」項目が19ポイント増加しております。
時代背景から、「スーパーで買い物をして自炊をしたい」「通勤・通学時間費用等を減らしたいと考えている様です。

【介護報酬改定・在宅に誘導】

厚労省は平成12年度の介護報酬改定において、施設への入居を要介護度の重度者に絞り込み、軽度者には24時間対応定額訪問サービス、訪問看護と短期施設利用を併用するサービス等、自宅での介護を支援するメニューを増やし施設での介護から在宅介護への誘導を進めるとの事である。

現在高齢者向け賃貸住宅が相次ぎ建築されており、高齢者住宅増加の傾向は益々強まるものと思われます。
             
【入居者死亡の場合の告知義務】

テレビ等で○○マンションで殺人があった等の、入居者死亡のニュースが良く目に飛び込んできます。

万一、自分の所有する賃貸マンションで入居者が、殺人(他殺)、自殺、病死が発生した場合どの様なリスクがあるのでしょうか?
新たな入居希望者に対し当然告知義務が生じます、告知義務を怠った場合は賃貸借契約を取り消される可能性があり、慰謝料、引越費用等の損害賠償の請求をされるケースもあります。
それでは心理的瑕疵告知義務の期間はどれくらい必要なのでしょうか。
その期間の決まりはありません、判例がありますのでそれを参考にする以外にないと思われます。

① 他殺の場合⇒事件の状況、場所、使用状況、様々な事情が考慮されます。

        大都市で起こるのと、田舎で起こるのでは当然違いがありますし、
        世間的に大きな事件であるか等々の事情により違います。
        判例では6~7年程度が多のですが、半永久的と言われる法律 家の方もおられます。


② 自殺の場合⇒上記の通りの状況ですが、一般的な場合
           賃料の減額を3年間認とめた判例があります。
           又その後入居された入居者が短
期で退去された
           ケースでそれ以降の告知義務はないとした
判例もあります。


③ 病死の場合⇒基本的には告知義務はありませんが、
           死亡後長い期間発見されず部屋に
           異常が見られた場合は告知義務の必要がある様です。

【塗装で浴室を再生】

賃貸住宅において、浴室は肌が触れる場所であり汚れや黄ばみがある状況では次の入居者が決まりにくいのが実態です。

そこで、浴槽を交換するよりもコストが安く、工期も1日と短いために退去後のリフォームも素早く出来て空室期間も短縮できるのが特徴です。
あらゆる材質の浴槽に施工できて、カラーも豊富であり、浴室をお洒落にし、汚れが付きにくく、カビの繁殖等も防ぐことができます。
一度お試しになられては如何ですか?




今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年2月号)   第86号




今年は一段と厳しい寒さが続いております、風邪をひかないよう注意をしましょう。

今月号では、土地活用について考察をしたいと思います。

【今後の地価予測】

戦後地価が一貫して上昇してきた要因は、日本が高度成長に沸いた時代と共に土地価格も上昇してきた。工業地域に多くの工場が建ち、働く場所の近くで住宅を求める人々が増加し、都市から結ばれる私鉄も延伸し住宅地がどんどん拡大して行きました。又人口も出稼ぎを求め田舎から市街地へと大きな人口移動が続いて来ました。その結果、人口の集まる地域の土地価格は上昇を続け昭和64年にピークを打ち、その後、右肩下がりで下落を続ける事となりました。 現在全国の公示地価は、ピーク時から半値近くになっております。 その原因は、成熟経済となり、その後もデフレ経済が続いて構造的な経済の停滞がその原因であります。それに伴う地価の下落は当然の結果であると思われます。 それでは、今後の地価はどの様になるのかを推測して見ますと、

① 今後もデフレ経済は当面続くものと思われる点。
② 人口が今後40年間で4,500万人(35%)減少する予測となっている点。
③ 企業の海外進出が進み国内の空洞化が顕著となるものと思われる点。
④ 少子高齢化により労働者人口が減少し国力の低下が予測される点。
⑤ 規制緩和が進まない事による外国からの日本投資が期待できない点。
⑥ 今後は遊休土地の放出が始まると予測される点。

等々を考えればよほど大きなインパクトのある事態が起こらない限り地価は下がり続けるものと思われます。   

【土地活用の展望】


現在日本人の資産の7割以上が不動産であると言われております。 現在「耳より情報」をお読みの皆様方は家主様が多く、高齢者様であると思われますが、その世代の方々は、不動産によって資産を増やしてこられました。 従って今も不動産に対する思い入れは強く、よほどの事がない限り手放される事はありません。 しかし、今後は上記の通り土地は資産として成り立たない時代になりました。 逆にリスク資産となる時代です。国は多大な債務を抱えており、今後如何にプライマリーバランスを正常化し借金を減らして行くかを進めてくるものと思われ、土地の保有税、相続税等々の課税の強化がなされるものと思われます。 不動産はストックからフローの時代となりました。又今後の時代は我々の予測のつかない大きな転換期を迎えているものと思われます。 私たちはいま、考え方を180度変える必要に迫られております。 今後は現在お持ちの不動産を一度見直す必要があります、遊休地の所有か売却か、所有を続けるのであればその土地をどの様に活用するのか? 所有不動産全体から見た活用方法を見つけ出す必要がある様に思います。 資産を守る事ではなく、資産を収入源として活用する時代です。

【如何に活用するのか】

それでは、どの様に活用したら良いのかを考えた場合その方策として

1) 何のために活用するのかを考える 土地所有者のライフプランに合った活用をする必要があります。 やみくもに収益を求めるのではなく、現在の生活から将来の世代交代までを見すえた計画でなければなりません。

2) どの様に活用するのかを考える 不動産活用は大変長期に亘ります。時代を先読みした計画でなければなりません。活用プランを持ちこむ業者の計画を丸飲みにして行うことは危険です、あたかも官僚が目的を達成するための統計調査と同じではないでしょうか。自分自身で確り検証する必要があります。 どの様な土地活用をするのかは、その物件の特徴により多種多様な方法がありますので色々研究をして見て下さい。 又、税務面も最大限考慮する必要があります。相続税はもとより固定資産、都市計画税も侮る事はできません、年間50万円の差額が発生した場合10か所の物件があれば10年間で5,000万円も違ってくるのです。 多要素を考慮しながら検討して見る事が必要であります。

3) 誰とパートナーを組むのか?
 土地活用は大変に長期的な戦略に基づく計画でなければなりません。 20年以上の事業となる事業パートナーを誰にするのかは大変に重要選択であります。 建築費が安いからとか、今の担当者が親切だからとか、単に現時点での姿(業態)ではなく今後発生する諸問題、或いは管理運営を長期に亘り一緒 にやってくれる、10年後20年後を見据えたパートナーを探すべきであると思います。

【最後に】

土地活用には一長一短があります、マンション経営から事業用物件である貸し倉庫、貸し工場、貸し店舗、定期借地、建物建築一棟貸し、等々 以下は時代の趨勢から判断した土地活用であります。 高齢化・・・・・・・・・高齢者住宅・医療、介護・健康、宅配販売業 環境問題・・・・・・・・スマートハウス・エコ住宅 独居世帯の増加、・・・・広めの1LDK住宅・コーポラス住宅 賃貸派の増加・・・・・・一戸建て賃貸住宅・高級賃貸住宅 人口都市集中・・・・・・都市型住宅、都市型物販店舗 サービス業の増加・・・・テナント IT関連事業の増加・・・事務所の小型化、在宅就労、地方テナント 開発型産業・・・・・・・研究施設、 以上以外にも今後の成長産業にかかわる土地活用は沢山あります。 逆に衰退産業に関連するものは当然減少して行くものと思われます。 発想の転換を図る必要が有ると思われますが如何でしょうか?


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成24年1月号)   第85号




新年明けましておめでとう御座います。
本年も引き続き宜しくお願いを申しあげます。

 今月号の「耳より情報」で85号(7年1ケ月目)となりました。
今後も引き続き皆様方のお役に立てるよう頑張ります。

【昨年を振り返り】

平成23年は大変な年になりました。特に東日本大震災においては多くの人々がお亡くなりになり、今もなお多くの方が避難生活を余儀なくされております。 避難生活をされております方々には一刻も早く元の生活に戻れるよう、国を挙げてご支援をしなければなりません。 又経済面では円高が進行し一時75円台を付けるに及びました。その為輸出産業の打撃は大きく、国内の空洞化が益々進行することとなっております。 長期間続くデフレ経済、少子高齢化、人口減少、雇用問題、若者の失業、生活保護世帯の増加、政治問題、等々早期の対策が必要なものが山積しております。 一方、国外でもヨーロッパの債務問題、米国景気の悪化・高失業率、新興国の景気の陰り、等々なにを取っても悪い状況ばかりの年であったように思います。 本年は、辰年「昇り竜の如く」全てが好転し上昇したいと願うものです。

【今年の願望】

1) 震災復興の年、被災地復興の為に数十兆円のお金が投入される。
2) 欧米の景気が上向く状況があれば、多少の円安も有りうるのではないか。
3) 消費税が上がるとなれば駆け込み需要も考えられる。 良い方に捉えれば今年は多少景気が良くなるのではないか?  年の初めに当たり、願望を込めてその様に願うものです。
                  
【年代格差の是正議論に思うこと】

昨今は、報道関係による高齢者と若者との間に大きな所得・資産格差が生じているとの報道が多くなって来ております。 当該「とまとハウス耳より情報」をお読みの方々は、賃貸不動産オーナーの方が多く、比較的所得・資産の多い方々でありご高齢の方が多いと思われます。私も団塊の世代の最終年に属する年代であります。 この度、大阪市長に就任された「橋下徹」氏は既得権益を壊し、その財源で市民サービスに注力すると言われており多くの市民の注目を浴びておられます。 その橋下氏が先日「若者の票を頂いて当選した、その若者たちの活力を取り戻すためにも世代間格差の是正を促進しなければならない」と言われており、私もその通りであると思います。 又、新聞・雑誌等にも連日「世代間格差」の記事を目にする機会が多くなったように思われますし、テレビの討論を見ていてもその様に感じる事が多くなりました。 しかしながら、高齢者(団塊の世代)の側から言わせてもらえれば、この団塊の世代は戦後の「産めや増やせ」の時代に誕生した世代であり大変人口の多い世代であります。その為、受験戦争から始まり、田舎から都市部への人口移動世代で就職戦争、就職後には出世争い、戦後の高度成長を支え、血の出る思いで貧困時代から裕福な日本を築き上げた人々であると思っております。 その団塊の世代が老後の人生設計を現在の年金制度に照らし合わせ描いて来たライフプランが否定されようとしているのは如何なものか・・・・・・ 数十年前から、高齢者を現在の若者が支えられない事は明白で有ったのではないのか? 未だに年金の収支が明確に国民の前に提示されないのは何なのか? 官僚は民主党が野党時代に議員にすらその収支を明確に提示してこなかった。 財源が足らない議論だけでは国民は納得しないのではないのか? 今まで年金をはじめとする社会保険は政治家、官僚の好き放題に、年金会館、グリーンピア(年金保養施設)、ケアプラザ(労済施設)、等々全国に何百施設と箱モノを建築してきて将来の社会保険積立金を使ってきたのは誰なのか。 今更、年金を減らす・支給年齢を遅らせる、医療費負担を増やす、高齢者の税負担を増やす、資産税を増やす、等々・・・・・トホホ・・・・・・・・・・・・・・ 愚痴を言っても始まりませんが、現実に戻れば仕方がないのでしょうか? 二度と国民が騙されないよう、我々が政治、行政を厳しく監視する必要が有ると思いますが如何でしょうか。

【いよいよ世代間格差是正が始まる】

大阪のダブル選挙結果を見てみますと、やはり若者が投票に行った事が結果を左右した様に思います。 今まで、お年寄りは選挙に行き若者は投票所に行かなかった。どちらかと言えば政治家は投票をしてくれる高齢者の意見を良く聞く傾向に有ったが、今回の選挙結果でその傾向も変わるものと思われます。 所得税は震災の関係があり期限付きで上がることとなり、消費税、相続税の増税議論は進行中であります。 日本の財政からみれば当然財源の早期確保が必要であることは明白であることは事実であり、それまでにやらなければならない行財政改革は別として、財源の確保は喫緊の課題であります。 その財源の確保の標的は、消費税でありますが、資産税の強化即ち資産保有税、相続税の強化も当然ながら上ってくるものと思われます。 90歳の親から65歳の子供が相続を受けてもその事が消費拡大に繋がるとは思われませんが、若者への資産移転、所得移転を促進する方向は変わりません。 国も、親から子への「住宅取得資金贈与の非課税特例」「相続時精算課税制度」等の特例措置で資産、所得の移転を奨励しておりますが、もっと大胆な制度が必要であり、今後益々資産税・相続税の強化の方向に進む事は確実な情勢です。

【まとめ】

国の借金が1000兆円を超える状態のなか、今後10年間の猶予期間に改革を進めプライマリーバランスを正常化する必要があります。 このまま10年を経過すれば「ギリシャ」の二の舞になりかねません。 今後日本国民にとって大変な痛みを伴う改革が待っている事は確かです。 世代間格差の是正は高齢者から若者への所得移転であり、高齢者の所得を減らし負担を増やす事であります。その為の政策は今後強化される事は必至であります、その具体策は今後徐々に出てくるものと思われます。 税と社会保険の一体改革で、高齢者へ「年金」「医療」「介護」等の支給、支援を減らし、負担を増やす事となります。 総務省統計調査では、60歳以上の所有する金融資産の割合は60%を超えており、50歳以上でみると80%を超えているのが実態です。 又不動産所有割合も60%を超えており、金融・不動産資産の殆どを高齢者が所有している事を物語っております。 お金を使うのは若者であり、高齢者はお金を使わない。従って消費が拡大しないので景気も良くならない。 今後は、高齢者の所有する資産を標的に税制が改正され若者への所得移転を図り若者の活力が出る対策がなされるものと思われます。 社会の変化に応じたルールの変更は世の常であります。社会の変化とは個人の意識の変化であり、その個人の意識の変化を的確に捉え今後のルール変更の予測を行い、早く対策を講じておく必要があるのではないでしょうか。

今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年12月号)   第84号

早いもので今年も師走となりました。押し迫り慌ただしい月となりますが、本年最後の締めくくりを有終の美で飾り、新たな年を迎えましょう。

 今回号は入居者が退去された場合の原状回復について掲載致します。トラブルの多い事項ですのでご参考になれば幸いです。

【退去時の原状回復トラブル】

平成19年に国土交通省が実施した調査で、賃貸住宅の相談件数の多いのはこの原状回復の問題での相談が全体の「41%」を占めており、ダントツの一位となっております。いかにトラブルが多いのかが推察されます。
その原因は、昔は借家数が少なく貸主側が有利な状態にありましたが近年は空家が全国で400万戸を突破した状況の中で、借主側が強くなり、過去の家主様のやり方が通じなくなったのが原因です。
借主側より原状回復についてのトラブル、相談等が多くなって来れば国の管轄官庁が放って置くはずがありません。平成10年に国交省は原状回復のガイドラインを出しました、その後平成23年8月に改訂を行いました。
現在ではそのガイドラインに沿って対応が行われております。

【原状回復義務とは】

借地借家法では、「賃借人は契約の規定に従って目的物を使用収益する権利を有し、これに対し賃料を支払う義務がある。又、契約終了時に目的物を原状回復して返還する義務を負う」となっております。
法律の原状回復の割合が不明確で具体的でないのでトラブルの原因になっておりました。
裁判所の原状回復の考え方は、「建物の通常損耗分をもとの状態に回復することではなく、賃借人の故意・過失等による劣化の回復」であるとの考え方であります。
ガイドラインの考え方は「故意・過失・善管注意義務違反・その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損の復旧」となっており、民法第400条で、賃借人は、賃借物を善良な管理者として注意を払って使用する義務を負うとなっております。

【原状回復費用負担割合とは】

現在は上記の通りの解釈により、退去時に原状回復工事費の、貸主、借主の負担割合を決めておりますが、その具体例は下記の通りです。

「賃貸人の負担となるもの」
◎家具の設置による床のへこみ、設置跡 ◎テレビ冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ ◎壁に張ったポスター等によるクロスの変色 ◎日照による自然にやけるクロス、畳等の変色 ◎借主設置のエアコン・ビス穴 ◎画鋲、ピン穴 ◎機器の寿命による設備の故障、取替え ◎構造的な欠陥による畳、フローリングの変色、網入りガラスの亀裂 


再募集の際の改装等は
◎畳の表替え ◎網戸の交換 ◎設備の新設 ◎鍵の取り換え ◎フローリングのワックスがけ、◎台所、トイレの消毒 ◎ハウスクリーニング ◎エアコン内部の洗浄等

「賃借人の負担となるもの」
◎カーペットシミ ◎冷蔵庫下の錆を放置した事による汚損 ◎引越の際の傷 ◎日常清掃を怠ったスス、油汚れ等 ◎結露を放置しカビ、シミの汚損 ◎クーラーからの水漏れを放置した為に発生した腐食 ◎喫煙によるクロスの汚れ ◎壁の釘穴、ビス穴で下地ボードの張替 ◎天井に付けた照明器具の跡 ◎落書き等の毀損 ◎ペットによる傷、臭い ◎風呂、トイレのカビ等 ◎異常な取り扱いによる設備の毀損 ◎鍵の紛失、毀損 ◎戸建て住宅の庭の雑草除去費用等々であります。
                   
【設備等の経過年数による負担割合の変化】

設備、クロス、畳等々は経過年数に応じて経年劣化する、其々の耐用年数が経過した段階で借主負担はゼロになります。

従って、退去時点での其々の経過年数に応じた、負担割合を算出する必要があります。
クロスが汚れているので、その部分の張替費用を全額借主が負担するのではなく、経過年数により借主負担は減少します。
長期入居されており、クロスの耐用年数が経過しゼロであるにもかかわらず、借主の故意過失による汚れであるので、クロスの張替費用を借主に請求する事は出来ません。
従って、退去時の残存価格に対する負担割合となります。上記の借主の負担となる項目でも経過年数に応じた負担割合となるのです。

【契約書の原状回復についての特約明記】

弊社の特約事項欄には「賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損に掛かる費用は賃借人の実費負担とし、経年劣化、通常の使用による損耗等の修繕費用は家賃に含まれます」と記載致しております。一般的な契約書には「借主は、本契約終了時には自らの負担において本物件を修理、清掃、その他物件の原状回復に必要な処置を講じた上貸主に対し本物件を明渡すものとする。」と書かれているものが多く具体性に欠ける契約書が多かったのは事実です。
今後は、明確に契約書に記載する必要があります。
最近、借主が法人の場合は特約に具体的な項目が明記されていない場合は、契約出来ないケースも有りますので注意が必要です。

【まとめ】

原状回復負担割合とは、簡単に言えば「賃借人が入居中に手入れを怠ったもの、用法違反、不注意によるもの、通常の使用とは思えないもので建物、設備等に汚損、毀損等を発生させた場合」にその部分の経過期間に応じその負担割合を請求できるものです。
経年劣化、自然損耗等の請求をする事は出来ません。
近年は、賃借人もインターネットの普及により原状回復に関する知識も豊富になり、貸主様の負担分を請求する事によるトラブルが増加しております。
今後注意する必要があります。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。

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とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年11月号)   第83号


京都も観光客が増えて来ました。震災以降外国人の観光客が激減しておりましたが、回復基調にあるとの事です、11月末前後には紅葉も見ごろとなります。

【今後日本経済の成長分野とは】

我々は、日本の経済や社会の変化を読みとる力が必要であり、その様な中で私たち個人がどの様な対策と心構えが必要なのかを考える必要があります。

日本の財政は赤字状態(プライマリーバランスの赤字)が20年以上続いており、国の借金はついに1000兆円を突破しました。
その原因は政府が困難な問題を先送り先送りにして来た付けが現在の状況を招いている。自民党政権の時代には様々な業界を支援し調整を先延ばしにして来たが、現政権にはもはやその余力はない。
政治的決断が出来ないのはその政治システムに問題があるのか、我々選挙の有権者も反省をする必要があると思われます。
前経済産業省の「古賀茂明さん」の著書を読みましたが官僚の世界も酷い状態が続いているものであると再認識させられた次第ですが、その官僚を使いこなすのが政治家であるにもかかわらず、相変わらず官僚天国の状態であるのが現実の様です。
選挙のプロフェッショナルではあるが政治には素人の様な気がしますが、既得権益を守り、既得権から利益を得ている団体から見返りに票を貰う選挙も終焉に近づいているものとおもわれます。
ズバリ国民の意志を反映した政策を掲げ選挙に臨めば必ず勝利することは政治家も十分にお分かりになっておられると思いますが、それが何故できないのかが問題であり、それが過去の政治システムであるのではないかと思っておりま
す。
           
さて、今後の日本経済の成長分野ですが、①環境、エネルギー ②医療、介護、健康 ③観光の分野が今後の日本の成長を牽引する分野であると言われております。又農業分野においても今後の成長分野の一つであります。
この様に見てみますと、色々な規制がありその分野に自由に進出出来ない分野が今後の成長分野であります。
今後日本の成長を牽引する分野が、既得権益を守るために規制で雁字搦めにしているようでは日本に未来はないものと思われます。早期に制度設計、規制改革、税制等の総合的な政策を実施してもらう事を期待するものです。

【生き残りへの課題】

1)現状の市場で勝ち抜く

  少子高齢化等の要因で市場は縮小して行く一方であります。
  しかしその様な中で、一生懸命に努力しその熾烈な市場の中で
  勝ち組に入る事である。

2)今置かれている業界の中で生き残れる努力をする
  競争相手を打ちのめして何とか生き残る努力をすることである。
  市場縮小の中で様々な分野で過剰供給が続いており、
  その結果壮絶な生き残り競争を繰り広げている。
  勝ち残ったものは、市場を独占し安定した利益を享受できるのである。

3)他社との違いや特徴を明確にする
  何度も申し上げております通り、新たなビジネスモデルを構築し
  他社との差別化を図れば、多大な利益を生み出せる。

以上の三点を踏まえてどの戦略を選択するのかが重要であります。
しかし「現状の市場で勝ち抜く」「今置かれている業界の中で生き残れる努力をする」と言うのは、この二極化する市場の中では、大手企業が取り組む施策であり現在大変な競争が行われている。但しそれは日本国内の問題であり、海外に特にアジアに市場を求めるのであれば①②の対策も有効であると思われます。
我々中小零細企業の取り組むべき課題は③が有効であると思っております。
新たなビジネスモデルを構築する事を最重点に取り組むべきであり、我々に取ってそれが最大の課題であると考えます。 

【我々が取り組むべき具体的方策】


現在の日本は、生活水準が高止まりし、更なる経済成長は望めず「量から質への転換」が図られようとしております。
又企業は「減産し質を高める」方法でしか生き残りが出来ない時代へと突入しました。
先進国でも同様の問題が起きており、企業が減産をすれば企業規模の縮小により当然ながら失業者が増加し欧米では貧困者の反対運動が激化しております。又西側諸国(ヨーロッパ)では債務問題で揺れており、今世界は予断を許されない状況下にあります。
我々賃貸業界もその流れを確り認識し、対応策を考える必要があります。
量から質への転換とは、現在日本全国で空前の空き室となっておりますが、それは人口が減少する事を想定すれば今後益々空き室の増加は予測出来ます。
しかし入居者のニーズは多様化し一般的な間取りの賃貸物件では満足をされない状況となっており、その多様化するニーズにどの様に対応するかが質への転換であると思っております。
その質とは、多種多様な賃貸物件の中から場所、地形、面積、環境等々からどれを選択するのかを決定しその質を高めて行く事である。
又既存の賃貸物件をどう活かすか、国の推奨するストックを活かす方策が必要不可欠であると考えます。
従って、我々中小零細企業の取るべき戦略は、大手企業の進出出来ない分野を見極め、独自のオンリーワン事業システムの構築ではないのでしょうか。
具体的には、前述の今後拡大する分野を取り入れた賃貸物件の供給と、既存物件を活かすビジネスとして、高齢者住宅に医療、介護、健康、省エネ、環境、分野を絡めた新たなシステムを構築できればと思いますが、如何でしょうか?


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。

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とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年10月号)   第82号

いよいよ秋らしくなって参りました。
もう少しで紅葉が始まります、一度出かけてみては如何でしょうか。

【未来予測】人口の減少は我々賃貸業界にとって大変に影響の大きな要因となっておりますが、人口の減少が今後どのように影響を及ぼすのかを検証してみましょう。

【今後の人口動態と未来予測】

2050年の日本の人口は9000万人に減少します、即ち現在1億3千万人の人口であり、39年後に4000万人減少する。年間平均にすると100万人以上の人口が減少し続けることとなります。

現在の京都市の人口が147万人であり、3年に京都市が2都市なくなって行く計算となります。
この市場縮小の影響は全産業に大きく及ぶ事となり、年々ボディブローの様に効いてくるものと思われます。
経営の神様であるドラッガーは「確実な近未来予測は人口動態を見れば分る」と言いましたが、現在の日本の人口動態は日本の未来を映し出しているものと言っても過言ではありません。
当然ながら、不動産賃貸業界にも同様の状況が予測される事は明白であります。
                 
【新築マンションは増え続ける】

現在も建築が止まらない新築賃貸住宅は年間80万戸を維持しておりますがその要因は何なのか?

それは、賃貸マンションを建てる建築会社が売上を上げ会社存続の為に一生懸命営業をかけることにより新築賃貸住宅戸数が増加するのです。
それでは何故入居者が減る事を分かりながらオーナー様は建築を承諾するのでしょうか? 
それは建築業者が「アパートを建てれば相続税が軽減出来る」事をセールストークにした営業を行い、最初は断わっていたが、再三訪問してくる営業マンに負けて、「相続税が軽減出来る」「テレビのCMで有名な会社だ」「営業マンが気に行った」「長期間家賃保証をしてくれるので安心だ」等々の理由から承諾してしまい、将来的に苦戦をするような特徴のない新築の賃貸マンションが次々に建築され続けるのです。
                     
【現在の全国平均の空室率は】

現在、日本の賃貸住宅の空き家は410万戸に達しており、全国平均の空室率は23%に達しております。

即ち、4部屋に1室が空いている状況であります。
今後においても、人口の減少と新築マンションの建築が続く限り、年々空室が増加傾向をたどる事は十分に推測できます。
「座して死を待つ」のではなく、未来を予測しいち早くアクションを起こすことであると思いますが如何でしょうか。
                     
【現在のお部屋探しの実態】

現在、私ども「ホームメイト伏見店」に来店されるお客様の70%以上がインターネットを見て来店されるお客様です。

全国の賃貸店舗でも同様の現象が起きており、今やインターネットに物件情報の広告を出さない業者は厳しい状況に晒されているのが実態であります。
「iPhnoe」人気でスマートフォンが爆発的に売れておりますが、今後も携帯電話にかわり普及するものと思われますが、パソコンに代わり電車の中からでもスマホで部屋探しが出来る時代となっております。
その様な中、ユーザー様は多くの賃貸物件を比較するのは容易になっており、昔のように賃貸業者の営業担当者が強引に案内を進め、無理やりに部屋を決めると言った手法は全く通じなくなった。
従って、不動産業者を頼っても空室は埋められず、自らの物件を他の物件と比較しても劣らない様にするのが最善の策であると思います。
インターネットの普及により誤魔化しがきかなくなったのが実情です。
      
【今後のマンション経営】

現在の部屋探しの実態は、駅からの距離、建物の造り、部屋の広さ、設備面、築年数、等々に対し、その価格を比較して(質と価格による比較)有利な物件が入居者様から選ばれるシステムであります。

従って、駅近、最新設備等々の物件が新築される度に、古いマンションはどんどん避けられて行くのが実態です。
この様に日本で一番多い数の、極一般的な賃貸物件は大変な競合にさらされます。多くの人たちの上る土俵の上で勝負をするのは大変な努力が必要であり、価格競争にさらされ利益はどんどん薄くなって行き、負のスパイラルに陥るのが現状であります。
高度成長が終わり成熟期にある現在、多様化するニーズの中で同じ物を造り続けるのは如何なものなのか?
今後の賃貸経営は、新築、既存物件に拘わらず、多様化するニーズに如何に対応し変化できるかであると思っております。
新築は、市場の小さいオリジナリティに溢れる物件、或いは今後市場が拡大するであろう高齢者向けの物件等に目を向ける必要があると思います。
古い既存物件でも、知恵を絞れば色々な対策があるものと思っております。
是非皆様方も研究して見る価値はあると思いますが?




今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年9月号)   第81号



紀伊半島における台風被害が発生しております。台風シーズン到来で十分注意が必要です。

今日本で起こっている事は、震災、台風被害を通じ人と人の「絆」の大切さを感じている人が増えており、この大きな出来事を通じ人の考え方が変化しつつあります。

【人間関係の大切さ】

3月11日の東日本大震災、この度の紀伊半島における台風災害は日本列島に大きな被害を及ぼしました。
被災者の方々には心よりお見舞いを申し上げますとともに、改めて自然の脅威について考えさせられます。
今後30年以内に発生すると言われております、東南海地震についても発生するものとして備える事が必要かと思われます。
さて、今回の震災で多くのボランティアが参加され「がれき」の撤去等の作業に携わられましたが、頭の下がる思いです。
今回の震災以降の日本人は助け合う精神を改めて感じておられる方が多く、「絆」の大切さを痛感させられました。
被災地のある気仙沼市階上中学校の卒業生代表が答辞を読みました。その内容は「天を恨まず、自分自身を成長させ、震災の復興に寄与したい」との表現をされ、教科書にも全文を掲載されるとの事です。
その事は日本人に大きな勇気を与えたと思います。私自身も「うまくいかないのは自分自身のせいではない、他のせいだ」と思う事が多いのですが「天を恨まず」との表現は大変感銘を受けました。又、被災地の中学生が、大きな天災を受け入れ、多大な被害を受けたにも拘わらず強い復興の意志と勇気を持たれている事を称えたいと思います。

【日本人の考え方の変化】

本年に入っての災害がもたらせた「人への心の傷」は人生観をも変えるものであり、日本人の心に大きなインパクトを与えました。
その為に震災以降の日本人の考え方に変化が見られます。「結婚する人が増加し結婚相談所が流行っている」、「持家が流され2重ローンとなる為、賃貸派が急増している」「原発問題からエネルギー問題が表面化」等々と、「人間関係の重視」、「物欲の減少と精神面の豊かさ追求」、「エネルギーへの考え、代替環境エネルギー開発」等々に大きな関心が示されるようになりました。
今後の日本社会が大きく変化して行く切掛けになったとも思われ、我々もこれを機会にもう一度立ち止まり考え直す必要があるのかも知れません。
現在世界で起きている諸問題も、日本的生き方が広がり一挙に解決するかも知れません。
「なでしこJAPAN」がなぜ欧米の個々の技術力の高さでは比較にならないにも拘わらず、ワールドカップで優勝出来たのか? 
米国の経営者は短期で利益を上げるべく近視眼的な経営を行い、会社の利益が上がればCEOは20億、30億の収入を得るのか?
今、日本のチームワーク(人と人との繋がり)が世界から注目されております。

【新しい生き方の発見】
 
先日「脳ストレスが消える生き方」著者「有田秀穂」を読みました。
人間には、脳にセロトニンの発生する生きかたと、ドーパミンの発生する生き方があり、現代人はドーパミン的生き方=欲が欲を呼ぶ行き方(最初は軽自動車で走っていたが、やがてもう少し大きな車が欲しくなりカローラに買い替えたが、やがてクラウンが欲しくなり、ベンツになり、ロールスロイスになると言ったように人間の欲には際限がありません)その様な生き方は新たな車を手に入れると達成感が有り満足するのですが、やがてその上のクラスの車が欲しくなり手に入らないと大きなストレスとなります。
一方のセロトニン的な生き方は=人の為に生きる(街を歩いていたら前の人がハンカチを落とされた、それを拾ってあげて落ちましたよと声をかけ、渡してあげると有難うと感謝されたことは、新車を手に入れた喜びとは違う幸せを感じるものです)その時に脳にはセロトニンが発生しストレスは消えるのです。
物欲、金欲は果てしない欲でありストレスの中で生きている様なものでありますが、世の為・人の為に生きる事は身体面、精神面全てに関し良い影響を与えると同時に幸せを感じるものです。
物が増えてもなんとなく幸せ感がないのも事実です、今原点(昔の生活)に戻るのも必要な時期が来ているのかもしれません。
電気の無い時代は、太陽が沈めば体を休め睡眠をとり、太陽が上がれば鶏が「コケコッコウー」と鳴き目覚ましをしてくれ、前に流れる川で顔を洗う、この様なゆっくりと流れる時間が、現代社会の物が溢れた時代よりも、もっと違った豊かさ、幸せを感じるものです。
現代社会は益々自己中心的な人が増えている様に感じますが、本当の人間の幸せは何か、本当の豊かさは何かをこの大きな自然の災害を機会に考え直す事も必要なのかも知れません。
又その様な日本人が増え、日本が世界を変えるリーダシップを取れれば、素晴しい世界が出来ると思いますが、皆様如何でしょうか?


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
    ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士

とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年8月号)   第80号



残暑お見舞い申しあげます。
まだまだ暑さは続きます、ご自愛下さい。

更新料訴訟の最高裁判決が7月15日に下りました。
更新料特約は有効であるとの判決であります。

【最近思う事】
8月20日に本情報誌を書いておりますが、連日マスコミによる「円高」の二ユースが報じられております。
ご承知の通り、円高ドル安の原因は日本の経済が強いのではなく、米国の債務問題、即ち国の借金が膨れ上がりその懸念から米国国債の格付けが引き下げられたのが主な要因です。
一方、欧州でもギリシャ問題に端を発し欧州全体が揺れている状態であります。
その為に相対的に判断した投資家が比較的安全な所に資金を向けており、その結果、スイスフラン、円、金等々が急騰しているのが実情であります。
決して日本円が強いから買われているのではないのです。いま先進国は財政赤字と債務問題が表面化しており、ケインズの言う財政出動による景気回復策が限界であるにもかかわらず、相変わらずの対策を推進した結果である。
日本の国債残高は900兆円を突破しました、しかし他国と違いその国債は日本の国民が所有しており、国家の意思は守られるとの理由から比較的に円が買われているのであります。
2008年のリーマンショックは金融問題でありましたが、今回は先進国の債務問題であります。何れ近い将来この債務問題は大きな問題となるのは明らかでしょう。現在の円高は75円台を付け史上最高値を更新しており、日本の経済に大く悪影響を与える状況となっており、原発問題に伴う電力不足と相まって国内景気悪化の要因となっており当面は現状が続くものと思われます。
東日本大震災の被災者の方々には大変にお気の毒であると思っておりますが、政治の機能不全で対策が後手後手となっており(なぜ増税議論が先なのか、復興債の方が早い結論となるのではないのかいささか疑問ですが)未だ復興の目途さえたっておりません。
円高、電力不足による電気料金の値上げ、法人税率の引き下げ見送り等々は企業を直撃し、国内にとどまる事のデメリットから、海外進出を図る企業が増化するものと思われます。
企業が国内から出て行く事は国内景気の悪化、雇用問題に繋がりますが、日本の対外政策の拙さ、上記の国内問題等々から当然の事であると思います。
早い政治の安定を期待したいと思います。                     
今後の見通しとしては、震災復興に要する費用は「がれき」の撤去費用だけで1兆円必要とのことで、復興費用総額は20兆円~30兆円が必要であるとされております。(被災者には大変な状況下、景気の話は無礼千万でありますが)
復興費用は国(国民)が負担する事となり、同額の財政出動と同じ効果をもたらすものであります。この事は一時的に景気を良くする要因となります。
又、今の円高傾向はどんどん円高に振れるのではなく何れ米国経済が回復すれば反転し円安になるものと思われ、輸出企業も業績が回復し、来年には景気も少しは良くなるものと思われます。
現在大企業に限らず中小企業を含めた多くの企業が海外進出をしておりますが、日本は太平洋戦争以来戦争をしておりません(決してしてはいけない)が、私個人的には企業の国外進出はイコール戦争による植民地政策と何ら変わらないものであると思っております。
そのことは企業の海外進出により、安い労働力で製造した物を現地で販売するいわゆる出稼ぎであり成熟した国内では決して出来ない事であります。
今後は、製造業が経済を復活させる原動力となるのではなく、日本の高い技術力で出稼ぎをする、その稼いだお金でサービス業を中心とした事業を起こし国内雇用を創出し景気の回復を図り豊かな生活を送ることが必要であると思います。その為には日本国内の不況下、政治が官僚の言いなりになりドサクサに紛れた増税議論をするのではなく、復興債による震災復興財源を早急に確保し、増税は国民に国の財布の中身を全て明らかにし、歳出の削減を優先し、時間をかけて議論し豊かな福祉国家を作る為に議論を尽くす必要が有ると思いますが如何でしょうか?今後は政治がリーダシップをもって停滞する日本国を引っ張って貰いたいものである。

【更新料最高裁判決】
最高裁の判決文を読むと難解な言葉が羅列されておりますが、今回は簡潔にわかり易く記載を致します。

○更新料裁判の起こった理由
そもそも更新料は、大阪を中心とした関西圏、東京を中心とした関東圏の一部でのみ存在するものであり、日本全国に存在するものではありません。
特に京都、東京は学生が多く過去の様に部屋の数より入居したい人数が多い時期は、礼金、更新料と言った類の費用を貰っていたのが実情でした。
しかし時代は変わり、入居希望者よりも部屋の数の方が多くなって来た今日では、入居者の意見が強くなりあちらこちらで訴訟がおこるようになりました。
今回はその訴訟の内3件が最高裁で争われる事になりました。

○訴訟の要旨

更新料は、消費者契約法第10条により無効であるとの訴訟がおこされました。
消費者契約法第10条の条文
民法、商法(明治32年法律第48号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

○最高裁の判断

更新料条項は同法に該当せず有効であるとの判断です。(裁判官全員一致)

○最高裁の判断理由

①更新料は賃料の補充、先払い、賃貸契約を継続させるための費用等の性質があり合理性がある。
②契約時に双方が合意し、賃貸借契約に明確に記載されている。
③本件の更新料は賃料の額、賃貸期間等に照らしても、高額すぎない。
(3件の内一番高額なものは1年契約の更新料2カ月分である)

○上記判決を踏まえた、今後の対応として

① 貸主と借主の間に更新料の支払いに関する明確な合意を行い、契約書に更新料を具体的に記載しておく事。
② 更新料金額が、契約更新期間に照らし高すぎないように注意をする事。
上記①、②について十分に注意し対応する事が必要です。

【結論として】

更新料、礼金、敷引き金等は有効であるから貰うと言うのは、貸主側の一方的な倫理であります。
昔と違う需給関係となった賃貸業界では、借主にとって分かりにくい料金形態では他物件との比較がしにくいのが実態です。
賃貸住宅管理協会では、比較がしやすいように4年間の賃料合計とその間に発生する礼金、更新料等の費用を合計しその額を1ケ月換算して借主にとって比較のしやすいように表示して募集をしているのが現状です。
今後は、初期費用としては敷金以外は貰わず、シンプルに月額家賃で比較できる様な時期に来ているのかもしれません。
更新料は有効であっても、市場が判断しこの様な制度を変えて行くのが時代の流れではないでしょうか。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年7月号)   第79号



梅雨が明けました、途端に厳しい暑さが続いております。夜も寝苦しく、寝不足にならないよう気を付けましょう。

今月号では、今後新たに賃貸経営を考えておられる方の為に、賃貸市場の現状と、新たな賃貸市場のご紹介をさせて頂きます。

【賃貸市場の需給関係は今後どうなるの?】

【所得要因】
現在のデフレ基調は当面続くものとおもっております。物価は下がり続け、企業業績は悪化し所得が伸びない状態で、デフレスパイラルに落ち込み脱出出来ないのが現状です。
一方、政府は所得控除を廃止、給付付税額控除制度を新設し、歳入庁を創設、社会保障番号制を導入、所得の再分配と併せ社会保険料の相殺制度を検討中である。
又、近い将来には消費税の引き上げもなされるものと思われます。
電気料等ライフラインのコストも環境問題、エネルギー問題等の要因で上昇する事はほぼ確実であります。
この様に、収入は減るが生活する上でのコストは上昇し、可処分所得あるいは実質所得は減少する一方です。

【人口問題】
商品の値段は需給関係で決まるのが経済常識ですが、賃貸市場での需給関係は賃貸派人口と、賃貸住宅戸数の増減であります。
賃貸派は若年層が主流であり、少子化の関係で賃貸派は減少して行くものと思われます。

【過剰供給問題】
一方、供給側は投資ファンドによる供給はリーマンショック以来減少しておりますが、賃貸住宅建築会社が地主様に一生懸命に営業をかけ、未だに多くの物件が市場に供給されているのが実態です。
既に800万戸以上の空家があるにもかかわらず供給は止まりません。
現在日本全国の賃貸物件空室率は平均で13%となっております。逆に言いますと87%の入居率であり、本当の意味での危機感は無いのが現状です。

【今後の需給関係】
以上の状況から、所得の減少、賃貸入居希望者の減少、賃貸住宅新築が続き、需要層の減少と、供給過剰から、益々賃貸市場は厳しくなるものと思われ、本当の意味での危機感を持つようなるのではないでしょうか。

【賃貸マンションの現状は如何なっているの?】
【投資ファンド物件は、今どうなっているのか?】

一昔前までは、市場を謳歌した繁栄の日々を送っていた投資ファンドも、投資家を重視し居住性を無視した事で行きづまりが表面化してきました。投資家の手前上収益確保が条件である物件であり、あまりにも高い賃料を下げる事が出来ず苦慮されていましたが、力及ばす値下げをするファンドが出て来ました。
その結果、近隣の物件にも値下げが及んできております。
ファンドは比較的新しい物件が多いのですが、何の特徴もない物件が多く入居率の低下が表面化したものと思われます。

【サブリース・家賃保証で建築した物件の現状は?】
サブリースとは、主には賃貸マンションを建築した業者が家主様から家賃相場の80%~90%で一括借り上げを行い、入居者に転貸しをするものです。
その目的は自社で建物の建築をして頂く為の手段です。
一見、家主様に取って安心なリスクのない、手間のかからない最善の方法であると思われている方が多いのが実態ですが、上記で述べて参りました通り、今後もますます賃貸市場は厳しくなります。その中で30年間空室リスクを当方で引き受けますと言われる事が信じられません。
このような物件は極一般的な物件が多く、近い将来に「家賃の値下げ、契約の見直し」等の状態になる事が考えられます。

【差別化した賃貸物件とは?】
一昔前に賃貸物件の差別化を図る為に、デザイナーズマンション等を建築され差別化を図られているマンションがありますが、見かけは良いのですが、どうも住み心地は良くない物件を見かけます。
外観は非常に綺麗、最新の設備を完備している等、本来の人間が生活をして行くのに本質的に必要でない部分を強化し、入居者を引きつけようとする差別化は本質的な差別化ではないと思います。

【徹底した市場調査による賃貸マンションは?】
対象物件の地域が顧客の求める設備、機能、間取り、外観、等のニーズを徹底調査し、それに基づく賃貸物件を建築する。
一見最善の策であるように思われますが、その事は過去の延長線上での考えであり、改装等に用いる策であります。新たな市場(賃貸物件)とは別のものであると思いますが如何でしょうか?

【未来の賃貸市場とは】
それでは今後賃貸物件を建築するのは「どの様な賃貸物件を建てたら良いのか教えろ」との声が聞こえてきそうです。
多様化する、入居者ニーズに対応するには「適格な回答」は無いと思っております。
ただ言える事は、流行の格好のよい賃貸物件ではなく、人間が暮らす為の本質を捉えた物件でなくてはなりません。
ある書籍に、「これからは心の時代である、心の満足や自己実現の欲求に根ざした商品を供給する事が、人口減少社会の中で生き残る唯一の道だ、不変の価値とは新しさや綺麗さではなく、入居者の人生と共存することが不変の価値である」と書かれております。
一時的な流行を追うのではなく、住生活の本質を今一度考える必要があります。
現在日本中の賃貸物件数は2,200万戸の賃貸住宅が存在し、多くの物件が世界中からウサギ小屋と揶揄されております。
その中で異彩を放つ賃貸物件(豊かな住生活基盤)を建築する事が重要で、それがご自身の延いては社会の大きな財産であり、社会貢献であると思います。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。


今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
    とまとハウス  代表者 粟野 則夫 
    宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
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とまとハウスの「耳より情報」

(平成23年6月号)   第78号



いよいよ近畿地方も梅雨入り、雨の日が多く蒸し暑い日が続きます。体調管理には気をつけましょう。

今月号では、賃貸住宅関連で、最新の情報をお届け致します。

【更新料問題】最高裁判決は7月15日
賃貸契約における更新料が、消費者契約法10条(信義則に反して消費者利益を一方的に侵害する契約条項は無効であると定めた条項)に当たるのかを審議している最高裁裁判で、6月10日に原告と被告双方の意見を聞く弁論が開かれた。高裁では無効であるとの判断が2件、有効であるとの判断が1件と判断が割れており、最高裁が統一判断を下す。
判決は3件とも7月15日に言い渡される。

私見
今回の更新料裁判の最高裁は、口頭弁論を開いたことで更新料が有効との判決が下りる可能性が少し高くなったのではないかと思われます。
しかし、更新料無効の判決となれば大変な混乱が起きるものと思われます。
特に貸主にとっては収入が減るだけではなく、遡っての返還請求が起きれば大変な出費となります。
現在の賃貸業界に起きている現象は、需給バランスが逆転し家賃の値下げ合戦が続いております。
特にインターネットサイトの物件情報を見ると家賃の安いものから並べられ、部屋を探す者にとっては安いものから見て行く為に、益々値下げに拍車が掛かっているのが現状です。
そこに、更新料が無くなり、敷礼無しが増加し、原状回復費用は貰えなくなれば貸主の収益は減少する一方であります。
賃貸収支の限界を超えると、その結果は明らかで、建物の改装費が捻出できず賃貸物件の質が落ちて行く事になります。その事は入居者にとって質の悪い物件に住まなければならない事になり、延いては皆が苦しむ事になります。
現に、デフレ経済においてコストカットを続けることは重要でありますが、限度を超えると「最近では生肉問題・食品偽装事件の様な」現象が続発する事になりかねません。
デフレの怖さを認識し、政府も早くデフレ脱出政策を取る必要が有る様に思います。又市場が伸びない成熟期において、我々が国内で生き残るためには価格競争は絶対に避けなければならない戦略であります。
その為には、どの様な戦略が必要なのか今一度考える必要があると思われます。

【住宅改修費、秋に新ポイント制】 住宅改修費の5%
現在実施されております「住宅エコポイント」は5カ月短縮され、7月に打ち切られる事になりました。
しかし、国交省は秋に、住宅改修費の5%を商品券などと交換できる新制度を導入する検討に入った。国交省は今回の2次補正予算に盛り込む考えであるとのことです。

私見

現在の制度は、省エネ改修に限定されておりますが、新制度は一般的な改修も適用されるとの事です。
2008年以降、新築住宅着工戸数は減少を続けておりますが、リフォーム市場は逆に市場拡大が続いており、数年前に5兆円規模であった市場が昨年には7.2兆円規模まで拡大しており2020年には12兆円になるとの予測です。
又中古住宅流通の市場規模も倍増予測となっております。
この現象は日本が成熟社会に突入し、新築偏重の住宅政策の終焉と、循環型への住宅産業の構造転換であると思います。新築から既存建物を活かして行く、ストック重視型に変化しているものと思われ、今後も益々この傾向は強まる事になり、リフォーム市場の拡大が予測されます。

【サービス付き高齢者住宅制度が創設されました】
4月27日に衆議院本会議で「高齢者住まい法」が可決されました。
今回の改正で「サービス付き高齢者住宅制度」が創設され、高齢者を入居対象として、生活支援サービスを提供する住宅と位置付け、登録制度が導入されます。従って、今までの高円賃、高専賃の登録制度が廃止され、高優賃の供給計画制度も廃止となります。
国交省と厚労省が其々行ってきた高齢者住宅制度は統合され両省共管の制度となりました。

私見
国は日本での高齢者住宅の割合を欧米並みの5%程度まで引き上げるとの方針であるが、実現するには年間6万戸程度の供給が必要となり、今後は予算、税制、融資の見直しが必要になってくるものと思われます。
当初の高齢者住宅は、高額な一時金を払わなければ入居できない、お金持ちを対象に建設されました。一方特養のような国の補助金で建築、運営されているものは多くの入居待ちが出来ているのが現状です。
現在に至っては、有料老人ホーム或いは賃貸型の高優賃、高専賃が主流となり建築されております。しかしその全ては、食事を付けて15万円~20万円程度の毎月の入居費が必要であり、公務員、大手の企業を退職し年金が20万円以上貰える人たちが対象であります。
今後は、入居費が10万円以下で入居出来る「サービス付き高齢者住宅」の供給が必要であると考えます。
しかしながら、新築でこの金額設定は困難であると思われます。そこで前述のストックを活かせば可能であると個人的には考えております。
民間の知恵を結集し、お金の無い国の補助金に頼ることなく高齢者住宅の普及に寄与できるのであればなお喜ばしい事で有ると考えます。
皆様方の、既存マンションを活かせるチャンスかもしれません。
今後も皆様方の、お役に立てる情報をお届けいたします。
宜しくお願いを申し上げます。


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